八條忠基(@EeoduLzbYVjTprk)さんの人気ツイート(古い順)

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『厨事類記』(鎌倉時代) 「薯預粥ハ、ヨキイモヲ皮ムキテ、ウスクヘギ切<天>、ミセンヲワカシテイモヲイルベシ。イタクニルベカラズ。又ヨキ甘葛煎ニテニルトキハ、アマヅラ一合ニハ水二合バカリイレテニル也。石ナベニテニル、チヒサキ銀ノ尺子ニテモリテマイラス云々。」
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平安時代の冬場のコース料理でも最後の方に登場するデザートです。 『執政所抄』(藤原忠実家司・平安末期) 「臨時客 御料次第 一献主人 (中略)五献薯預粥。」 『類聚雑要抄』(鎌倉時代?) 「五節殿上饗目録 干物四種<鮑、蛸、大海老、干鯛> 生物二<鯉、鳥>(中略)次薯預粥。」
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冬場のデザートは「薯預粥(いもがゆ)。 夏場のデザートは「削氷(けずりひ)」(かき氷)になります。ただ現代は冷蔵庫で冷やした薯預粥も、プリン感がアップして大変美味しいものです。
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芥川作品の元ネタ、『今昔物語』(利仁将軍若時、従京敦賀将行五位語)には、 「薄き刀の長やかなるを以て、此の薯預を削りつつ撫切に切る。早う薯預粥を煮るなりけり。(中略)さらさらと煮返して、『薯預粥出で来にたり』と云へば」 とあり、これも薄切りでサッと煮るという『厨事類記』派。
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『和名類聚抄』(源順・平安中期) 「崔禹錫食経云千歳虆汁。状如薄蜜甘美。以署預為粉和汁作粥。食之補五蔵<署預粥和名以毛加由>。」 芋をもって粉となし、汁とあえて粥を作る。平安中期の芋粥は、「とろろ」におろして甘葛とあえたのかも知れません。
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皇居のお堀は、ただいまヒシ(菱 、学名:Trapa japonica)が大繁殖。ひしめいております。この旺盛な繁殖力から菱は縁起のよい物とされ、作りも比較的容易なことから、菱文様は有職文様に多用されております。
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これは皇居の菱ではありませんが、食材としての菱の実。茹でるとクセもなくほくほくして美味しいです。『延喜式』(内膳)に、「供御月料」として「菱子、二斗二升五合」とあります。平安時代の天皇の食膳にも普通に出ていたのですね。
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鶴岡八幡宮御神宝に見られる、女性装束の単の菱文様。古式の「幸菱」文様です。たしかに繁茂する菱のように見えます。
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あまりに繁茂しすぎて、菱刈船の登場です。
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通過後。
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本日は鎌倉は七里ヶ浜へ。平安以来、食材としても多用されました海藻・ミル(海松、学名:Codium fragile)を見に参りました。 昨年見ましたのは砂浜に漂着していた海松でしたが、今回は大潮の干潮時。岩礁に固着する海松を見ることができました(掛詞)。まさに海松色、海松文様でございます。
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平凡社さんが「web太陽」を始めました。わたくしも、「有職覚え書き」と題して、少し書かせて頂いております。多くの皆さまにご覧頂けましたら幸いでございます。 webtaiyo.com
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日本在来種の「和リンゴ」(学名:Malus Asiatica)です。品種としてはコウサカリンゴ(高坂林檎)が色づく季節となりました。「林檎」は平安時代には伝わっていました。 『和名類聚集』(源順・平安中期) 「林檎 本草云林檎<音禽和名利宇古宇>與柰相似而小者也。」
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本日の有職故実講座では、受講生の皆さまに「菊の着せ綿」づくりをしていただきました。9月8日の夜に菊の花に真綿をかぶせて菊の香りの朝露を染みこませ、9月9日の重陽の節供の朝、これで顔を拭ってアンチエイジングを願う、平安時代以来の女性の風習です。
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昨日はゆく夏を惜しみ、御岳(みたけ)神社へ。レンゲショウマ(蓮華升麻、学名:Anemonopsis macrophylla)を見に参りました。レンゲショウマは1属1種の日本固有種です。いかにも日本的な、風情のある優しく嫋やかな花が魅力的です。
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標高の高い御岳山は、すでに秋の花々の世界になっていました。『枕草子』にも書かれている、平安時代はデフォルトであった赤い穂のススキも。東京の平地では、なかなか見かけませんね。
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『枕草子』に「二位三位の袍の染色にシラカシを用いた」とありますので、実験有職学の観点からシラカシ(白樫、学名:Quercus myrsinifolia)染めを試行。鉄媒染で見事に黒く染まりました。律令の紫から現在のような黒に移行する過渡期の色は、こんな感じだったのかと想像できる色に染め上がりました。
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東京都薬用植物園にユウガオ(夕顔、学名:Lagenaria siceraria var. hispida)を見に参りました。その名の通り夕方から夜に開花するため、ジャストタイミングの写真は撮れませんでした。すぐにしぼんでしまう花の風情が、『源氏物語』で登場後すぐに亡くなってしまう女性のたとえになっている花です。
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ユウガオ(夕顔、学名:Lagenaria siceraria var. hispida)の実です。『枕草子』で「花の形が朝顔に似て、朝顔と並び称してもおかしくない花の風情なんだけど、実の形が全くザンネンなのよ。なんでまた、あんな形になっちゃったのかしら」と滑稽な扱いをされてしまう果実です。
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サルナシ(猿梨、学名:Actinidia arguta)、マタタビ科マタタビ属の植物です。ミニサイズの毛の無いキウイフルーツといった感じです。サルナシは平安時代から「こくわ」などと呼ばれて、フルーツとして食べられました。
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『和名類聚抄』(源順・平安中期) 「獼猴桃 七巻食経云獼猴桃<和名之良久知、一云古久波>」 中国名「獼猴桃」の「獼猴」はサルのことで、サル桃という意味ですね。
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『宇治拾遺物語』(青常事) 「青き打たる出し衵して、指貫も青色の指貫をきたり。隨身三人、青き狩衣、袴着せて、ひとりには、青くいろどりたる折敷に、あをぢのさらに、こくはを、盛りてさゝげたり。」 青(グリーンのこと)しばりの持ち寄りパーティーに「こくは」が登場します。
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天然のサルナシは、猿や熊が食べる前に収獲するため未成熟です。そのため追熟が欠かせません。完熟のサルナシは、キウイフルーツをぎゅっと凝縮したような、甘さと香りのある素晴らしいフルーツとなります。
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雨上がりのクモの巣。 雨露がキラキラと輝いて、『枕草子』にあるように、まるで真珠のネックレスです。
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このたび『なりきり訳・枕草子』(淡交社)を出版させて頂くこととなりました。『枕草子』を有職故実を勉強する立場から訳したものです。千年前、清少納言は「古典」ではなく当時の「現代文」のブログとして『枕草子』を書きました。清少納言のナマの言葉として読んで頂けましたら幸いでございます。