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また、彼はカンパニーというものを一匹の大きな動物のように見ています。全ての細胞が元気で調子がいいとその動物も元気で調子がいいですが、だからと言って1つの細胞が元気を失ってしまっても、その動物が死んでしまうわけではない。でも、いらない細胞はない。誰かがどこかで機能している。
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戌峰はいつも、その大きな動物が、元気ハツラツに歩いている姿をうんうんと眺めながら、自分が得た役を全うしています。そして有り余った力で、東に病気の細胞あれば行って歌を歌い、西に落ち込む細胞あれば行って歌い、南に空腹の細胞あれば行って歌い、北に眠たい細胞あれば行って子守唄を歌います。
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よく分からなくないですか? 私もよく分かりません。そんな得体の知れないミュージカルモンスター、綾薙学園生としてもミュージカル俳優としても規格外、奇世代アンシエントさえもが武者震いをする奇人――戌峰誠士郎。自分を一番優先しなくて一番になれる力持ち。優しいスーパースター。おめでとう。
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次回は皆のおかげで何とかどうにかなった(?)2人の日曜日。首席があの大問題に切り込む…?「四季が首席なんてどうでもいいって言った!腹立つ!」だの「四季閉じ込めちゃった…」だの聞いてもいない心臓に悪いことを共有してくる人vsピカレスク見届け男、決着つけい。また宜しくお願い致します☆
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一人地元を離れて夢を実現する為に頑張っている、卯川晶の誕生日でした。たまに卯川宛のお手紙をお預かりするのですが、どれだけ励みになるだろうと殊更嬉しくなります。卯川カッコいいですよね。焦って八つ当たりしちゃったり不安で悔しくて涙したり、泥臭い事を沢山経験して成長している男の子です。
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スタミュという作品の中で、そういう姿を見せてくれる卯川がいることで、今、彼らが目指している世界がどういう世界なのか――そこで活躍する先人たちがどれだけの想いを抱えているか――語らずとも見えてくる瞬間があります。そして、そんな卯川の傍にはどんな時も誰かがいることに安堵します。
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最近では那雪と仲良しだったり空閑に憧れていたり(フランスで天花寺と珍しく意気投合したり)とチームの垣根を越えた交流も描く機会が増えましたが、何となく卯川相関図のベースには第1期の頃から『男子高校生トリオ』と呼んでいる戌峰・虎石との関係性があります。今年は原点回帰でその3人の話を。
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ボケたりツッコんだり、イビキがうるさかったりお部屋に泊めてだったり、ビビらせたりビビらされたり、と3人になるとミュージカル俳優の卵である前に普通の高校生みたいなノリになる彼ら。そんな3人組のエピソードをミュージカルの方でも描けたことは思い出深い出来事です。
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焦りとプレッシャーで、戌峰に理不尽にあたってしまった卯川と、それを注意した虎石が大喧嘩をするというエピソードでしたが、何だか彼らっぽい喧嘩であったなあと思います。卯川は人一倍負けん気が強く、意識が高く、努力家で――誇り高い、だからこそ不安が溢れて口を滑らせてしまったのです。
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戌峰はきっとそれが分かっているから広い心で卯川を受け止めたのでしょうし、虎石はきっとそんな2人が好きだから「いい加減にしろ」と言ったのでしょう。気安い仲だからこそ卯川も虎石もヒートアップして口論になったのでしょうし、そんな2人が本当は仲良しだと知っているから戌峰は止めたのです。
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卯川の「ごめんね」に戌峰は「いいよ!」と返し、作中では描きませんでしたが、虎石は「戌峰がいいっつったならいーんだよ」で済ます気がします。「オレも嫌なこと言ったし、ダセぇゴメンね合戦は勘弁」って感じでしょうか(笑)。許してくれた戌峰、怒ってくれた虎石、卯川の大事な友達です。
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ちょっとヤンキーで面倒見のいい長男坊と、元気で優しい次男坊、しっかり者でオバケが怖い三男坊――みたいな兄弟のようでもあるし、大きなワンコと苦労人コンビのようでもあるし、悪ノリ男子コンビとお説教係のようでもあるし、辰己申渡2人の世界被害者の会のようでもある、team柊の仲良し戦友3人組。
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寮部屋では散々苦労した卯川ですが、いざ退寮して一人暮らしになったらば、大丈夫かい?ちょっぴり寂しくない? 戌峰も一人暮らしなので近所に住んで一緒に登下校したら? 怖い番組見ちゃった夜は虎石が喜んで泊りにきてくれますよ。結局賑やかそうな卯川家を、是非いつか書いてみたい。おめでとう!
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今度は虎石が寝袋で寝る番。
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ファミレスでの座席取りに独特のこだわりを持っているらしい暁鏡司の誕生日。前・華桜会の中では小柄な暁が、鳳楪漣という足長長身トリオを対面に押し込んで食事をしている場面を見た時、異種ハンサム面接をしているようだと思ったのは私だけ? 全員美男なのにちょっと不思議な所が彼ららしいです。
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第3期までくると『華桜会』とは良くも悪くも魔物だなあと感じます。責任感が強かったり、上昇志向が強かったり、守りたいものがあったり、そういう人ほど魅了され憑りつかれるのでしょうか。登場した当初の暁は、正しく厳しく高くあろうとする、この上なく真摯な華桜会メンバーだったように思います。
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色々あった1年間……表で描かれていたのは学園トップとしての苦労や葛藤でしたが、3期のパッケージ特典だった、後輩たちに大学を案内するというエピソードを書いて、こりゃ指導者としても色々な苦労をしてそうだ、と思いました(苦笑)。基本的に人見知り、且つ人の心の機微に敏感なのでしょう。
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仲間達に「暁の指導が一番月皇先輩に近い」と言われていましたが、備わったデリカシー量がノミとマンモスほど違います。容赦なく厳しい指導をしている最中も頭の中で「また冷たい言い方をしてしまった…」「ひょっとして今嫌な言い方をしてしまったんじゃないか?」「頼むから泣かないでくれよっ?」
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と思っていたかと思うと分かるよーと駆け寄りたくなります。でも暁の教え子達は「先輩がまた後悔している…」「先輩がまた心配している…」「先輩大丈夫です」「先輩ちゃんと寝てますか?」「先輩ファイトです!」と頭の中で思ってそうです(笑)。多田さんも仰ってましたがきっと先輩大好きなんです。
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意外と顔に出るからね。大丈夫、分かってる。みんなが見えない手で彼の背中をさすっていますよ。そんな暁は現在、芸術大学に通う傍ら様々なミュージカルのオーディションを受け、経験を積んでいます。華桜会を務めた卒業生は特典として綾薙が運営する劇団に入団テスト免除で所属することが出来ますが、
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暁はあえて、色々なカンパニーで、色々な演出家や色々な共演者、スタッフと出会う道、様々なやり方、様々な考え方、様々な人間関係の海へと飛び込む道を選びました。オーディションでも顔合わせでも初稽古でも険しい顔で緊張していそうですが、関係者の顔と名前はしっかり一致させていそうです。
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毎回イチから人間関係を作るのはとっても体力がいることです。それでも暁は自分が今まで避けがちだったこと、苦手意識があるものに、卒業後は挑戦しようと思ったのでしょう。同じく劇団に所属しない道を選んだ親友の柊も、そんな暁のガッツに、多少背中を押されたのではないかなあと思います。
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よほど強い人か、柔軟な人でなければ、飲み込まれてしまいそうな大きな魔物。暁はちゃんと飼い慣らして、糧にして、今も厳しく怒り、気難しく諭し、あたたかく見守り、不器用に微笑み、もっともっと高い壁へと果敢に挑戦しています。後輩達よ、これが元華桜会の姿です。おめでとう。