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12/22 かなわないことを銀河と名付けたりぎんがぎんがと歩いてゆかん/とみいえひろこ
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12/23 ずっと欲しかった写真集を買って帰り道ずっとうれしくなった/岡野大嗣
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12/24 人ひとり住めるくらいの星でいいクリスマスイブに一つください/山上秋恵
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12/25 不幸せではないけれどケーキ食べすばやく睡魔くるクリスマス/荻原裕幸
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12/26 燃える星燃えない星により分けて美しい26日の朝/谷じゃこ
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12/27 星ひろう。なんでもひろわないでねときみにいわれる。「はい」とこたえる。/柳本々々
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12/30 生活に祈りは宿る 呼ぶ声に蝶々結びにそしてあなたに/吉村桃香
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12/31 世界中の果実が土に降り終えてまた繰り返す次のひととせ/ユキノ進
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ひとすじの光はここへ本、扉、すべての閉じていたものたちへ/星乃咲月
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ゆうめいな夢だよきみもしっているはずだから帰ったらみてみて/加賀田優子
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404 not found 初夢のどこにあなたは隠れていたの /岡野大嗣
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俯いたあなたの髪に飾りたい輝きわたる冬の銀河を/飯田彩乃
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「あたしには輝く未来しかない」と何度もとなえ電車を降りる/檀可南子
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結末を未だ持たない僕たちを乗せて列車は図書館のよう/長月優
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君の目は実家のシャワーみたいだねあたたかいのに急に冷たい/宇野なずき
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たてがみを失くしてしまったライオンが大きな猫のふりして眠る/やじこ
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何味かわからないこのキャンディーがとけてなくなるまでのおいのり/谷じゃこ
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人じゃなくなっても逢えるわたしたち惑星ひとつ口に含んで/柴田瞳
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そのうちに僕らも昔話になるあなたは月に帰るのでしょう/牛隆佑
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祈り方を忘れてしまう手を合わせるかたちではなく心のさまを/ 石井僚一
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好きだった曲を好きなまま歳とっておんなじ歌詞になんどでも泣く/岡野大嗣
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祈りとは声も指先も届かない者にダメ元で伝える手段/工藤吉生
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だから、ねえ、祈っているよ、それだけだ、/川合大祐
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夕暮れにこたつの群れが飛んでいく ときどき猫がつかまっている/竹林ミ來
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侵略はかくも無慈悲に行われコタツにぼくの場所はもう無い/山本左足