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最初は、全国の動物園の普及啓発効果を、ウェブデータを使ってどうにか定量化できないかということで始めた研究です。が、いくつかの動物で2017年に謎のピークがあったことが、けものフレンズに気づいたきっかけです。最初は無視しようと思いましたが、これも大事な普及啓発であると考えを改めました。
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なんという力業の野外操作実験!
草原にランプを設置して下層植生に光照射し続けると、富栄養や植食動物がいないプロットでも光を巡る競争が緩和され、植物多様性が低下しにくい。 Nature (2022)
nature.com/articles/s4158…
つまり草丈が高い植物による「競争排除」が、多様性を低下させることを示した。
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屋上緑化も普及して時間がたつので、そろそろビルの屋上に定着した雑草でビル間の遺伝的分化が進んできてもいい頃合いだと妄想しています。高層ビルの屋上を孤立した島と見立てた「天空で起きる急速な進化」、どうでしょうか。(既に研究あるのかもしれない)
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生態学者におススメするSFを勝手に考えていますが、『法治の獣』春暮康一が暫定首位かもしれない。3作の中編集ですが、それぞれ動物行動学・進化生態学・群集生態学をモチーフにしたマニアックな生態学SF。
ハヤカワ文庫さんは、これを掲げて生態学会年次大会の書籍販売コーナーに殴り込みしてほしい
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これはすごい。これまで生活環境が、人間の微生物相と免疫関係の疾患に与えることは色々示唆されていたものの、観察研究がほとんどで明確な因果関係は不明だった。この研究は、保育園の園庭を自然豊かにする介入試験を行って、因果関係を明確にしている。
論文:advances.sciencemag.org/content/6/42/e… twitter.com/mainichi/statu…
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ホラー映画や絶叫マシンなど、なぜ人は恐怖を楽しむ性質があるか興味があったのですが「稀な実際の恐怖体験のシミュレーションのため」という仮説があるようです。以下の論文では「ホラー映画ファンは、Covid19のパンデミック時に高い回復力を示した」と仮説を支持する結果を示して面白いです。
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ナガミヒナゲシって、誤情報として絶妙ですよね。確かに外来種ですが、「根こそぎやられて生態系は破壊」どころか在来種への影響は不明だし(農地/都市など攪乱地にしかない?)、アレロパシーの影響なんて誰も調べてない。でも駆除することは誰の不利益でもないので、怪文書がネットの海に漂い続ける twitter.com/nikojun619/sta…
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耕作放棄地が農地周辺にあることでどれくらい雑草・病害虫・獣害の発生(と防除コスト)が増加するか、という定量的研究を探しています。経験的にはよく知られている気がしますが、きちんと調べようと思うと、個々の農地周辺の景観や品目の違いを考慮した解析が必要なので、定量化はなかなか難しい?
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これは凄い執念の研究だ。カメの違法取引がどこでどのように行われるかを丹念に追っている。Facebookグループ, インターネットフォーラム, 実際の市場(金魚市場)に入って違法取引を定量化。
sciencedirect.com/science/articl…
結果、Facebookが最大のマーケットであることを突き止めた。まるで潜入捜査です。
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この鳥追いカイト、うちの農場では効果があるようで色んな所に立ててあります。鳥たち直ぐ慣れるかと思ったけど効き続けてます。慣れが起きない理由は、隣の演習林に本物のオオタカがいて時々農場の鳥を捕食してるからじゃないかと思ってます。農地への間接的な生態系サービスだったら面白いですね。
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Q. 世界最大の侵略的外来生物はなにか?
A. コロンビアのカバ
コロンビアの麻薬王が勝手に輸入したカバが野生化、個体数&分布拡大中。駆除か分布制限しないと激増すると予測。Biol. Conserv. (2021)
sciencedirect.com/science/articl…
カリスマ的人気のある絶滅危惧種の侵略的な集団を駆除可能か?注目の事例
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観察するだけなら実験も簡単なので、お子さんの自由研究などにピッタリかもしれませんね!
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慣行に比べ、有機農産物は、栄養や人間の健康にはほとんど影響しないが、生物多様性には一定の貢献がある。しかし、有機(化学農薬不使用)が生物多様性を向上させる最も良い農法ではない、慣行農家も採用できるより良い方法があると主張する生態学者も多い。以下、有名な意見論文+反論+再反論を紹介
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自分で考えてみた。農閑期の1-3月の寒い日。肥溜めから、ドラム缶2つ分(400kg)の人糞・尿を汲んで、田んぼまで運び、田の中にばらまく。これを2か月毎日やって、やっと24トン。排泄物への忌避は多少慣れるにしても、やっぱりつらいだろうな…。この合間に牛馬の世話とか草刈とか…文明は有難い…
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ゴールデンカムイ,チェーザレ,同志少女よ、敵を撃て等々、膨大な学術的知見を散りばめた魅力的なフィクションの数々。作者がどう文献を探し収集し作品に組み込むか、体系的な仕事術を知りたくないですか?私はすごく知りたい。研究者としては、学術的知見を世に役立たせてもらうヒントにつながる。
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「窒素肥料の過多が植物の葉を茂らせるばかりで、実の生産量の低下を招くのはどのようなシステムによるのか」となりますが、農業技術的には広く知られていることがらでも、植物生理学分野からの説明はまだほとんどできていません。
jspp.org/hiroba/q_and_a…
進化生態学分野からの説明もまだな気がする
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多分これまで放流を推進した団体を責めているわけではなく「科学のチカラ(膨大な野外データ取得と緻密な分析)でこういうことが分かったので、放流の是非を皆で考えませんか」ということを伝えれば、子供は本当に色々考える気がします。それこそ良い環境教育の題材になると思います。
>RT
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なんか衝撃。アイアイは虫などを採餌するため中指がめっちゃ長い。その長い指を使って鼻をほじっている行動が動物園で観察された。おそらく喉までいってるだろうとのこと。
動画:youtu.be/sz_H-ZsSevo
…lpublications.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jz… J Zool. (2022)
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農業のうち、コーヒーなど大企業との関連が強い農産物ほど気候変動/生物多様性への対応が迫られていて、実際ネスレやUCCは生産者に投資をして農業を低環境負荷に変革しようとしてる。日本の農業では「茶」がこれにあたると思ってて、お茶飲料企業の動向を調べてみたら、伊藤園は2023年の3月に
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今回の研究は、いろんな方の協力がなければ達成できませんでした。共著者である多摩動物公園の田中さん(九大の先輩です)・同僚の東大・曽我さんをはじめ、東京動物園協会の方々、けものフレンズプロジェクトの方々、国環研の坂本さん、その他原稿を見ていた方々、どうもありがとうございました。
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個体数の減少が生物学的絶滅につながるように、市民の関心と記憶の衰退が「種の社会的絶滅」につながるかもしれないという、コンセプト論文。
sciencedirect.com/science/articl… TREE (2022)
社会的絶滅は、社会の保全への支持を低下させる。主に保全教育・マーケティングが絶滅を緩和するために必要だろう。
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沖縄に漂着している軽石。沿岸の動植物や影響を受ける方々には甚大な被害をもたらす絶望的な災害ですが、一方で、激烈な環境変化に対して、沿岸生物がどのように適応進化するかを理解する貴重な機会だと思います。前後で比較するには、まさに今のデータ必要です。どなたかが行っていることを祈ります!
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みどりの食料システム戦略により有機農業が今後強く推進されるのは間違いないですが、(消費者の気持ちには寄り添いつつも)そのマーケティングに明らかな疑似科学がは入り込まないように注意が必要だと思う。農業・農学だけの問題だけで無く、科学・社会一般に大きな負の影響が懸念されます。
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日本のいくつもの動物園が長期に休園しているこの状況、動物園管理学的には面白いのではないでしょうか。色々な動物をビデオ撮影しておけば、園が再開した時と比較して、動物園動物が来園者のヒトに、ストレス・好奇心を感じているのか/いないのか、動物によって反応が違うのかなどが検証できそう。