51
⑤これと同様の制度整備を検察についても行ない、定年を一般公務員と同じ65歳までは伸ばしますというのが検察庁法改正部分。結果的に検察官も通常の公務員人事制度の一部だということが確認されますが、政権の意向がどうだろうが定年自体は全員が伸びるし、それは異常なことでもなんでもありません。
52
④で、役職定年制の導入に伴い、すぐに管理職から外すとまずい人について例外的に留任や他の役職への転任を認める制度が導入されます。期間制限や理由に関して人事院規則で定めるという制約付き。まあ民間の役職定年制度でもこういう規定作るよねという話でしょう。
53
⑦特定検事の定年延長をどう評価するかはまったく別の問題だし、公務員の定年延長自体を否定する見解もあっていいと思いますが、批判は正確な理解に基づいて行なうべきですよねと、またいつもの話になるわけですよ(うんざり)。
54
なお補足ですが、いわゆるキャリア官僚の多くは現在の定年(60歳)より前に退職しているので(その是非はともかく)この話にはほとんど関係ありません。普通の公務員の人たちの60~65歳の期間に関する待遇改善が中心だという点も理解しておいてください。おわり。
55
@999nineball この法案が通ったとして、検察官の定年が64歳に伸びるのが2022年から、65歳になるのが2024年からなので、特定検事は対象にならないのです。
56
いまやる必要があるのか急ぐのかというご意見があり評価は多様であっていいと思いますがとりあえず今国会には内閣提出法案が55本出ており昨年からの持ち越し検討課題である著作権法改正案や3年ごとの見直しが求められている個人情報保護法改正案も含まれていることを申し添えます。
57
代表してこの方にご返事しますが(すいません)、黒川氏の定年延長は既存の国公法81条の3ですでに行なわれており、それが適切か・合法かはともかくこの法案とは無関係です。この法案による定年延長は2022年から始まります(成立すれば)。 twitter.com/siba_pa/status…
58
はい、というわけで現行国公法81条の3が検察官に適用可能かという問題と、2022年以降に全検察官の定年を延長するという問題がとても重なって見えるけど別々にきちんと考えてほしいという趣旨です。で、後者についてはきちんと理解してくれと説明したけど前者には何も言っていないからそのようにね。
59
「自衛官の定年も延びるのか」今回の法案で延びるのは(簡単に書くと)防衛省の文官で、自衛官は対象外。もともと若年定年制で一般公務員とは別立てになってるからだと思います。ただし防衛省は自衛官についても伸ばす方針をすでに明らかにしています。
60
「2008年から検討が始まっているという資料は」以下に人事院が2018年に出した意見があり、そのなかでこれまでの経緯についても説明されています。
jinji.go.jp/iken/moushide.…
61
「役職定年の例外は必要か」対象になってるのは(次長検事を除いて)ある組織の最高責任者なので、必要になる事例は想定しておかないといけないんじゃないですかね。年度末じゃなくて誕生日で退職するので交代のタイミングよけにくいですよねというのも多少はあるかも。
62
「役職定年を内閣が延長できるのは政治介入を招かないか」検事正(地検トップ)・上席検察官(区検トップ)について法務大臣が延長できるのに対して検事長(高検トップ)以上は内閣の権限にしてるので、より慎重な判断を求めてると通常は理解すべきでしょうね。→
63
→ただ、もちろんいずれにせよ政治家の手に権限が委ねられるので運用の監視は必要でしょう。でも現在でも法律上の人事権は法務大臣にあるし、定年で辞めても弁護士になれるので、検察官は相対的には圧力に強い立場だということは確認しておく必要があるでしょう。
64
「単純に全員について定年延長ではいけないのか」あり得ると思うけど若い世代の出世が単純に遅れるでしょうね(ただでさえ相当遅れてきてるのに)。それはマズいと思うから民間企業でも役職定年制度を作ってきたのでは。
65
そのことを離れてご批判の内容に対しては、そういう懸念が生じること自体がおかしいとは思いませんが、そもそも法律上は任免権自体を内閣に握られているわけで、そこに役職定年延長・勤務延長というクリティカルなタイミングでしか機能しない権限を追加して何が変わるのかがポイントかと。
66
つまり法的権限の水準では有意に変わるわけではなく、実質的に変わるかどうかは整備予定の準則と実際の運用を見ないとわからない、それ抜きに濫用の危険を言い立てることに十分な根拠があるとは思えないし、従来と格段に異なる何かが起きると法文だけで主張するなら不誠実だというところでしょうか。
67
これをモトケン先生が言うのはがっかりで、まず法案の組み立てから国家公務員制度一般が対象であり検察にも横並びの変更を計画したのは端的に事実でしょう。検察の特殊性から横並びでいいのかというご批判だと思いますが、それは事実として横並びであることを前提としないと成立しない。 twitter.com/motoken_tw/sta…
68
②ところが仕事の内容としては司法に関するものが多く、採用も通常の公務員とはまったく別ルートです(通常の検事は司法試験からなので、むしろ裁判官・弁護士と共通性が高い)。現在でも定年が一般公務員より長いのには、このプロセスに時間がかかるからという理由もあります。
69
①検察庁の位置付けは複雑なんです。まず三権に分類するとすれば立法でも司法でもないので行政です。身分的にも国会や裁判所の職員は特別職国家公務員とされていて国家公務員法の適用が原則としてありませんが、検察官は一般職国家公務員で、国公法が適用されます。 twitter.com/moroi55555/sta…
70
⑥まとめると、行政組織・行政官の一部だが、職務の性質からかなりの特殊性があり、司法に近い性質も帯びているということになるでしょう。実態が複雑なので、それを簡単に言い切る主張があれば疑った方がいいです。(おわり)
71
④具体的には、検察庁自体は法務省内にあり検察官の事務一般については法務大臣が指揮監督できるものの、個々の事件の取調べ・処分については検事総長に対する指揮しかできません(検察庁法14条)。検事総長がその内容に同意すれば検察内部で命令されるでしょうが、抵抗の機会がある点がポイントです。
72
⑤このように職務的には独立性が保障されているわけですが、特別の組織だということが(会計検査院のように)憲法で定められているわけではなく、人事権も(法律上は)法務大臣・内閣にあります。あえて言うと検事長以上の人事権が内閣に移る点も特別ではありますが。
73
③また、政治家や官僚の犯罪も含めて摘発する立場であり、政府から距離を取って自律性を持つことが必要であると理解されています。このため、通常の省庁であれば大臣が内部に対して指揮命令を行なうことができるのに対し、検察庁に対する法務大臣の権限には制約が加えられています。
74
まあただこの件からもわかるように法律というのは全体で一つの体系になっていて、内部の前提や解釈手法について理解していないとなかなか正確には読めない、特定の法律や条文だけを取り出して読もうとすると間違うことが多いのです。
75
検察って本来、職務は独立・身分は統制という意味で特殊なんだと思うんだけど、身分を独立にしたら職務が独立になるという根拠のない話してないか、下手すれば身分が独立・職務は統制というダメな事態になってるのを隠蔽してないかという疑問は持つべきだと思うんですよ。