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スタミュという作品の中で、そういう姿を見せてくれる卯川がいることで、今、彼らが目指している世界がどういう世界なのか――そこで活躍する先人たちがどれだけの想いを抱えているか――語らずとも見えてくる瞬間があります。そして、そんな卯川の傍にはどんな時も誰かがいることに安堵します。
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一人地元を離れて夢を実現する為に頑張っている、卯川晶の誕生日でした。たまに卯川宛のお手紙をお預かりするのですが、どれだけ励みになるだろうと殊更嬉しくなります。卯川カッコいいですよね。焦って八つ当たりしちゃったり不安で悔しくて涙したり、泥臭い事を沢山経験して成長している男の子です。
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次回は皆のおかげで何とかどうにかなった(?)2人の日曜日。首席があの大問題に切り込む…?「四季が首席なんてどうでもいいって言った!腹立つ!」だの「四季閉じ込めちゃった…」だの聞いてもいない心臓に悪いことを共有してくる人vsピカレスク見届け男、決着つけい。また宜しくお願い致します☆
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よく分からなくないですか? 私もよく分かりません。そんな得体の知れないミュージカルモンスター、綾薙学園生としてもミュージカル俳優としても規格外、奇世代アンシエントさえもが武者震いをする奇人――戌峰誠士郎。自分を一番優先しなくて一番になれる力持ち。優しいスーパースター。おめでとう。
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戌峰はいつも、その大きな動物が、元気ハツラツに歩いている姿をうんうんと眺めながら、自分が得た役を全うしています。そして有り余った力で、東に病気の細胞あれば行って歌を歌い、西に落ち込む細胞あれば行って歌い、南に空腹の細胞あれば行って歌い、北に眠たい細胞あれば行って子守唄を歌います。
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また、彼はカンパニーというものを一匹の大きな動物のように見ています。全ての細胞が元気で調子がいいとその動物も元気で調子がいいですが、だからと言って1つの細胞が元気を失ってしまっても、その動物が死んでしまうわけではない。でも、いらない細胞はない。誰かがどこかで機能している。
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泣こうか…泣いてしまおうか…と思っていた時、そこへ小さな男の子が現れるので、殊更にぎやかに笑って歌って見せるのです。戌峰は、それが『切なさ』であることは知らずとも、それが『彼』であることはハッキリ分かっているのです。
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「お前これ知らねえでよくあの演技出たな!」ツッコまれることも度々でしょうが、台本を読んでいる時、戌峰の頭の中には鮮やかなイマジネーションが溢れているのです。冷たい夜風が頬を打ち…足元には仄暗い海がざわわと広がり…ふと見上げると、空に満点の星が…ああ、泣きたいなあ…と思うのです。
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『彼』は何故笑うのか、欺くためである。何故欺くのか、裏切り者だからである。何故裏切るのか、温もりを知らないからである――といったお勉強は、みんなとセッションする中で教えて貰ったりディスカッションしながらフムフムと答え合わせをしていくのでしょう。
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それを助走なしに、ロジックなしに、突然やってのけるのが戌峰という役者です。台本を一読して感じたままに、体が反応するがままに、やってみる。それがほぼ正解である。勉強が出来ずとも、ものを知らずとも、この場面で『彼』が笑う、この場面で『彼』の表情が歪む、声が震える、それが“出来る”。
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例えばスタミュ界における輝くトップスターである遥斗でさえ、新しい役を貰ったらその作品を、時代背景を、人物像を知るために猛勉強します。直前まで演じた役を落として、更地になった自分がまた新しい誰かになるためには、それなりの時間を要し、ストイックにその時間に向き合っていることでしょう。
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大きな体、ちょっと変なんだけど憎めないどころか敵(?)も味方も思わず彼を好きになってしまう程の眩しい愛嬌があり、背筋が凍る程の、才能の持ち主。物語の主人公は星谷であるし、メインのチームはteam鳳であるが、戌峰誠士郎は、『スペシャル』。初期案の段階から一度も揺らがなかった戌峰像です。
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ワケあって大遅刻。戌峰、くまのさん、ごめんなさい。おそらく近い将来、綾薙の新たな伝説になるであろう男。天才・戌峰誠士郎の誕生でした。実は私も大好きです(猫派だけど)。彼の未来を空想すると、いち演劇ファンとして心が震えます。
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メッセージなどの女性向けの台詞を書いていると少女漫画のヒーロー属性あるなと気付かされる所、スタミュ節を「どうにもならねーことってのもあるんだぜ」と一刀両断する所、群像シーンになると口数が減る所、どのキャラクターもそうですが、彼の彼らしい所が好きです。長くなりました、おめでとう。
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そして物理的に手は出ていませんが、チクッと鈍感男の鼻っ柱に針をお見舞いしてやった蜂矢とも、やっぱり良い友達だと私は思いますよ。不思議と彼らはなんだかとてもナチュラルに、大人になっても芸能人になっても特に理由なくメシに行ったり飲みに行ったりしている姿が目に浮かぶのです。
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あの時――北原の拳が南條に届かなければそれはそういうことだったということです。でもちゃんと届いたので。縄張り争いやボス頂上決戦とは違う、あれはグルーミングですね(笑)。ずっと同じ群れで、背中を預け合って、彼らは彼らなりのやり方で、一緒に戦ってきた仲間。そしてダチ。もういいね?
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(それを言うなら容易く揚羽に背後を取られてドンされるような人間でもなかったと思いますが、揚羽と南條の友情(もどき?)についてはまた別の時に、機会があれば(笑))
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クールでドライな相棒関係は3期を経た今も健在ですが、変化もありました。2人は似た者同士。北原がそうであったように、南條も、相手がチームメイトであろうとも決して自分の急所に触れさせるような人間ではなかったでしょう。
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そんな北原が出会った自分とよく似た相手――それが南條でした。ライバル相手だろうが仲間相手だろうが無警戒に信用したりせず、背中を見せず、弱みを晒さず、それ故に強か。団結しなくても、助け合わなくても、勝手にやらせときゃ悪くはならない、team鳳とはまるで違う距離感な2人です。
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無意識に、本能的に、警戒心を持って他者と接しています。ライオンや狼が群れる仲間を見極めたり、その中で自然と上下関係を築いてゆくような、そういう本能に頼るスタンスの取り方が抜群に上手いのです。敵であろうと味方であろうと無防備に背中は見せない。それ故デコを小突かれ即参ったのでしょう。
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人を煽ってゲラゲラ笑ったり自身の情熱をのらりくらりと宥めすかしたりするような今時の若者感がある一方で、彼には天性の鋭い野生性があります。物理的に強く精神的にタフな彼の周りには人が集まりますし、無遠慮に他人の間合いに足を突っ込むというある種の気やすさも持ち合わせている北原ですが、
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2期5幕、3期5幕と、奇しくも彼にまつわる話数の脚本を書いた縁もあり、何となく、気付くと横目で見て気にしてきました。
彼の心は格闘家です。無自覚に本気になるきっかけを探していた北原が、生まれて初めて親父と漣先輩以外の男に、あろうことか急所を一撃されたことは衝撃だったことでしょう。
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ということで北原廉の誕生日でした。有罪か無罪か知らんが人様の微笑ましい友情をままごとしてんじゃねーガハハなどと笑っているから丸一幕使ってああいう目に遭うんだゾ、スタミュって怖いだろ――というのは冗談ですが、この一年弱で心底惚れたライバルと、マブダチ(死語)を獲得した北原です。