僕の友人は紛れもない天才俳優だ。 役に没入するあまり、日常生活の中ですらその役になりきってしまう程だ。そんな友人と飲んでいた僕は、つい愚痴を漏らした。「僕も君みたいに、何か才能があればなぁ…」 「何言ってんだ、お前は天才だろ。役作りは順調か?確か今度は『天才俳優の友人』役だっけ?」
ヤンデレの女の子に好かれてしまった。女友達と話してるだけで静かに発狂するし、朝起きたら42件もメッセージが届いてるなんて普通だった。風邪で寝込んだ時も当然のようにいつの間にか部屋にいて、看病してくれた。 「ゴホッ…いいって。病気うつるぞ」 「いいの。私はもう、貴方に病んでるから」
大好きな人に告白した。 「私より背の低い人はちょっと…」 フラれた俺は骨延長手術を受けてリトライした。 「私より年収低い人はちょっと…」 出世を繰り返し、役員になった。 「太ってる人は…」 痩せた。 「顔が好みじゃなくて…」 整形した。 「私より年下はちょっと…」 僕の方が、年上になった。
「俺達、親友だよな」 「どうした改まって」 「戦場に行く前に、お互いだけの秘密を共有しないか?」 「いいぜ」 「じゃあ俺からな。実は俺の姉、血が繋がってないんだけど、好きになっちまったんだ」 「マジなのか?」 「あぁ。次は、お前の秘密を教えてくれ」 「お前の姉ちゃんと付き合ってる」
「娘さんを僕にください」 「その言い方は極めて不適切だ。娘は私のものではない。そして君のものでもない」 「…まさか」 「そう。〝蛇神様〟のものだ」 「生贄…ですか」 「村の安寧のため…仕方ないのだ」 その夜。 僕は彼女をつれて村を出た。 その後、風の噂で、1つの村が水害で滅んだと聞いた。
Q1:小学生の頃どんな技を練習しましたか? という質問に、様々な解答が寄せられました。 波紋・かめはめ波・霊丸・二重の極み・螺旋丸・ギア2・月牙天衝・領域展開・水の呼吸… しかし Q2:それは習得できましたか? という質問に97%もの人がNOと答えました つまり、挫折は決して恥じでは無いのです
緊急停止ボタンを押して、線路の上の子犬を救った青年が話題になった。 しかし「子犬をどかせば済む話だった」という批難の声が目立ち、青年は炎上した。 『押しちゃいけないモノほど押してみたかった』 それが青年の秘めたる本音だった。 今、駅のホームにて、青年は、利用客の背中を見つめている。
「私はランプの精。さぁ願いを3つ叶えてやる」 「お願い!私の彼氏を生き返らせて」 「うむ」 後日 「残る願いは2つだ」 「私の彼氏を生き返らせて」 「また死んだのか?いいだろう」 後日 「最後の願いを言え」 「彼を生き返らせて」 「またか?」 「えぇ。あの男は、何度殺っても足りないから」
「助手君、ついにタイムマシンが完成したぞ!」 「本当ですか博士!?」 「ただし注意点がある…これは5回しか使えないんじゃ」 「わかりました!」 僕はさっそく江戸⇒弥生⇒白亜紀を時間旅行した。そこでタイムマシンは起動しなくなった。 「あれ?」 ……あ 博士が〝完成〟を確認したってことは…
コンビニ強盗は銃を突き付けた。 「金を出せ」 「お客様、大変です!」 「あ?」 「銃にセーフティー(安全装置)がかかったままです」 強盗は鼻で笑う。 「そうやって隙を作ろうってか?クラシカル(古典的)だな…その手には乗らねぇよ」 強盗は勝ち誇り、続けた。 「モデルガンにそんなモン無ぇからな」
「質問ある人は?」 「お母さ…あ…先生!」 クラス中に笑い声。 「タケシ君!これで4回目よ?先生はお母さんじゃありません」 「ご、ごめんなさい…」 タケシは真っ赤になって俯く。それでも、タケシの間違いは卒業するまで続いた。 先生が本当の母だったとタケシが知るのは、卒業した後の事だった。
「お爺様、お婆様、ただいま戻りました」 「おぉ、桃太郎…!鬼は退治できたかい?」 「…お爺様。鬼がどのように産まれるか、ご存知ですか?」 「?」 「鬼ヶ島には、大きな大きな桃の木が1本、ございました」 「……」 「…最後の鬼を、退治致します」 そう言って、桃太郎は己の首に、刀を添えた。
親友(新郎)の結婚式で、新婦さんの顔を見たら、まさかの元カノだった。招待状で名前を見た時、どうせ同姓同名だろうと甘く考えていた俺が馬鹿だった。挨拶済みのご両親と目が合う。めちゃくちゃ気まずい。 新郎新婦には既に3歳になる子供がいた。 式場にいたその子は、なんとなく、俺に似ていた。
父は寡黙で照れ屋だから、大事な言葉はいつもお酒の力を借りて言う。 でも、酔った勢いで褒められても、心がこもって無いみたいで、少し嫌だった。 私が志望校に合格した日、父からビール片手に「よく頑張ったな」と言われた時も同じ気分だった。その手に持っていたのが、ノンアルだと気付くまでは。
「今日こそ吾輩の勝ちだアンパ○マン!もう新しい顔も来ないぞ!」 「仕方ない…〝僕〟はここまでだ」 「ん?」 「今まで色んな人に僕の顔を食べてもらったのは、なぜだと思う…?」 「ま、まさか…」 「そう…1番食べた人が〝次の僕〟になるんだ」 同時刻のカバ○ 「ゲン…キ……100…倍………」
「お前、逆突き以外も使えよ」 空手部でそう言われ続けて2年。それでも俺は逆突きを磨き続けた。毎日1000回の逆突きを欠かした事は1度も無い。いつしか俺の逆突きは神速の域に達し、他校からも〝逆突きの池田〟と恐れられた。そして迎えた決勝戦、あり得ないほど美しく、俺の回し蹴りがキマった。
娘のSNSアカウントを見ていたら、最近、娘に彼氏が出来たとわかった。そうか、もうそんな年頃か。 「彼氏が出来たようだな」 「え!?」 「大事にしなさい。彼は良い青年だ…」 「会ったことないのに?」 「パパな、6つの女の子アカウントを持ってるんだが、そのどれで誘惑しても、乗らなかったんだ」
「私達にも拒否権があっていいと思います!」 その一言で、業界初の、アイドル側が握手を10人まで拒否できる握手会が開かれた。ファン達は、自分が拒否られたらどうしようと、怯えながら列に並ぶ。 10人目が拒否られた瞬間、会場は安堵の息で溢れ、アイドルは叫んだ。 「すみません!追加20人で!」
「息子よ…俺も、もう長くない」 「親父…」 「お前に、言わなきゃらなんことが…」 「なんだ?」 「いや…やめておく。代わりに、俺が逝ったらこの封筒を開けてくれ」 「遺書か?」 「辞世の句を記してある」 少しして、親父は他界した。 辞世の句にはこうあった。 隠し事 死ぬまで言えず 隠し子と
深夜遅く、やっと晩飯のカップ麺にありつけたかと思えば…急患だ。 帰宅途中、赤信号を渡って車に轢かれた残業帰りの会社員らしい。 看護師は言う。 「いっそのこと、会社に泊まればよかったのに」 俺は答えた。 「せめて、子供の寝顔だけでも見たかったのかもな」 それを叶えるのが、俺の仕事だ。
公園の子供達がうるさいので注意しに行った。 「お前らうるせぇんだよ!」 すると子供達は俺を見つめて言った。 「オジさんもサッカーやる?」 「やる!」 その日は最高に楽しかった。生きる希望を見出したし、再就職もした。あの子供達はもういないけれど、今は俺の子供達と、あの公園で遊んでいる。
『はい、消防署です。火事ですか?救急ですか?』 「助けて下さい!大火事です!!」 『すぐに向かいます。場所はどこですか?』 「https://XXXXです!」 『? なんですって?』 「僕のブログです!大炎上してます!鎮火してください!!!」 『こういう事するから炎上するんですよ』
そろそろ夫を毒殺することにした。 しかし、料理に毒を入れても「調味料変えた?」と言われるだけでピンピンしている。話を聞くと、夫は幼少期から毒見要員として育てられた生き残りらしく、毒耐性が強いらしい。 「今、人生で一番幸せなんだ」 そう言われた私は、すっかり毒気を抜かれてしまった。