401
6/18 少しずつ月を喰らって逃げている獣のように生きるしかない(虫武一俊)
402
6/22 あめふりは星のしずかな走馬灯 シーラカンスのように眠たい(鈴木加成太)
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6/23 すみませんよわいわたしをはなしがいしているわたし こてん ぱん の きゅう(蒼井杏)
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6/25 休日は何でも入る箱のようただうれしくて持っているだけ(ふらみらり)
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6/26 週末にほどいたものを締め直せ急げよ!月曜日に見つかるぞ(山本左足)
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6/28 この街の梅雨が楽しくなるように 地図に印した紫陽花散布図/もこもこ
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6/29 水底を這うようにして六月に咲く花の色ぜんぶ、くるしい(嶋田さくらこ)
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6/30 縦書きの国に生まれて雨降りは物語だと存じています(飯田和馬)
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7/1 ひたされて光るはつなつ こごりかけソーダゼリーのプールがひらく(岡野大嗣)
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7/2 目を閉じた人から順に夏になる光の中で君に出会った(木下侑介)
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7/4 本日も全国的に朝となり否応無しに始まるでしょう(山本左足)
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7/5 玉子かけごはんでつなぐこの命せめてなにかの役にたちたい(西之原正明)
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7/6 われわれは大手を振って眠ろうね皆おはようのためのおやすみ(稲本友香)
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7/7 えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい(笹井宏之)
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7/8 電灯を消してからだを夜にするそれが眠るといふことですが(藪内亮輔)
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7/9 僕たちはいつでも泣ける準備してずっと雨音聞かされるんだ(堀静香)
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7/10 空っぽのまま一日が終わったとあきらめがつくまでの夜更かし(島坂準一)
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7/11 好きだった曲を好きなまま歳とっておんなじ歌詞になんどでも泣く(岡野大嗣 )
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7/12 天上のかき氷待つひとときの曇りのち水鳥の羽ばたき(藤本玲未)
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7/13 星型の浮き輪を買えば泳げないことも嬉しく思えてくるよ(山上秋恵)
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7/14 くちづけに致死量があり幸せな人から順に死んでゆく夏(服部恵典)
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7/17 水分と塩分とをしっかりとってあたしあなたの涙になるよ(田村穂隆)
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7/18 海だってあなたが言えばそうだろう涙と言えばそうなんだろう(木下侑介)
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7/19 人々が孤独な種として暮らす西瓜の中は夕焼けの国(飯田和馬)
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7/20 さうかさうか私は獣だつたのだ月夜をこんなに愉しく駆けて(飯田彩乃)