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写メでしか見てないけれどきみの犬はきみを残して死なないでほしい/岡野大嗣
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運命の糸をコップに貼り付けて言葉を交わす連絡手段/宇野なずき
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夏が去って夏じゃなくなるほんとうに呼んだらほんとうに来てくれる?/佐伯紺
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あたしたちだんだんふたりになるじゃない どうしたらいいのどうしたらいいか/柳本々々
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二回目で気づく仕草のある映画みたいに一回目を生きたいよ/岡野大嗣
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すごく好き夜にまぎれて見つめてる/竹井紫乙
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もう一つ世界を増やす準備する/竹井紫乙
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これからのことを話すのがキライ 流星や季語について話しつづける/山下一路
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神様は二段ベッドの上にいてときおり下のぼくに手をふる/岡野大嗣
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お前誰だと毎日海が聞きに来る/むさし
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今日のわれをしいて入れるとするならば邪悪なパンダというカテゴリー/久野はすみ
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TV観てぼんやりしてたら夜になりまたがっかりをひとつかさねる/西之原正明
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ありがとうございました こんなにもあかるい別れの朝の青空/中山明
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ハムレタスサンドは床に落ちパンとレタスとハムとパンに分かれた/岡野大嗣
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近づけば光らない石だとしても星 それぞれに夢を見ている/田中ましろ
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真夜中の広場で閉じた噴水は鯨になった夢をみている/加賀田優子
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目覚ましを掛けずに眠りゆくことの至福よふかいところまでゆく/内山晶太
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毛布にはちいさな熊が住んでいて春はまだだと伝えたりする/魚住蓮奈
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会えない人はみんなきらいだ眠ったらぜんぶ忘れる話はすきだ/嶋田さくらこ
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ぼくはただあなたになりたいだけなのにふたりならんで映画を見てる/斉藤斎藤
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あいうえおかきくけこさしすきでしたちつてとなにぬねえきいてるの/まひろ
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しあわせだ、しあわせだ!って怒鳴るとき雨に抱かれたようにうれしい/北村早紀
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幸せがのびのびしてる小説で少し曇った眼鏡を掛ける/今野浮儚
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わたくしを捨てたあなたのこれからの世界が雨でありますように/たえなかすず
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縦書きの国に生まれて雨降りは物語だと存じています/飯田和馬