526
11/20 母と目が初めて合ったそのときの心でみんな死ねますように(岡野大嗣)
527
11/23 世界からこぼれて星と知りあってたまにお酒を呑みにいきます(水本まや)
528
11/24 「生きろ」より「死ぬな」のほうがおれらしくすこし厚着をして冬へ行く/虫武一俊
529
11/25 オレだよオレ、みずうみだよとだみ声で言うのですぐに沼とわかった(竹林ミ來)
530
11/26 えいえんにてにはいらないものだけをなんのふあんもなくすきでいる(山田水玉)
531
11/27 会えない人はみんなきらいだ眠ったらぜんぶ忘れる話はすきだ(嶋田さくらこ)
532
11/29 あとほんのすこしの辛抱だったのに氷になるだなんて ばか者/笹井宏之
533
11/30 できることをしようと思う真夜中にキリトリセンをのみこむ鋏(佐伯紺)
534
12/2 長い長い夜をあなたに繋げつつ声はこころに遅れて届く/飯田彩乃
535
12/3 近づけば光らない石だとしても星 それぞれに夢を見ている/田中ましろ
536
12/4 よく知らない実がなっているなんだろう そういうことを毎日忘れる/戸田響子
537
12/6 ポケットを裏がへすやうにあなたからゆめのはなしを始めてください/木下こう
538
12/7 山のように眠っていたい森閑と湿ったものでからだを充たし/氏橋奈津子
539
12/8 朗読をかさねやがては天国の話し言葉に到るのだろう/佐々木朔
540
12/9 コンビニで温めますかときかれても贈り物だと思ってしまう/柳本々々
541
12/10 「お弁当あたためますか?」「ありがとう、ついでにこれも」「なんですか?」「星」/木下龍也
542
12/11 お弁当あたためますか 真っ暗な帰り道でも凍えぬように/山本左足
543
12/12 あたためることのできない心臓とつめたいままのきんぴらごぼう/宇野なずき
544
12/13 会いたいなあ 高架の下の自販機で買ったココアがまだあったかい/岡野大嗣
545
12/14 ああ月夜、死ぬまで何本あったか~い缶コーヒーを買うのかおれは/瀧音幸司
546
12/16 こんなにもしづかな朝はかなしみも夢も疲れて眠りゐるべし/中山明
547
12/17 恋ですよ 芋の芋まで掘り起こしありったけポテトフライにしたい/阿波野巧也
548
12/18 花束を引きずるほどの一日を果ててだれかの夢に溶けたい/田丸まひる
549
12/19 降りぎわに「じゃあ」と握った手のかたち合えば二人の「またね」は祈り /岡野大嗣
550
12/21 この話のつづきは箱の中で(いま、開けたばかりできれいなので)/我妻俊樹