1201
気持ち悪いなあ。😟 twitter.com/SamejimaH/stat…
1202
世界中の科学者から「反知性主義的な政権」というラベルを貼られることがどれほど日本の国際社会における知的・倫理的威信を損なうことになるか。そのダメージを想像できないような人たちに国政を任せることはできません。
1203
このまま学術会議は抗議を続けて、政府が「学術会議の解体」という強硬策を採るまで追い込むべきだと思います。そのような暴挙に対しては世界中のアカデミーと科学者が手厳しく日本政府を非難するでしょう。でも、今の官邸には長期的国益を考量できる人間がいないので、そういう事態を想像していない。
1204
学術会議会長は首相から「6人のことは諦めろ。抗議を撤回しろ。その代わり、学術会議には手を着けないし、予算もつけてやる」と言われたんだと思います。これは絶対に受け入れてはいけない。人を殴った奴が「なにをする」と抗議されたら「殺さなかったんだから感謝しろ」と言ってるようなものです。
1205
あるいはそれが奏功して、騒ぎは沈静するかも知れません。でも、そのあとに残るのは政府が政権の安定のために、アカデミアを支配しようとする反知性主義に舵を切ったという事実です。
それは日本の学術的発信力・生産力は長期的に取返しのつかない傷をつけることになるでしょう。
1206
どちらを選択してもスタート直後の政権には大きなダメージになります。官邸は後者を選択するでしょう。長期戦に持ち込み、「学者ヘイト」のデマを組織的に流して民意を混乱させ、メディアが話題に飽きるのを待ち、抗議声明を出した学術団体への公的支援を停止すると脅して「兵糧攻め」にする。
1207
しかし、学術共同体全体からの予想外に強硬な抵抗に遭遇して、政権発足早々に政策的優先性の特にない日本学術会議問題に政治的リソースを割くことを余儀なくされた。「学者風情は一喝すれば縮み上がる」というふうに考えていた官邸の読みの甘さが露呈した。政治センスがひどく悪いと思います。
1208
学術会議問題で新聞からメールで取材があったので、そこに書いたことをそのまま転載しておきます。
今回の政権の行動の意味するところは?
政権発足と同時に「反対するものは容赦しない」というハードなイメージを国民に誇示する目的で行った「デモンストレーション」的な行動だったと思います。
1209
関西の学者の会も抗議声明を出しました。
kobe-np.co.jp/news/sougou/20…
1210
学者の会の記者会見だん。佐藤学、浅倉むつ子、大沢真里、小熊英二、山口二郎、久保亨、戒能通厚という諸先生方の間に「日本学術会議と縁もゆかりもない学者」が一人混じってしまいましたが、学術共同体の独立性は日本の国力回復に必須であると僕は信じていますから全力で政府に抗議します。
1211
今の日本のシステムを冒しているのは「管理コスト最少化主義」です。あらゆるシステムをトップダウンの「効率的」な組織に改変することに過去20年間、優先的にリソースを投じてきた結果、「暴君とイエスマン」だけで構成される単素的な組織が出来上がった。確かに上の指示は末端まで届きます。
1212
「管理コスト・統治コストの最少化は絶対善であり、あらゆる政治目標に優先する」と信じている人たちのことを僕はこれから一種の「カルト」とみなします。政治理論というよりは信仰ですから。日本の指導層の半分以上はこの「カルト」の信者で占められるようになりました。
1213
「嘘つきの陰謀家」とみなされるのと「官僚に振り付けされている中身のない神輿」と見なされるのとどちらがいいかという二者択一を迫られて、首相は断腸の思いで後者を選んだ、ということでよろしいのでしょうか。
1214
日本学術会議問題、首相が「自分が決裁した文書ではすでに6名は排除されていた」と言い出しました。「総合的俯瞰的に見て」たんじゃなかったんですね。官僚が勝手に忖度してつくったリストを中身を見もせずに「はんこ」を捺しただけという話に落とし込むつもりなんでしょうか。
1215
でも、このシナリオは破綻しました。世界の科学者の懸念を呼び起こし、国際世論を「日本の新しい統治者は反知性主義の暴君らしい」という方向に導いてしまった。失ったものはあまりに多い。なぜ、こんな「バカなこと」をしでかしたのか。続きはまたのちほど。
1216
この診立ては部分的には正しかったのです。実際に90年代からあと日本の大学人は教育行政に押し込まれて譲歩し続け、ほとんど有効な反撃ができなかったからです。「学者こそがこの社会の最弱の環であるから、ここを突破口にして知識階級を全面降伏に持ち込む」という楽勝のシナリオを官邸は描いた。
1217
国民が無気力で虚無的になればなるほど統治コストは逓減する。その目的を実現するために「反政府的な言説をなす者はいかなる公的支援も期待できない」という新ルールを国民に教え込んでやろうとした。先制の一撃で学者たちをなぎ倒すつもりだったのです。そして、学者が一番弱そうに見えた。
1218
政府の最優先課題は「統治コストの最少化」です。前政権で権力者が学んだのは、異論を無視して政治に対する諦めと無力感を蔓延させ、イエスマンを重用して反対派を日干しにし、中産階級の没落を加速すると、社会的不満が醸成されるどころか反対勢力は一層弱体化するということでした。
1219
新聞の電話取材は日本学術会議の件。なぜ官邸はこのような政治的緊急性のない事案に手を突っ込んだのか。なぜ学術共同体からの烈しい反発を予測できなかったのか。「政治的に無能だから」というのは一つの解ですが、それよりは彼らなりに合理的な根拠があってしたことだと考えた方が生産的です。
1220
これはふつう「辞職願」を出すレベルの大失策でしょう。ただのうっかり事実誤認ではなくて、世論を日本学術会議に敵対するように誘導するためのネタを探して、フェイクに釣られて、それを報道をしたんですから。 twitter.com/yurikalin/stat…
1221
日本学術会議への攻撃は「学術的発信力を犠牲にしても政権の安定を優先する」という政治的判断の結論です。国力が衰微しても政権が安定すればよいというのは一つの考え方です。それでいいという国民が過半数ならどのみち日本に先はありません。
1222
国民が無気力になり、権威に服従すれば統治コストは最少化できます。でも、そんな国からは新しいものはもう何も生まれない。経済力も、文化的生産力も、学術的発信力も失われる。盛運の国は統治コストが嵩み、衰運の国は統治コストが安く上がる。どちらを選ぶか。日本の為政者は後者を選んだのでした。
1223
『潮』では「どうして階層が二極化し、中産階級が空洞化するにつれて国民は権力に服従するようになるのか?」についての仮説を提示してみました。
「中産階級が厚みを増すと市民の政治意識が高まり、民主化闘争が起きる」というのは歴史の法則です。
東アジアでそのプロセスを逆走した国はありません。
1224
学者の会では日本学術会議の件で政府に対して抗議声明を発した学会のリストを作成しました。どうぞご覧ください。anti-security-related-bill.jp
1225
「大学人」は本質的に「サラリーマン」です。だから我が身大事で黙って「上」に従う。でも、「学術共同体=ギルド」に属する学者は「職人」的エートスを色濃く残す前近代的な存在です。その違いを政治家たちは見落とした。そして「職人の矜持」という虎の尾を踏んだ。という仮説はどうですか。