626
春のバターは柔らかいから幸せと勘違いしてしまいませんか/きつね
627
春が来る断続的に気絶する/竹井紫乙
628
こうするとぶらさげられる春ですよ/柳本々々
629
春だから母が掃除機かける音聴きたくなって耳をすませる/岡野大嗣
630
もし春がフルーツドロップだったならきっとレモンの味だと思う/山上秋恵
631
この世からいちばん小さくなる形選んで眠る猫とわたくし/蒼井杏
632
あなたから貰つた飴を噛み砕くここにゐるよと知らせるやうに/門脇篤史
633
魂のかたちがきっと違うのだ/小池正博
634
永遠に会えなくなるということのよくわからなさにくらくらするね/ななみーぬ
635
呼ぶと春は飛ぶよ!/コジヤジコ (よぶとはるはとぶよ)#回文
636
詩と愛と光と風と暴力ときょうごめん行けないんだの世界/柳本々々
637
まっすぐに飛んで行けないいくつかの夜をあなたと過ごす春です/嶋田さくらこ
638
「ヤッホー」と叫ぶあなたに「好きです」と叫べばこだましてくれますか/龍翔
639
マーガレットとマーガレットに似た白い花をあるだけ全部ください/岡野大嗣
640
夜の犬、祈るよ。/コジヤジコ (よるのいぬいのるよ) #回文
641
春だねと言えば名前を呼ばれたと思った犬が近寄ってくる/服部真里子
642
「咲いた」みたいな春は、 「泣いた」みたいさ。/コジヤジコ (さいたみたいなはるはないたみたいさ) #回文
643
彗星の数だけ真面目に歩こうときみがいった四月一日/柳本々々
644
【月曜のしろねこ】 月曜に見たしろねこは 凛とクールな冬の姫 犬を恐れず風切って 朝もや笑むわほら街へ けつようにみたしろねこは りんとくーるなふゆのひめ いぬをおそれすかせきって あさもやえむわほらまちへ いろはねこ曜日/コジヤジコ
645
【木曜のわるねこ】 木曜泊めたわるねこは ピンチを襲いにやけます 何故きみ敢えて(シッポ揺れ) ブーツ噛むのさ(ベロぬらり) もくようとめたわるねこは ひんちをおそいにやけます なせきみあえてしっほゆれ ふーつかむのさへろぬらり いろはねこ曜日/コジヤジコ
646
【土曜のちびねこ】 土曜にあったちびねこも マロンケーキへゆるむ頰 家主を忘れハイな笑み 攻めてその皿かぶりつく とようにあったちひねこも まろんけーきへゆるむほお やぬしをわすれはいなえみ せめてそのさらかふりつく いろはねこ曜日/コジヤジコ
647
さびしくはないとほろほろほほゑめば春はあなたのはうがさびしい/本多響乃
648
人間の声を桜にあたえたら「ああ。」と漏らして君へ散る朝/飯田和馬
649
完璧な春になるまであとひとり/なかはられいこ
650
あの世から見える桜がどの桜より美しくありますように/木下龍也