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(某所見ながら)
ああ、漫画家さんと編集さんの話が全く噛み合ってない....
(ごく一部であることは先に明言しておくけど)
曖昧な、理屈も何もない『なんとなく』でダメ出しをして『俺様デキるアピール』をしたがる人は、エンタメ関係の世界ではたまに見かけます......
177
余談だけど、ある時、『書いてる私は楽しいけど、コレ、読者的に面白いのか?』と疑問に思い、担当のたなぽんに聞いても『面白いですよ』としか言ってくれないので、たなぽんに失礼なのは覚悟の上で、『ごめん、厳しいので有名なMさんにも意見聞いてもらって良い?』とお願いしたことがある。
178
(某所見ながら)
「主人公の名前、性別、性格、容姿、為人やモチベーションをまず最初に提示(描写)すべき!」というのは分かるし同意するんだけれど。
作品コンセプトとして、あるいは物語構造として「それらを明示しないから成り立つ」ものも例外的にあるのは、言い添えておいた方がいいですよ。
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前にも書きましたが。
世の中には、『ラノベで登場人物って何人まで殺してよいんでしょうね?』とか具体的な数字を聞いてくる人だっているんですよ。
もしくは『ラノベの第一章の最初のシーンの情景描写は何行が適当ですか?』とか。
180
娘が『吐き気がする』という事で学校を早引けしてきて寝込んでいたのだけれど。
原因が分からず(熱はない)どうしたもんかと思っていたら、先程、娘が朝に自分で調理したジャガイモの残り半分を冷蔵庫で見つけて理解した。
芽は無いのだが、表面が一部青く(緑に)なっている。
ソラニンか……
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生徒さんから「見てほしい」と提出された原稿を読むなど。
ううん……語彙はある、色々と考えて設定もしてある、のはいいが。
「読み手」の事は全くといってよい位に想定されてない……きつい言い方をすれば「独りよがり」。
プロローグを置いているが、プロローグとしての機能が全く感じられない……
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情報提示の順番の話。
例えばだけど、これは実際にうちの内弟子が以前やった文章構成だけど
「異世界転移した主人公が、その転移先の少女に剣術の修練を受けている場面」
「数ページに及ぶ訓練シーンが終わる」
「最後に訓練用の木剣を片付ける段になって、『いわゆる木刀とは違う』などの描写が入る」
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本当にこれは常に思う。
宝くじは買わないと当たらない。
創作を宝くじに喩えるとは何事かと怒る人も居るだろうが、完成前からぜったい確実に傑作、名作になる保証のある作品などないと言うか、作者の手を離れてお客さんに見てもらってからでないと、創作物は完成しない。
表現なんだから。
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頻繁に言うけど――
「程度はどうあれ最後まで完成させられる人間」と
「完成度を気にして延々と原稿があがらない人間」なら、先に「こいつと仕事をするのは無理だな」と周囲から諦められるのはどっちか、という話です。
特に、新人は。
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よく「原稿があがらないクリエイター」の話がツイッターとかでは面白可笑しく語られるから、誤解しがちだけど。
そういう人は既に一発当てているから(待てばいいものがあがってくると周りが判断できる実績がある)、関係者が待ってくれるだけでね……
186
しかも最初の一発だけであとは全滅状態だった場合は、周囲も待つのに飽きる訳ですよ……(ブーメランが飛んでくるのではないかと警戒しつつ発言する榊)
187
例えばだけどね(具体的に何の話かという事でもなく)。
あるTVアニメの脚本を担当する事になりました。
で、大抵のテレビアニメは『放送枠』を押さえるところから始まったりするんだけど、それは逆に言うと締め切りがタイトに決まっているという事で。
188
完成させる事の重要性のツイートがぷちバズってるのでついでに。
大学でもその辺の話はしてるし、Twitterでも何度も書いてるけど、『ゴールを小刻みに設定してその都度、完成させる事の満足感を重ねていく』のは、なかなか作品完成させるのが下手な人でも『効く』場合があるので、お試しあれ。
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最初にプロット書く。次に詳細プロット書く。更に脚本形式で書く。
次にとにかく小説の文体として書き飛ばす。最後に表現を(文章を)調整する、とか(勿論、間を省略してもいい)、小刻みに『最後まで書く』のです。
全体を俯瞰して見られるので、視野狭窄起こして同じ箇所延々と直す地獄にハマりにくい。
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意外と分かってない人が多いが、「情報量(文字数、描写数)が少ないから、小説より脚本の方が簡単」――である訳ではないからね。
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正直、Twitterにエンタメ業界が依存しすぎてる部分もあって、衰退するならそれはそれで変革のきっかけかなとも思う反面、Twitterのお陰で出来た交流もあるので、別SNSへの移行は何かと悩ましくもあり。
正直、今やらせてもらってる漫画仕事ってほぼTwitter経由でゲットしたもんだし。 twitter.com/Sakai_Sampo/st…
192
登場人物の人助けについての「理由なき善意」の話だけども。
要するに、「物語の登場人物」としてみた場合の「キャラ立て」の一環なんですよ。「誰でも人助けして当然」なのはまあそうかもしれんけど。
そこにそいつ独特の理由が立てば、キャラが立つでしょ。かつて見逃して後悔した事があるとか。
193
世界観云々の話だけど、そもそも結構な人が(そして私もしばしば)『世界設定』と『世界観』をごっちゃにしてるのを見かける。
世界観は物語の雰囲気を含めた総合的なものだけど、世界設定はそうじゃない。世界観〉世界設定で、世界観を確定させるために補助として世界設定が使われる事が多い。
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あ、コレ私も昔、内弟子とってた頃にやったやった。
『何か好きな作品の面白さを五分以内で伝えろ』的な。大体はあらすじの1/3を語った時点で時間切れになる。
DK先生がおっしゃるように、技術というか『構造分解』の癖ついてないと無理ですね。作品の『見方』の問題。 twitter.com/game_sennin/st…
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もう内弟子とってないから種明かししておくと。
『好きな作品、漫画でも映画でもアニメでもゲームでも良い、とにかく今から五分あげる、四分三十秒黙考して整理してもよし、五秒で方針決めて残り時間ずっと語ってもよし。でははじめ』
という対面試験問題を出してた訳です。
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でもってこの試験、普段から授業で構造分解だの換骨奪胎だのは言及してるんだけど、それをある程度、実践してないと、大体、対応出来ない。(九割の子が対応出来なかった)
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あらすじを語る、というオーソドックスなやり方の場合、ログラインレベルまで作品構造を分解してないと、大体、三分の一も語ったところで時間切れになる。
そんなにかからないでしょ、と思うかもしれないが、大抵は、少し語ってから前提条件としての世界観を語ってない事に気付いて戻るとか、
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語ってる情報密度が高すぎる(そのまま語ると五分で終わらない)と気づいてまた最初から語り直すとかそういう事をやりがち。
理想はログラインレベル、十数秒で語れる話にまで単純化した上で、そこにどんな情報を追加して面白いと思ってもらえるかの選択をする。
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ツイッターであれば、仮に純然たるあらすじで2から3ツイート、そこに追加する面白いポイントで3から5ツイートのレベル(つまり原稿用紙二枚とかその辺、ラノベの新人賞の梗概と同じくらい)位を使って『こんなに面白いですよ』と伝えられるかどうか。
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コレは構造分解の他に『読み手が面白いと思うポイント』について理解していて、そこをピックアップして語れるかどうかでもある訳です。
キャラが魅力なら、どうそのキャラが魅力なのか、短く端的に伝えねばならない。