年を重ねるというのは、自らの経験の無意味さを受け入れることであり、その内の二つ三つ程度しか、本当に重要なものなんてないという事実を受け入れることでもある。でも若い頃はなかなかピンとこないものなんだよね。キャリアや『こうあるべきだ』ということに縛られてしまうから。
僕はいかなる失敗も恐れない。なぜなら、そのような不確実性の中から、何かが救い出され、何か価値あるものが生まれることが多いからだ。失敗なくして進歩はない。そして、各々の失敗から学ぶ教訓がある。
(『戦場のメリークリスマス』公開時の広告より) 男たち美しく 密林ふかく 海原はてしなく 敵もなく 味方もなく 全ては、自然の 虜われ人。 哀しい目をした 彼等は兵士。
(映画『戦場のメリークリスマス』の出演について、台本を読んでみて) いつでもこの映画のためにスケジュールを空けます。
(漫画『ベルサイユのばら』の主人公オスカルの瞳について) 視線をちょっとずらす。どこを見ているのか分からないという神秘さ。私、デヴィッド・ボウイが大好きで、ボウイ様ってそういう眼をしてるのね。そこからなんです。 ──池田理代子(漫画家)
僕について人々が知らないことがあるとしたら、ユーモアのセンスを持ち合わせていることだね。(02年)
今の世の中って、余りにも沢山の情報が溢れている。本当なら何が適切なものなのか選択して生活の中に取り入れていくべきなのに、それが不可能になってるよ。それを解決するには、僕達がもっとシンプルな生活スタイルに戻らなくちゃいけない。(83年)
「今」、そして「今日」を大切に生きるべきだと思うね。あまり先ばかり見つめていると、間違いなく己の死に行き当たる(笑)。
『汚れた血』でドニが苦しみながら路上を突っ走るシーンでデヴィッド・ボウイのモダン・ラヴが流れるんだ!そこのシーンだけ何十回みたかわかんない!ドニがモダン・ラヴで夜のパリを疾走するんだ! ──峯田和伸(銀杏BOYZ) ✳︎汚れた血:86年レオス・カラックス監督によるフランス映画の名作
(ジョン・レノンについて) あれほどオリジナリティのある人は今後現れないかもしれないな。 ✳︎83年12月8日香港公演にて、ボウイはレノンの命日を偲び『イマジン』を歌った
ミックにキースが、ボウイにミック・ロンソンがいたように、吉井和哉には菊地英昭がいます。 ──吉井和哉(ザ・イエロー・モンキー)
若い子たちが「有名になる為に必要なら何でもやっていい」なんて吹き込まれていることに驚いてしまう。非常に嘆かわしいよ。僕らの世代は、どんなに傲慢で野心的であろうとも、良い事を成し遂げて有名になりたいと思っていた。でも今は、有名になること自体が目的になってしまっているんだ。(03年)
僕は「新しい」という概念に懐疑的だな。むしろ「置き換える」という考え方のほうが、僕には馴染みが有るね。なぜなら全てはあらかじめ存在しているのであって、新しい物など無いのだから。また、古いものも無い。結局僕たち人間がすでに知得してきた物を繰り返し置き換えているだけなんだ。
(87年のベルリンの壁の西側でのコンサートを振り返り) 忘れもしないよ。僕の音楽家人生で最も感情が高まったパフォーマンスの1つだと思う。ー東ベルリンの人達がこちら側の演奏を聴こうとしているのが分かった。…ああ、今思い出しても声が詰まってしまう。 ✳︎動画:当日の壁の両側の様子
今夜は皆で幸せを祈ろう。壁の向こう側にいる我々すべての友人たちに願いを送ります。 ✳︎87年ボウイはベルリンの壁の西側で野外ライヴを行い、スピーカーを東側にも向けて設置した。音漏れを聴いている東側の群衆に対し、ドイツ語でこの様に述べて「ヒーローズ」を歌った
歌詞にばかり目が行く人には本当に腹が立つんだ。曲そのものにはメッセージが込められていないみたいじゃないか。(80年)
僕は小さい頃、本当に内気だった。そんな自分が人前で歌うことなんてできないと思った。だからこそ、僕は変装することにしたんだ。
好きな本や音楽を見つけると、誰かに知らせたくなる。でも、もっと好きなやつになると、今度は逆になる。誰にも知らせたくない、と感じるんだ。「こんな凄い、素晴らしいものを、自分以外の誰かが分かるはずない」ってね(笑)。
人間の最大の欠点は、知識ではなく確実性を求めるということなんだ。だけど、確実なものを求めるなんて、犬が自分の尻尾を追いかけてるようなもので、到達不可能なんだよ。
僕は日本の"バランス"が好きだ。ごちゃまぜの刺激がとても。すべてが古くて、すべてが新しい。これは素晴らしいことだと思う。(79年) ✳︎写真:80年京都にて鋤田正義氏による撮影
自分の中ではアルバムごとに違う印象ってのが面白いと思うんです。デヴィッド・ボウイって、その時代によってまったく変わってたりするじゃないですか?─そういうのを平気で出来ちゃうのがかっこいいと思うし、自分たちもそういうバンドでありたいですね。 ──今井寿(BUCK-TICK)
僕がじっくり鑑賞するのは、盗めるところが有る作品だけだね。 ✳︎写真:ボウイがアルバムジャケットの元ネタにした作品たち
パンクロックこそ長い間待ち望まれていた音楽だと思うんだ。パンクそのものじゃなく、音楽として表現されてるもの、つまり、古い考えを壊していくという状況そのものがね。
(『火星の生活』について) 自分の中ではトップに位置する曲だね。当時僕が感じていた不満みたいなものをうまく捉えていると思う。社会には理不尽な事や、苛立ちを覚える事が沢山あった。僕は「1人で宇宙に立ち向かう」というような事に強い思い入れが有り、この曲でもそれを表現しようとしたんだ。
知らない街を知りたい時は、手持ちの小銭を数えて地下鉄に乗る。そして、その小銭で、行ける所までいくんだ。これが一番の方法だね。そして、到着地の辺りを散策するんだ。この前、2004年に最後に東京へ行った時に、僕はこれを何度かやったよ。 ✳︎画像は90年撮影