暇十朗#140字小説(@himajuro)さんの人気ツイート(いいね順)

「いろんなイケメンに主人公が惚れられる、女性用のゲームってあるだろ?」乙女ゲーのことか。「うん。で、いろんな美少女に主人公が惚れられる、男性用のゲームもあるじゃん」ギャルゲーな。「そう。そのキャラたちで合コンする、スマブラみたいなゲームを作ろうと思う」なんでそんな酷いことするの。
親父が家族に隠れてなにをしていたのか、それを知ったのは葬儀も済んだ頃だった。泣き崩れる母、あまりの衝撃で固まる妹。代理人を名乗る男は、沈痛な面持ちで俺に語りかける。 「息子に継いでほしいと、遺言書にはそう書かれています」 無茶だ。正気の沙汰ではない。 「俺に魔法少女をやれと……?」
「たまに『おもしれー女』みたいな表現を見るけどさ。いくら相手が超絶イケメンだとしても、おもしれーとか言われたら嫌じゃない?女の子ってああいうの本当に嬉しいのかね」 「わからん。でも『つまらない男……』って超絶美人の年上お姉さんに言われたら俺はすげえ嬉しい」 「それはめっちゃ嬉しい」
私の家は呪術師の家系だ。本当に効果のある呪いだっていくつも知っている。私は嫌いな男子の顔写真を手に入れると、藁人形に添えて五寸釘を打ち付けた。翌日、明らかに標的の顔色が悪い。友人たちに相談を始めたので、聞き耳を立てる。「なんか胸が痛え」ざまあみろ。「これが恋か」おい待て落ち着け。
「これ全部万引き対策ですか?」俺の質問に、店長は鼻息荒く頷く。「もう許さん。盗めるものなら盗んでみろ」明日から監視カメラは三倍、万引きGメンは客より多く配備し、暇さえあれば店長が巡回するらしい。こりゃ確かに鉄壁だ。「じゃ、鍵よろしくな」上機嫌な店長は帰ったので、俺は金庫を開けた。
『お前が糖尿になったら、目の前でホールケーキ食ってやるよ』小太りの友人をそうからかってから一年。まさか俺が先に糖尿病になるとは。「びっくりしたよ。まあ、俺も結局なったんだけど」友人は朗らかに笑うが、言い返す気力もない。「それはともかく」目の前に小綺麗な箱が置かれた。「約束だから」
「最近の若い子に多いんだよ。『牙を突き立てるのは人間が可哀想』って嫌がるタイプの吸血鬼」繊細だよねえと彼女は笑う。こちらでいうヴィーガンみたいなものだろうか。そういった穏健派が増えるのは、人としてはありがたいものだが。「だから献血バスとか襲うんだってさ」過激の極みじゃないですか。
『消える魔球』を武器に、先の甲子園では完全試合を量産した天才ピッチャー。日本中が沸く中、本人は「凄いのは僕じゃなくてキャッチャーの田中です」と謙虚な姿勢。「確かに田中くんも優秀だけど、君の魔球があってこその偉業では?」 「あいつの『現れる捕球』がないと、ボールが消えたままなんで」
「知人の女王様のところで、しばらく豚として室内飼いされてたんだけどさ。時が経つにつれて優しくなっちゃって。ついには『夜、なにが食べたい?』なんて聞かれたから、堪えきれずに逃げ出したよ。女王様は豚野郎に意見など求めない」 「……そうなんだ。大変だったね」 「そう。その目が欲しかった」
やめろと言っているのに、麓の村はまだ我に生贄の生娘を捧げてくる。そういう時代じゃないからと何度断っても。やってきた娘たちも「村八分にされるから帰ることはできない」と泣き出す始末。仕方ないので金を包んで上京させているが、村の爺婆から『過疎化解決』を祈られたときはさすがに耳を疑った。
帰宅するとなぜか彼女はしたり顔。どうやらベッドの下に置いていたエロ本を見つけたらしい。「別に怒らないけどさ。定番がすぎるというか、もっと上手く隠す努力をしなよ」からかうように言われ、少しホッとする。別に本は隠していないんだ。その更に下、床板を剥がすと出てくる死体は隠しているけど。
「これが21世紀の日本か!」感嘆の声をあげた彼らは、なんと数百年後の日本からタイムスリップしてきた未来人らしい。「なぜこの時代に?江戸時代とかの方が面白そうだけど」私の疑問に一人の青年が答える。「観光ではなく勉強旅行なので。日本史の教科書だと、21世紀のページは全部黒塗りなんですよ」
霊感がある友人と心霊スポットに来た。「なんか見えるか?」声に反応して友人はこちらを向く。が、どうもその視線は俺より手前を見ている。まさか俺とお前の間に霊がいるのか。「いるというか──あ、すいません──ライブ会場みてえな──ちょっと通して!──感じだわ」近づくのにかき分けるレベル?
「私は無駄が嫌いでね」 「はい」 「浪費癖のある無能は不要。君たちスタッフに求めているのは下品な華美ではなく、突き詰めた機能美だ」 「はい」 「会話とて同じこと。無駄なく有意義な時間にしたい。わかるね?」 「はい」 「よろしい。端的に、結論のみを」 「田中課長が爆散しました」 「過程を」
「幽霊とか怖くないんで。いたらぶん殴ってやりますよ」酔った後輩がそんなことを言い出すので、近隣の心霊トンネルに放置してきた。大回りし、出口で待つこと数十分。中からすごい勢いで走ってくる後輩。よく見れば片頬が腫れている。「カウンター食らいました。なんか格闘技かじってますよ、あいつ」
意中の彼から突然LINEがきた。 『今夜はとても月が綺麗だね』 これは、どっちだ……?無知なだけか、それとも脈があるのか。彼は夏目漱石を知らない気がする。だけど、もしもそういう意味だとしたら大チャンスだ。難しい顔で唸っていると、またスマホが鳴った。 『By 夏目龍之介』 無知で脈があった。
「あなた、彼じゃないでしょ。ドッペルゲンガーってやつ?」私の指摘に、彼と同じ姿をしたナニカはぐにゃりと笑った。「恋人ってのは恐ろしいね。家族でさえ気づけない俺の入れ替わりを、まさか見抜くとは。容姿に差異はないはずだが」 「本物の彼は山奥に埋めたもの」 「本物の彼は山奥に埋めたの?」
仕事をクビになり、電気やガスも止められた。死を悟った俺は、昔入手した呪いのビデオを見ることにした。壊れたはずのデッキはするするとビデオを呑み込み、コンセントの抜けたテレビに井戸の映像が映る。這い出てきた黒髪の女は画面から身を乗り出したが、「いや暑いわ」と呟いて井戸に戻っていった。
「さっきタンスの角に小指をぶつけちゃったんだけどさ」 「痛そう」 「タンス側の代理人から連絡きて」 「ほう」 「要するに『被害者ぶるな』と。『微動だにしていないタンスにぶつかってきたのはお前だろう』と」 「正論ではある」 「10対0で過失はこちらにあるらしい」 「相手は止まってたからなあ」
友人のアパートへ遊びにいくと、引っ越しの相談をされた。正直この部屋のなにが不満なのかまるでわからない。立地もいいし、家賃も安い。それにさっき見かけたが、隣室は美人な女性だった。男子大学生の一人暮らしには理想的すぎるだろ。しかし、友人は首を横に振る。 「隣、空き部屋のはずなんだよ」
「お母さんもな、昔は美人だったんだよ」お猪口を片手に、しみじみと親父が呟く。既にかなり酔いが回っているらしい。お袋がこの場にいなくて本当によかった。げんなりしながら俺は釘を刺す。「その話はもういいから。それ以上は絶対にやめろよ」「今は美の女神だけど」「やめろって言ったじゃん……」
「へー、オッサン偉いんだな」 「貴様、陛下になんと無礼な!」 「よせ。堅苦しいのは私も苦手だ」 ……その日の夜、王様はベッドの中で考える。『あの対応は少し甘すぎたかも。でも敬語を強要するのは器が小さい感じがするよな。嫌だなぁ、明日から臣下にタメ口使われたら。怒るに怒れないし、気が重
「このシュートが入ったら、僕と付き合ってほしい」体育館に呼び出され、私はそう告白された。相手はバスケ部のエースだ。別にこんなことしなくても、答えはOKなのに。外したらどうするの──「あ、やべ」嘘でしょ。即座に跳んだ私は、弾かれたボールをリングに直接叩き込む。よかった。ダンクできて。
「勇者よ、我が軍門に下れ。貴様は殺すには惜しい人材だ」 「ふざけたことを!」 「幹部候補として厚遇するぞ」 「え、マジで?」 「マジ。どうよ」 「年間休日は?」 「福利厚生はしっかりしてる」 「年間休日を訊いてんだよ」 「……52日」 「民と平和の為にお前を討つ!」 「かかってこい勇者よ!」