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夜勤に溌剌な新人がやってきた。その齢、68。業務を瞬時に把握し、昭和の古き良き接客でお客様を術中に惹き込むので履歴書を拝見したら、有名料理店を渡り歩いて支配人の座にもつき、名門ホテルの研修も担当、特許を数多く取得、デザイン工房で大賞を獲得と怒涛の経歴で当店、完全に持て余している。
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「お客様は神様だろぅ！？」とお怒りになったお客さんに対して、淡々と「神は死んだ」と返した期待の大型新人が夜勤にやってきました。ゆとり世代ならぬさとり世代である彼の今後の活躍に期待したいところです。
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「おい、地球の外周を測るにはどうする？」と難問を出す教師が苦手で「影を使います」と寝ぼけ眼で答える態度も嫌われていると思ってた。欠席した日に「おい、松駒……何だ、今日はいないのか、つまらん」と寂しがっていたことや、教師×私の小説が出回っていた事実を同窓会で知って涙を禁じ得ません。
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「一万円を細かくしてきて」との指示に「分かりました！」と福沢諭吉をシュレッダーにかけた大型新人が親父の職場に来たそうです。「彼でも内定を貰えたのだからお前も頑張れ」と言われたのですが、こう、逆立ちしてもこの新人には勝てない気がします、色々と。
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お正月から連勤で「機械が労働を肩代わりしてくれる社会、いつ実現するんですか？ 21世紀に不可能なんて無いはずでは？」とロボット工学を研究する方を問い詰めたら「完全自動セルフレジ機はもう実用段階にあるけど、人間を雇った方が安いから」と返され、いっそ機械のように蜂起して反乱を企てたい。
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「作りすぎたから食べに来て」と友人から招かれ手料理を振る舞われたので、就職を機に自炊を始めた理由を尋ねたら「上司を食材に見立てて料理するの最高に楽しい。手打ちうどんなんて、踏んで捏ねて均等に切り刻んで茹でられるんだぜ？」と語られ、食材に対する拷問の成れの果てと思うと喉を通らない。
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小さなマイバッグを持参のお客様、どう詰めても入りきらない量をお買い上げなので、レジ袋の購入を勧めたら「無料にしろ」と大騒ぎ。居合わせたニーチェ先生が「お口が大きいようですので、そちらにお詰めしましょうか？」と提案しだして、お客様を物理的に黙らせつつ袋詰めを行うの、御遠慮頂きたい。
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「こんな思いをするのなら花や草に生まれたかった」、声優のスキャンダル発覚でファンから発せられた一言なんですが、和歌にも劣らない出来ですよね。このように、人間に強い負荷を掛けると文学が芽生えるものですが、面白い文章を書きたければ絶えず地獄に飛び込み続けなければならないわけで。辛い。
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「煙草！」「煙草だよ！」と執拗に繰り返すお客様。お求めの銘柄を尋ねても「言わなくても分かるだろ！？」と一方的だったけど、ニーチェ先生がおもむろに保留ボタンを押し、会計額を非表示にした上で「お会計頂きます」「言わなくてもお分かりですよね？」と、無茶を鏡に映して跳ね返していたの凄い。
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お一人様一点までの商品を爆買いしようとするお客様が御来店。お断り申し上げると「私は多重人格だから！」と春めいていて、困り果ててたら、ニーチェ先生が「電車でお越しとお見受けしますが、切符はもちろん、人数分、買われてますよね？」と切り返したので、お客様目線で鍔迫り合いに持ち込むとは。
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奨学金の返還が完了したので報告致します。皆さまに『ニーチェ先生』をお買い上げ頂いたおかげで、学費に充てられました。本当にありがとうございます。「コンビニバイトなんて全く身にならないじゃん」「夜勤やって成績落とすなんて馬鹿なの？」と責められ続けましたが、こういった形で報われるとは。
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自身の実写化に興味なさげなニーチェ先生に「ドラマの二期が実現するかもしれない」と報告も兼ねて自宅を訪問したら、原作者の私すら持ってない希少なタオルが飾られていて、これ、DVD&Blu-ray購入者イベントに当選した方でないと貰えない物なので、ドラマを大変お気に召してる可能性ある。
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道路工事が始まり、肉体派ご一行様が来店。筋骨隆々の集団に紅一点。お買い上げのブラックコーヒーに1つだけいちごオレが混ざっているのは彼女のためかとほっこりしていたら、彼女はブラックコーヒーを取って、心身共に鉄骨な親分がいちごオレに手を伸ばしていたので、染みわたる甘さにとろけている。
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「『ニーチェ先生』が200万部突破？ 豪遊し放題なんだろ、大作家先生」と知人に茶化されたので、公開します、現時点の年間収支。ご査収下さい。ダブルミリオンいけば人生安泰、少なくとも普通にはなれると夢見てましたが、あまりに程遠い。そりゃ文筆業は事業税ゼロだわ、事業として成り立たない。
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トラックの運転手さんが「忙しいところ、ごめんな。道が分からなくてよ……」と尋ねてきて、即席の地図を書いて教えた。それから一週間後、おっさんが私を見るなり喜色満面で「やっと会えた！ 直接お礼が言いたくてよ、通い詰めたんだ。あんときはありがとな！ 」と言葉を掛けられ、心が溶かされた。
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「ライターが120円？ 他のコンビニなら100円だぞ、値下げしろ。この店は20円も惜しいのか！」という激昂に、ニーチェ先生が「道端なら石がおちてますので、そちら御利用頂ければ100円も浮きますが」と火起こしを提案してたけど、この状況下、火気厳禁なので、あまり焚き付けないで欲しい。
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六畳一間にガラクタの牙城を築く友人が空き巣に入られた。「印象派のレコード、稀覯本……」と呟いていたので心配したら「価値の高いものだけを盗むとは、泥棒にしては教養が高い。気が合うやもしれん」と言い、犯人と文通を始めて面会にも行き出したので、空き巣から始まる友人関係に手汗握っている。
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採れたてピチピチ、高校1年生の新人に「初めて貰うバイトの給料は何に使う？」と聞いて、両親をご飯に連れて行くのかな、それとも自分の欲しい物に使うのかなと、若者らしい前途ある回答に期待を寄せていたら、間髪入れずに「借金返済です」と返され、雑談掘り起こすつもりが不発弾を引き当てた模様。
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｢レジ袋有料化｣割れたコンビニと外食の対応
toyokeizai.net/articles/-/359…
コンビニのレジ袋、バイオマス配合率25%以上なのにどうして無理に有料化するんだ……何か事情が……？と思ったらコレです。地球環境のためでも、お客様のためでもなく、ただただ本部の儲けのため。極悪非道の挙動です。
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石油王に養われた～いって昔と変わらず思っているけど、「年間110万円以上だと贈与税の対象になるから、月々9万円の援助に留めて欲しい」「指輪や貴金属を貢がれても困る、1個30万円以上の売価だと課税対象になるから……箱の飲料水なら嬉しい」と夢が萎んでるの、これが大人になったってことですか？
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成人式の振袖や着付け、目玉が飛び出るほどの額を散々聞いてきたけど、「値段？ 分からないな……親が全額出してくれたっていうか、実家がお寺だから、家にあった重要文化財を着て、記念写真を撮ったのね。鑑定に出さないと知りようがないよ」という友人の話を聞いて数年来、顎が外れっぱなしでいる。
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自分の絵や文章を「面白くないので」「駄目駄目です」と卑下すると、「謙遜が嫌味に聞こえる」「貴方の作品を楽しんでいる人に失礼」と批判されるけど、面白いっていうのは自分にない技術とセンスや発想に抱く強い感情だと思うし、その観点でいうと世界で一番面白くないのは自分の作品になるからです。
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お客様の誤解を招くので、次の行動は慎みましょうという接客DVDを鑑賞。笑う→馬鹿にした、目が合った→監視した、目を合わせない→接客に身が入ってない、袋にテキパキ詰める→乱暴に詰められた、他の従業員を呼ぶ→たらい回しにされた……一挙一動が地雷原なので、もう第六感で接客するほかない。
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「お箸をおつけしますか？」に対して、「手掴みで食べろっていうのか？ あ？」と突っかかれたり、「フォークに決まってるでしょ」と鼻で笑われたり、「いちいち聞くなよ面倒だな」と烈火の如く怒り出したりするので、何にも動じないように、機械に徹して「オハシヲオツケシマスカ？」と聞く毎日です。
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物腰柔らかで言葉遣いや接客態度が丁寧な店員さんほど「怒らせると面倒極まりないから、細心の注意を払って接客しているだけですし」「人間は救いがたい種族だから早く悔い改めるか滅びるかすればいいと思う」「ニンゲン嫌い……ニンゲン怖い……」と休憩室で喚いているの、接客業の闇を色濃く感じる。
こんなはずじゃなかった