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しあわせにしてますように でも少しわたしが足りていませんように/月夜野みかん
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ひょっとして世界はすでに閉ざされたあとかと思うほどの曇天/中澤系
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一向に溶けないアイスクリームのおかげでここが夢だとわかる/ながや宏高
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目を覚ますことに失敗した朝のきみがいるところは孤島だ/我妻俊樹
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急に君はちくわで世界をのぞいてる 僕は近くに見えていますか/千種創一
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ポケットに入る夕暮れをくださいふとしたときに取り出せるよう/スコヲプ
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あたためることのできない心臓とつめたいままのきんぴらごぼう/宇野なずき
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いつまでもいつまでも春を待てるならずっと冬でもいいと思った/たきおと
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さよならをちゃんと言わなきゃ永遠に春にならないような気がする/山本左足
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すきな原曲のカバーがいいときのしっぽがあればふりたい気持ち/岡野大嗣
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今どこにいますか何をしてますかしあわせですかもう春ですか/たきおと
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死ぬまでの時間は全部ついでだと吹き溜まりの桜は知っている/岡野大嗣
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夜の犬、祈るよ。/コジヤジコ (よるのいぬいのるよ) #回文
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よい言葉と恋よ。/コジヤジコ (よいことばとこいよ)#回文
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紫陽花はどんな色でも紫陽花でひとでなしでも私はひとだ/宇野なずき『最初からやり直してください』
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縦書きの国に生まれて雨降りは物語だと存じています/飯田和馬『うたらばブログパーツ総集編4』
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たましひの一部がふとん 労働はふとんを離れゐるゆゑ苦し/田口綾子『かざぐるま』
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海に来れば海の向こうに恋人がいるようにみな海をみている/五島諭『緑の祠』
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誰からも怒られぬ日とだれからも愛されぬ日がほそぼそつづく/熊谷純『真夏のシアン』
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いい孤独
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にゃにゃあにゃあにゃあにゃあにゃにゃあ【訳:君は私をそっと抱き上げるべき】/柳本々々
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人生でだいじなことのいくつかをふたりでいると忘れてしまう/上澄眠『苺の心臓』
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ちゃんと歩いてここまで来たってわかるから靴は汚れているほうがいい/上澄眠『苺の心臓』
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四季が死期にきこえて音が昔にみえて今日は誰にも愛されたかった /岡野大嗣『今日は誰にも愛されたかった』
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倒れないようにケーキを持ち運ぶとき人間はわずかに天使 /岡野大嗣『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』