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というわけで、6月17日は2年MS組を申渡とは別のアプローチで支えるブレイン、南條聖の誕生日でした。謙虚な優等生には「お前こんな凄いとこあるよ」と誠実に褒めて見せ、高慢な自信家には「流石ですねえ」と油断なく阿り、理屈の通じない天才肌には「お前のこと嫌いじゃない」と笑って見せる男です。
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彼は派遣社員ならぬ派遣インテリヤ〇ザのようだと思っています。鋭い観察眼でこいつのサブに付くと得だな、と見初めた人物を自らの利益のために徹底的にサポートして伸し上げますが、契約を満了すると後腐れなく去ってゆき、次なる主を見つけるのです。なんだかヤドカリのようです。
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チーム単位での活動を終えて捨ててしまうはずだったteam漣のザブリーダーの椅子。次の契約先を見つけるまで惰性で座り続けていたガタガタと脚のグラつくパイプ椅子。ようやくフカフカのソファに鞍替えし、蹴っ飛ばして捨ててやりましたが、「いつまでも座ってんな」と引っ張り立たされてしまいました。
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お前らさあ、俺に立ち仕事させるつもり~?といつもの嫌味を言ってみても、痛くも痒くも思わない連中。「うるさい。文句言うな」と手を引いたくせにほっとく電波。「へばったら担いでやるよ」と無茶言う筋肉。まさかこんなに理屈の通じない奴らが、よりによって最初にできた、本当の友達になるとはね。
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南條の台詞はいつも建前のフィルターが1枚、時には2枚程かかっていますが、彼の台詞を書いていて、「あ……今、南條本音言ったな」と思ったことが本編の中に2度ありました。2期8幕で、星谷に「甘いね」と言った時。憧れの人がいるくせに、揚羽の気持ち分かんないのかよ、と言った時が1度目。そして、
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3期5幕で北原に、「変わったのはお前だ」と言った時。南條は一周回って素直な人なのかもしれません。大事にしたいもの、そのままありのままであって欲しいものを遠巻きにいつも守ろうとしてきました。彼が愛する2人が、いざという時に彼に向き合いぶつかってくれたこと、報われたようで嬉しいです。
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さて、優れた人間を見極め寄り添う才を持つ南條ですが、その割に他者に影響を受けることはあまりありません。そんな中、作中に登場する人物で唯一彼に『影響を与えた』とカテゴライズできるのは双葉大我かもしれません。手放しに『尊敬』『憧れ』等の間柄に分類できない怖い2人ですが、
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双葉の飄々としていながら一定の信頼を寄せられる性質や、あけすけなようで真意は見せない身のこなし、そうとは見せずに猛スピードで回転している頭。自分のようなタイプの人間が行きつくべき場所に、最もスマートに到達している大人として、一目置いているのだと思います。
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そんな双葉の影響とは言いませんが、何だか南條は役者を目指しつつ潰しのきく教員免許を取ったりだとか、経営学を学んで演者兼芸能事務所社長になっていたりだとかしそうです(笑)。例えば元チームメイト達がどんな苦難に立たされても「お前ら優秀なんだからしゃんとしな」と引き上げてくれそうです。
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綾薙で、team漣として、2年MS組として、得たものが、きっと彼の最大の利益になります。おめでとうでした。
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「“ムーン”ストーンだってさ~」
「黙れ💢」
してそうです。 twitter.com/ren_AokitA/sta…
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薄暗い、深い深い森の奥。灰色の石の玉座があり、美しい人が座っている。目を閉じて、運命を受け入れて終わりの時を待っている。どんなに高い地位があっても、どんなに容姿や心が美しくても、不自由な、冷たい玉座に蝕まれている――生贄の王。
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過ぎ去りし6月28日は、現職華桜会首席、四季斗真の誕生日、でした。第3期の仕込み中、今期のキーパーソンである四季をどのようなキャラクターにしていくかと話し合う中で、当初、指針に据えたコンセプトは『アンシエントの4人を足して割ったような人物』。
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遥斗のカリスマ性、魚住の男らしさ、早乙女の浮世離れした雰囲気、双葉の気さくさ。彼らの良い部分を全て兼ね備えた非の打ち所のないニューリーダー! を生み出そうと思ったら――全部足したら不思議なことに妙なところに足りないパーツがあるかのような……リーダーらしくないリーダーが生まれました。
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こんなにもキャラクター性を明確な言葉で言い表しづらいキャラクターも結構まれです。少女漫画に出てくるような爽やかな男の子みたいでありながら、時に少年漫画の敵か味方か分からない登場の仕方をするアウトローのようでもあります。
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星谷ら後輩にとっては少し意地悪な先輩であり、春日野にとっては優しく誠実な、入夏にとっては取っつきやすい等身大な友人であり、千秋にとっては悪い奴に捕まりはしないか車に轢かれはしないかと気に掛かってはいるものの、保護して檻に閉じ込めてしまうのは憚られる、自由を謳歌する野良動物のよう。
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そして冬沢にとっては――未知で、不可解で、到底理解不可能な存在。といった感じでしょうか。以前、知人と四季の話をしていた際、「例えば待ち合わせに遅刻した時、原因が自分にあったとしても、或いは不可抗力だったとしても、『こういう理由で遅れた』と説明することが誠実だと思う人が冬沢ならば、
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言葉を添えることが誠実か、添えない潔さが誠実かと考えた結果、いつも『悪い、遅れた』としか言わない人が四季」と話したことがあります。四季と冬沢は互いのコアの部分に決定的に相容れない感覚を持っているように思います。
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そして、冬沢は勿論、四季も一問一答で答えているように根っこにとてつもなく頑固な部分を持っており、自分の考えはなかなか変えない。そうして意見が違えた時、「なぜ分からない、俺の考えを理解せよ」とプレゼンするのが冬沢。「そうか、お前はこうか。俺はこう」おしまい、なのが四季なのでしょう。
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2人がめぐり合ったことは運命の悪戯のようです。もし冬沢と千秋のように幼い頃に出会っていたら今のようにはなっていなかったのでは。例えば同じ国の王子ではなく西の国と東の国の王子であれば、3期のような血で血を洗う争いは起きなかったろう、と思います。
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最強のカードがジョーカーにだけは敵わないように、冬沢にとって四季だけが――逆に、四季にとっては冬沢だけが、自分の最大の武器が通用しない相手。そんな2人が同じ時代に、同等の力を持って、同じ場所にやってきた。出会ったからには行くところまで――ある意味ドラマチックですね。
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行ききった先にどんな景色が待っていたか――それが今、四季のいる場所。卒業を目前にして華桜会の5人が手にしたものです。みんなで高枝切りバサミを持ち込んで森に光を入れ、次の王がやって来るまで、明るい場所で焼き芋やトランプをしてその時を待っている。随分にぎやかになりました。おめでとう。
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別件やっているうちに、
『スタミュ』FC星箱、書き下ろしSS更新されてました。『五つの花』編これにて完結です。回数はアニメと同じ12回、隔週でゆっくりやらせて頂いたので、結局半年お付き合い頂いてしまいました。読んで下さったいた皆様、有難うございました☆
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7月7日は、ゆるやかに、しかし確実に成長中。揚羽陸の誕生日でした。入らないで汚さないで、と言っていた揚羽に、入らないよ汚さないよ、と寄り添った蜂矢。揚羽の家行っちゃダメなの? じゃあうちおいでよ汚してもいいし! と部屋から連れ出した星谷。きっと彼らにとっても嬉しい日でしょう。