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3/6 しあわせは欠片となって降ってきて白詰草となり配られる(松尾唯花)
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3/9 水たまりひとつひとつにドロップを落としてゆけば虹に会えます(鈴木加成太)
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3/10 傷ついたマシュマロみたいにぼくたちはやわらかくやわらかく生きてきたのだろう(那由多)
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3/11 こんなにもふたりで空を見上げてる 生きてることがおいのりになる(穂村弘)
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3/12 明日もまた目覚めるために何度でも北斗七星数えて眠る(吉村桃香)
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3/14 もし僕をこの世に二人みつけたらそちらの方を愛してください(山田誠久)
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3/16 アルパカの立つ夢枕、明日から街は春へとかたむくでしょう(服部真里子)
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3/22 さびしくはないとほろほろほほゑめば春はあなたのはうがさびしい(本多響乃)
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3/23 でこぼこのワッフルみたいな満月がゆっくりのぼる春が好きです(篠宮香南)
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3/25 わたしのなかの笑ふ係のひとがけふ非番なのでともくれんが言ふ(荻原裕幸)
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3/26 不安だからどこにいても不安だから私は逃げる私の中へ(山上秋恵)
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3/27 全否定されても咲いたタンポポのように黄色くわれは生きたし(中畑智江)
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3/28 知らぬ間に春は来てゐてその襟や袖から花を溢れさせてる(飯田彩乃)
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3/29 ねむいねむい春がわたしに迫り来てあらがわぬまま両腕に抱く(後藤由紀恵)
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3/30 春雷が響く前からぼくたちはすでに四月をあきらめていた(山本左足)
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3/31 暮れるまで眺めていたが春の日の何も現れない水平線(瀧音幸司)
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4/1 つこうとしてつかれた嘘と知りながら知らないふりをするという嘘(岡野大嗣)
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4/2 いつだって祝福として咲くことの桜ぼろぼろ身をほろぼして(黒崎立体)
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4/3 思い出を捏造したくなるような桜吹雪に一人で立って(檀可南子)
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4/4 君は坂。そのなだらかな勾配を春のわたしはうっとりとゆく(飯田和馬)
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4/5 春色の汽車に乗れない僕ですがあなたを海に連れてゆきます(木下龍也)
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4/6 さくら券ありますと書かれた屋台には誰もいず犬も眠ったまま(フラワーしげる)
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4/7 思い出はいま作ったのから順番にあかるい青に塗り変えられて(嶋田さくらこ)
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イラストが服になりました!→hakka-online.jp/s/160408SUH/
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4/9 春はいろんなものが壊れる音がして こなごな きらきら きれいな さいご(田中ましろ)