151
「壺切御剣」というのは、皇太子のシンボルです。『西宮記』(源高明)によれば、寛平五(893)年四月十四日、敦仁親王(のちの醍醐天皇)の立太子に際して、宇多天皇から剣を授けたことに始まります。
152
壺切御剣は元々は藤原氏の重宝でした。『扶桑略記』には「光彩電燿、目驚霜刃」と書かれています。これが藤原基経から献上され、宇多天皇から敦仁親王(醍醐天皇)に授けられました。壺切御剣は「藤原氏出身の母を持つ皇太子」のシンボルとして、さらに醍醐天皇から保明親王に受け継がれました。
153
壺切御剣はもともと藤原氏の重宝であり「藤原氏出身の母を持つ皇太子」のシンボルであったため、母が藤原氏でない後三条天皇は授けられなかった、と『江談抄』にあります。「そんなものは私には不要、欲しくはない」と後三条天皇は言い、即位後に献上を受けたという伝説があるのです。
154
155
このあと12:35から、宮中三殿で皇嗣による「賢所皇霊殿神殿に謁するの儀」が行われます。これは壺切御剣が無事に伝進されたことを皇嗣が神前に奉告する儀式です。
156
「賢所皇霊殿神殿に謁するの儀」の服装は「皇嗣:束帯(黄丹袍)、皇嗣妃:小袿・長袴、皇嗣職宮務官:衣冠単・袿袴、掌典長・掌典次長・掌典及び楽長:祭服、内掌典:衣袴・袿袴、掌典補及び楽師:祭服、出仕:麻浄衣」となります。
157
新型コロナの影響で、饗宴はなくなりましたし、ソーシャルディスタンス、両陛下・皇嗣殿下同妃殿下以外は装束姿にマスク着用という特異な事態でしたが、これもまた一つの「故実」となり、今後の範となるでしょう。二度とあって欲しくはありませんが……。
158
何はともあれ、立皇嗣宣明の儀、無事に終わりまして何よりでございます。わたくしが「次」の機会を見ることが出来るかどうか、年齢的には難しいかもしれませんので、たいへん良きものを拝見させていただきました。有り難いことでございます。
160
161
163
165
お若い着物愛好家の皆さまがお読みになる「KIMONO BIJIN」で、『有職の色彩図鑑』(淡交社)をご紹介いただきました。まことに有り難いことでございます。
kimonobijin.jp/contents/detai…
167
168
日本橋三越本店にて「有職工芸・林 美木子 王朝のかたち展」が開催中でございます。とてもとても手が出るお値段ではございませんが拝見するのは無料。本日伺って参りました。見ているだけで寿命が延びるような気持ちになれる、素晴らしき有職の御品たちでございました。
mitsukoshi.mistore.jp/nihombashi/sho…
171
172
173
174
175
オールカラー128ページ、1760円。どうぞよろしくお願いいたします。
amazon.co.jp/gp/product/476…