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昨年秋、TBSのプロデューサーが突然私のところに現れ、「嘉糠先生、監修をお願いできませんか。主人公は変人の寄生虫学者です」と言われて始まったドラマ『インハンド』のお手伝いですが、ついに今夜第1話の放映です!#朱戸アオ #インハンド tbs.co.jp/inhand/
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第2話のマダニ媒介性感染症、私自身もかなり思い入れのある回で、素晴らしい仕上がりにキャスト・スタッフの皆さんに心の底より感謝です。加えて、山下さん始めキャラがテイクオフのように徐々に立ってきた、というのが率直な印象。義手の謎も少しずつ出て来ています。次回以降も本当に楽しみです!
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【第2話こぼれ話】紐倉が顕微鏡で観察するハートランドウイルス(緑色)は、実は私の研究室で培養したデングウイルスⅡ型の染色像です。また随所に慈恵医大附属病院の新棟でのロケ映像が使われています。マダニ採集シーンでの白タイベックも慈恵方式です!(身体に取り付いたマダニが見つけやすい)
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【第4話こぼれ話1】トキソちゃんことトキソプラズマ、監督がどんな寄生虫なのか知りたいとのこと、HFF細胞内で容赦なく増殖し細胞膜を破壊して大挙してにょりにょり出てくるタキゾイト達の動画を見せたところ、気持ち悪い!と予想通りの返答で(笑)、可愛いアニメに落ち着きました。#インハンド
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【第4話こぼれ話2】入谷がセクメト・ジャパンにいる回想シーン、研究室の白板に書いてある一連の構造式は、実はT-705(製品名アビガン)の合成方法でした。国産の抗RNAウイルス薬で、インフルエンザやSFTSVだけでなくエボラウイルスにも効くことで世界の注目を集めた日本の至宝です! #インハンド
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【第5話こぼれ話1】某地でのロケに同伴した時、リハでの英語のセリフを通した山下さんが第一声「これ、セリフおかしくないですか?」。文法は正しい英語の文章だったのですが、実は厳密にはストーリーと齟齬があることが判明。監修の私も含めて誰も気付かなかったことを指摘した山下さんに鳥肌&脱帽。
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【第5話こぼれ話2】入谷のBSL4での実験シーン、マウスに注射するシーンは実は私がやりました。しかしBSL4スーツは息苦しい上に手首まで硬く、ネズミを保定出来ずに何度か取り直しのハメに(苦笑)。堂々の手タレデビュー(?)のはずが、スタッフさん達にはお恥ずかしいところをお見せしました(^^;)
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【第5話こぼれ話3】米軍を演じたキャストの方(キャラウェイではなく、入谷を押し戻した軍人)は、実は私がよく行く西アフリカのブルキナファソ出身の人でした!それを撮影途中で知り、二人で意気投合してローカルな話題で話まくり。その後、東京に戻って再会し、一緒食事を。ドラマのご縁に感謝。
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【第6話こぼれ話1】実は撮影では野桐の高地トレに向かう前に、紐倉が高家に「ヘリを呼べ」というシーンがありました。そのリハの時に、高家演じる濱田さんが「お前が呼べばいいだろ!お得意のドクターヘリを!」とコードブルーをもじったアドリブを利かせて、スタジオは大爆笑に包まれました(笑)。
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【第6話こぼれ話2】今回の遺伝子ドーピングの裏設定は、野桐の骨髄採取→造血幹細胞培養→CRISPR/Cas9によるエリスロポエチン遺伝子の導入→放射線照射等による自身の造血幹細胞の破壊→エリスロポエチン導入造血幹細胞の移植→赤血球数増加、というものでした。理論上は可能で、検出は大変困難です。
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【第7話絶賛推薦】牧野役の菜々緒さんが、初めてのお母さん役に扮します。これまでの悪女イメージから、クールな官僚へと役柄を拡げ、そして今日は母親役。私もまだ観ていませんが、視聴者の皆さんもあっと驚く役者振りと確信しています!ハンカチ握って、乞うご期待!
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【第7話こぼれ話1】美香の腸炎は、難治性のクロストリジウム・ディフィシル腸炎という設定です。日本でもこの腸炎の治療目的で糞便移植が普及しています。緊急治療として、倫理委員会で迅速審査を行い、GOサインを。1親等以内の糞便を使うので、賢一のライフログのう○こはまさに打って付けでした!
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【第7話こぼれ話2】救世主兄弟の出産は、日本では学会等のガイドラインから実質的に認められていません。健康であろう受精卵のHLAの検査が、病気の場合の遺伝子検査に限定した今のルールに反するのです。描写に苦労しましたが、作中では「受精そのものに失敗した」ことで未遂に終わらせています。
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【第8話こぼれ話1】ポスターのセラチア菌を紐倉がどのように取扱うか決まったのが撮影前夜。当然、当日は台本変更でぶっつけ演技になったのですが、突然その場で山下さんがアドリブを利かせて、濱田さんを押し出してドーン!オフは大変に優しい山下さんですが、役の自然な取り込み方にあらためて感嘆。
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【第8話こぼれ話2】セラチア菌は「霊菌」とも呼ばれていて、野外の死体でよく増殖するため、忌み嫌われていた菌です。1950年に米軍がサンフランシスコで散布実験を行ったことでも有名。私の研究室の成果で、セラチア菌はハマダラカの体内でマラリア原虫の増殖を抑えます。ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23571408
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【第8話こぼれ話3】紐倉の大学時代の同級生、遠藤(要潤さん)が好演の回でしたが、そもそもどこの大学なのでしょうか?第3話では恩師の瀬見まき子教授、そしてフューチャージーン福山も同じ大学の出身です。初期設定では私からは紐倉は「京都大学卒→MIT院Ph.D.」というキャリアを提案しています!
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【第9話こぼれ話1】監修のうちでも私はかなりコミットした回なので、感慨深く視聴。難治性セリアック病に対するアメリカ鉤虫を使った寄生虫療法は、米国で臨床試験が実施されています。作中ではそのソースを明らかにしていませんが、実際にはヒト感染者からの糞便が必要です。