そして、日生劇場を高いコストを払いながら残してくれている日本生命には心より敬意を表します。当時の経営者は1960年代に建てた時から100年残るようにと考えていたそうですが、その先見性にも感銘を受けました。ぜひ100年残して欲しい名建築です!!
見学会に参加したい方は、こちらより日生劇場のお問い合わせ下さい。料金は無料です。 【日生劇場お問い合わせ】 nissaytheatre.or.jp/contact/
高度経済成長期の建築は大らかでゆとりのあるつくりが魅力的です。日生劇場のこのゆったりしたロビーにも、それはあらわれています。今の劇場なら経済性を高めるためにロビーを削って客席を増やすでしょうが、それをしない。当時の日本にはお金があったからか、建築にも余裕と気品があります。
こうしたゆとりのあるつくりや細部へのこだわりのある建築は今ではもうつくれません。残念ながら、そんなお金も余裕も技術さえも、今の日本にはありません。だから、高度成長期の良質な建築は取り壊してはいけないのだと私は思います。
先日の町田市立国際版画美術館の建築ツアーでは、公園の再整備で壊される自然も見てまわりました。500本もの樹木や湧水の池などが失われるそうです。その再整備にかかる費用は40億!坪単価は400万円。私がもし町田市民ならこんな税金の使い方許しません!!
「東京海上日動ビル」の解体がはじまり2カ月。美しかった広場は取り崩され、廃棄物が山をなしています。この50年に満たない建築のスクラップ&ビルドで、10万トン以上ものCO2が排出されます。廃棄物も膨大な量です。今、東京のあちこちで行われている再開発は「環境破壊」以外の何ものでもありません。
再開発をおこなう企業は、再開発があたかも環境に良いかのように言います。しかし、再開発が環境に良いことは間違ってもありません! 建物を長く大切に使うことこそ、環境に良い取り組みです。東京海上日動ビルのような悲劇は二度と起こさないようにしましょう・・・それがせめても報いだと思います。
在りし日の東京海上日動ビル(1974年竣工、前川國男設計)
【悲報】坂倉準三が故郷の岐阜・羽島市に設計した「羽島市旧庁舎」(1959年)が解体されることが決まったそうです。正式発表はまだですが、中日新聞が報じ、NHKなど他メディアも追いかけているので確かでしょう。この建物は日本建築学会が保存の要望を出しています。何とかならないものでしょうか!?
目黒区庁舎の見学に行ってきました。1966年竣工で村野藤吾設計の言わずとしれた名建築です。エントランスから圧倒されます。何より60年近くも前に建てられたとは思えない美しさに驚きました。愛情をもって大切に使ってるからでしょう。東京の区庁舎で最も素晴らしい、ぜひ見に行って欲しい建築です!
銀座の「静岡新聞・静岡放送東京支社」(丹下健三設計、1967年竣工)の改修が終わったとのことで見に行ってきました。炭素繊維などを使って耐震性を高め、今の基準に合わせたそうです。メタボリズム建築は取り壊される例が続いていますが、頑張れば改修して維持していくこともできるんですね!!
村野藤吾の傑作「横浜市庁舎」(1959年竣工)の解体・改修現場の今日の様子。あの素晴らしかった市民広場(市民広間)があった低層棟はあとかたもなくなっていました。今見える高層の行政棟だけホテルとして活用されます。どちらかというと低層棟の方が建築的な魅力に富んでいたので、本当に残念です。
この跡地は三井不動産などによって再開発され、超高層ビルやライブビューイングアリーナなどが建ちます。行政棟は星野リゾートによってホテルとして利用されます。都市の広場や公園がどんどん再開発によって失われている昨今の状況は一体なんでしょうか?横浜市はカジノなどお金儲けに走りすぎでは?
人の来ない「都民広場」にどうやったら人が集まるようになるか?東京都が「西新宿地区再整備方針(素案)」について意見を募集しています。何も言わないと役人が良くない方向に計画を進めそうですので、ぜひ意見しましょう。募集は1月24日(火)までです。 toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/seibihosin/nis…
昨日の #NHK #クローズアップ現代 があまりにひどかったです。「東京大改造」というテーマで東京各地の再開発を取り上げましたが、「再開発バンザイ、素晴らしい!!」という子どもじみた内容で、この再開発がどれだけ環境的、建築的なロスを生むかという視点はありません。 nhk.jp/p/gendai/ts/R7…
さらにひどいのが東京の巨大再開発を擁護するデータとして森記念財団の「世界の都市総合力ランキング」を使っていることです。これは大手デベロッパーの森ビルの財団の調査ですよね。しかも、実行委員会の議長は竹中平蔵氏です・・・。#NHK #クローズアップ現代 の見識を疑います。
悪名高き「東京大改造」の1つ神宮外苑再開発の秩父宮ラグビー場移転・建替え計画に、元ラグビー日本代表平尾剛さんが反対する署名を立ち上げました。現地改修が環境的にも建築的にも良いのは当然です。三井不動産など一部企業の利益のために、なぜこのような損失を市民が負わなければならないのか? twitter.com/rao_rug/status…
明治神宮外苑の再開発計画に関し、神宮球場(1926年竣工、築96~97年)の取り壊し、移設・建替えにも私は反対です。近代建築として、とても美しくありませんか?建物にすごく愛着があります。 もちろん数々の球史に残る試合が行われてきた歴史的な価値は言うまでもありません。100年残しましょう!!
坂倉準三設計の「新宿駅西口広場」(1966年)の再整備が進められていますが、東京都によると将来イメージは右画像のようなものらしいです。「これは子ども落書き?」とも思うひどいレベルです。ル・コルビュジエの影響のもと坂倉が生み出した傑作広場を、こんなレベルで再整備して良いのでしょうか?
移転が計画されている秩父宮ラグビー場について、ある内部関係者から「日本ラグビー協会はもとは現地での建替えを考えていた」という驚くべき話を聞きました。さらに「もとは屋根付きでもなかった」とも。それを「儲けたいデベロッパーとゼネコンなどがひっくり返して今の案になった」とのことです。
これはあまりにもラグビー選手やラグビーファンを馬鹿にしていませんか?一部の企業などの利益のために、公共スポーツ施設を改悪して良いのでしょうか?なぜ当初案から変更になったか、日本スポーツ振興センターや日本ラグビー協会は明らかにする必要があります。ジャーナリズムも追及すべきです。
神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えるのは試合を休むわけにはいかないため、という説明が再開発の事業社から住民にあったといいますが、これは大ウソです。私が関係者に聞いた話では、当初は秩父宮ラグビー場を現地で建替え、その代替施設として熊谷ラグビー場を使うとなっていたとのこと。
3月25日で営業が終了する新宿西口のモザイク通り(坂倉建築研究所、1984年)で建築当時のモザイクタイルを発見しました!これが通りの名前の由来になったんですね。下の写真にある三角のタイルが昔は通りの床一面に貼られていました。見たかったなあ。
こちらは新宿ダンジョンの中でも、かなりマニアックな「窯変タイルの洞窟」(←私が勝手に命名)です。この「洞窟」がどこにあるかわかる人は、かなりの新宿ダンジョン通に違いありません。一面タイル貼りの空間で、タイル好きにはぜひ訪れていただきたいスポットです。
1月31日で閉館する東急百貨店本館(1967年、築55年)に行ってきました。前川國男の弟子の三上祐三さんが設計したBunkamura(1989年)のオーチャードホールは取り壊されず残るようですが、やはり寂しいです。跡地には商業施設、ホテル、賃貸住宅の入る165mの超高層ビルが建ちます。