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5/13 開くべきドアを持たざる鍵たちが静かに錆びてゆく金曜日(山本左足)
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5/14 回したらノブだけ取れて開かない扉のような遠い思い出(ユキノ進)
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5/15 可能性だらけのクローバー畑無視して今日は何もせえへんぞ(谷じゃこ)
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5/17 ベランダに落ちた星座の配線について宇宙の窓口に聞く(やじこ)
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5/20 あなたから貰つた飴を噛み砕くここにゐるよと知らせるやうに(門脇篤史)
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5/21 あなたはもう懐かしむ目をするんだね 寂しい寂しいことば「思い出」/月夜野みかん
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5/22 あなたが月とよんでいるものはここでは少年とよばれている(フラワーしげる)
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5/23 月曜はプラネタリウムがお休みで本物の夜に途方に暮れる(ニキタ・フユ)
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5/24 大型犬飼って師匠と名付けたい師匠カムヒア、オーケーグッドボーイ(工藤玲音)
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5/26 あたらしいねこにはすでに名があってただなじませてゆく手のかたち(東こころ)
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5/30 紫陽花はどんな色でも紫陽花でひとでなしでも私はひとだ(宇野なずき)
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5/31 僕は今死んでいってるところですみんなほんとに生きていますか(六条くるる)
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6/1 「冷やし読書はじめました」という図書館の看板 夏のはじまり(柳本々々)
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6/2 ここじゃない何処かへ行けばここじゃない何処かがここになるだけだろう(岡野大嗣)
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6/3 わたしより早く大人になってゆく生きものばかり抱いてねむろう(鈴木美紀子)
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6/4 眠ってるときはなんにも考えていないから間違えずにすむね(宇野恭子)
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6/5 寝る前の、どこで切れても構わない会話の語尾を遠く延ばして(吉田恭大)
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6/7 長靴も合羽も傘も黄の色でスキップせずにいられなくなる(山上秋恵)
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6/9 ぴざぴざぴざぴざぴざぴざぴざぴざぴざぴざってきみの耳に言いたい(柴田葵)
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6/10 ドーナツの◯からのぞくドーナツの◯からぼくをのぞくきみの目(岡野大嗣)
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6/12 寝るほどに疲れるようだ 起き上がりぼんやりとしてもう一度寝る(工藤吉生)
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6/13 ああそれなら真っ直ぐ行ったその先を右に曲がれば青空ですよ(牛隆佑)
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6/14 もし虹が雨が降り出す前に出るものならきっと好きじゃなかった(谷じゃこ)
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6/15 かなしみを遠くはなれて見つめたら意外といける光景だった(岡野大嗣)
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6/17 桃太郎「(二匹目にきた…猿じゃない…ぬるぬるしてる…未知のいきもの…)」/柳本々々