たしかにヤブはいなくもないです。急性期の人工呼吸器の管理について「マトモな医者が初期設定したらあとは基本コメディカル管理でしょう」とか言っている医師?がいて、びっくりしました。
これも勘違いする人がいるでしょうが、医師の言うことに黙って従えって言ってんじゃないですよ。主治医に質問したり、希望を述べたりはしてもいいですよ。というかしてください。でも、要求ってあまりしないほうがいいです。
医師の側も、患者さんからの要求があるってことは、何かしら不満や不安があることのサインですので、むげに否定してはいけません。というかチャンスです。きちんと耳を傾けて、丁寧に説明しましょう。コストメリットの勘案次第では要求を受け入れるのもありです。
ただ、そういう要求を受け入れて検査や治療を行っていたせいで、「検査して治療するのが当然」という誤解を広げたという一面もあります。これを機会に検査や薬の必要性について少しでも理解が深まるのを期待しています。
将来、アビガンの効果が質の高い臨床試験で証明されたら、『私は「アビガンが効かない」と言っているわけではありません』という日本語を理解できない人々が「答え合わせ」をはじめるであろう。 / htn.to/2ohpWLgyRR
アビガンが効くならそれぐらいはまだいいけど、さらに悪いシナリオは、将来、効果が乏しいことが示されたときに、それを受け入れられない人たちが出てくること。「もっと早期に投与すれば効く」「もっと大量に使えば効く」などとゴールポストが動いていく。事実上、反証不可能。
余計なことなんですが、書いてもいないことを読み取る人たちが多いんで、念のため。質の高いエビデンスが得られるまでアビガンを投与するべきじゃないと言っているわけじゃないです。情報が不明確なときは不明確なりに、やりようはいくらでもあります。
現時点でアビガンを使うなら「本当は効かないかもしれない」可能性を十分に念頭に置いて、並行して比較試験も行いながら、覚悟を持って使うべきだと言っています。覚悟が要ります。当たり前のことなんですが、特定の薬剤に対して熱狂的な支持が集まると、この当たり前が通じなかったりします。
もし将来、アビガンが期待ほどじゃなかったら、「比較試験前にアビガンが効かないかもしれないなんて当り前。アビガンをどんどん投与しろなんて誰も言っていない。そんなことを言っていたやつを人を複数、まずは屏風から出せ」とか言い始める人もいるかもしれませんので、一応、記録しています。
このような発言がありました。「早期投与しなければ死ぬ。投与すれば8割の確率で助かる」「生か死かの狭間の人に試験もへったくれもない」「アビガン一択でいい」「アビガンは有効だと判明した」「比較試験を行っている暇あると思ってんのか平和ボケ」etc…。
ついでに言うなら、ランダム化比較試験で効果が証明された後に、容認できない副作用があることが判明したり、耐性ウイルスが生じたりするかもしれません。アビガンに限らず、薬は、常に「本当は効かないかもしれない」「利益より害のほうが大きいかもしれない」可能性を念頭に置きつつ使っています。
「そうは言ってもお前が新型コロナに罹ったらアビガンを使うだろう」というご指摘もありますが、私だったら主治医の判断にお任せします。誰が主治医になったとしても、新型コロナの診療については私よりも主治医のほうが経験も知識もあるでしょうし。また、可能なら臨床試験に参加したいです。
落語会は軒並み中止なのでこの連休は暇かなと思ったら、落語の生配信がけっこうあってそうでもない。むしろ忙しい。時間を持て余している方がいらっしゃったら、これを機会に落語を聞いてみるのもよろしいのではないかと思います。
現時点で、新型コロナウイルス感染症について、「重症化する以前の早期発見で死亡率はかなり下げられる」と断定的に述べるのは誤りです。どういった治療法が死亡率を下げられるのかを一所懸命に探している段階です。
酸素投与といった標準ケアが死亡率を下げるという意味ならその通りです[ twitter.com/NATROM/status/… ]。その場合、PCR検査よりも呼吸状態などの一般身体所見の変化を捉えるほうが有用です。
こうしたことを述べると、日本語が読めない人からよく「PCR検査否定派」なんて言われますが、検査すべきと判断されたのにPCR検査ができないのは大問題で、検査の拡充は必要です。同時に、PCR検査の有無・結果に関わらず状態悪化に伴う標準ケアを受けられる体制の拡充も必要です。
「実際の感染者は検査で判明した感染者数の10倍いる」と「ピークアウトした」は両立するよ。矛盾じゃない。問題点を指摘するとしてもそこじゃない。 twitter.com/iwakamiyasumi/…
岩上安身氏の医学に関する主張のほうが信用できない。2014年、氏が代表であるインターネット報道メディアIWJにおいて、「輸血は不要、むしろ危険だ」とする内海聡氏らの会見が報道され、その後なんら説明なく削除された[ twitter.com/NATROM/status/… ]。
「私が新型コロナにかかってもアビガンを要求しない。主治医に任せる。臨床試験になら参加したい」とツイートしたら「臨床試験に参加したいって、アビガンを飲んでみたいってことでは?」という反応があったけど、対照群(プラセボ群)に割り振られてもいいってことです。
ランダム化比較試験において、特異的な標準治療があるなら、対照群にはプラセボ投与ではなく標準治療を行うが(そうしないと非倫理的)、新型コロナウイルス感染症の場合は標準治療がないので、原則としては対照群にはプラセボ投与するべきである。
小学生の教育と抗不整脈薬の共通点は?「代用のアウトカム」と「真のアウトカム」の話をします。タイムラインをながめていて思いつきました。
一般的に腫瘍マーカーは早期がんには感度が低くて早期発見には役立たたない。検査施行数を増やしても解決しない。「仮に感度50%でも5回連続で測れば感度は95%になる」という主張は誤り。これならたぶん、ほとんどの人が理解できる。
抗原検査キット。「陽性一致率は約8~9割」ならそこそこ使えると思ったけど、よく読んだら、「一定量以上のウイルスを有する検体に対して約8~9割の陽性一致率」なのね。その数字にあまり意味があるとは思えない[ mixonline.jp/tabid55.html?a… ]。
『東京女子医大「全員PCRで授業再開」』。いろいろまるでダメ。PCR検査で陰性証明はできない。6月に対面授業を再開する目的で5月中旬に検査するのも意味不明。一か所に集めるのもかえって感染リスクあり。 / htn.to/Pw6a7Yg5s2
アビガンが承認されないのにレムデシビルが承認されたのは、レムデシビルはランダム化比較試験で結果を出したからだと思います。 twitter.com/MasuzoeYoichi/…