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原書房さんの『2020 本格ミステリ・ベスト10』において『medium 霊媒探偵城塚翡翠』を一位に選んで頂きました。ミステリ作家としては大変名誉なことです。投票して下さった皆さん、読んで下さってありがとうございました。そして支え続けて下さった読者の皆さんにもお礼申し上げます。ありがとう!
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声優さん達って、この「物語を読み取る力」がものすごいんだな、と思いました。ただの文字の羅列を汲み取って自分の世界に取り入れ、再解釈を試みながら、それを自分の身体を使って表現する……。そこがめっちゃ凄いなって……。語彙力が崩壊してうまく伝えられないんだけれど(笑)
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それが、なんだろう、声優さんの演技を通すと、たった一声で通じる。前後の文章も、繰り返しの強調も、なにも要らない。たった一言。彼らの言葉を通すだけで、そこにあらゆる情報が含まれていることに気付かされる。
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それは声の情報量の偉大さ、というのでしょうか……。なにを当たり前のことを、と思われるかもしれませんが、とにかく、声に含まれている情報量って凄いんだなって、強く実感しました。
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あるいはもしかすると、あれは「この台詞量!! やりたく!! ない!!!」って思っていた表情なのかもしれませんが、神谷さんに限ってそんなことは欠片も思っていないはずなので、完全に僕の気のせいだと思います。
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それでも監督は大丈夫って仰ってくれたし、神谷さんは探偵の台詞量を確かめるなり、覚悟を決めたように瞑目して天を仰いでいらっしゃったので(あくまで僕の印象です)、早速イメージトレーニング中なんだな、きっと大丈夫だろうなって、そう思っていましたよね。
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観て下さった皆さん、二時間半、集中するの、疲れましたよね? 演者の皆さん、特に探偵役のお二人、集中力、めちゃくちゃ必要でしたよね?
フハハハハ、犯人は俺だ……。
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確かに、このままだと味気ない感じがする。僕も人間ドラマは欲しい。だが、これ以上、台詞を増やしていいものなのか? はたして公演時間はどうなる? でも神谷さんの期待にも応えたい。ちょっと追加するくらいなら、きっとそんなに変わらないはず……。きっと……。たぶん……。
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なので、初稿は必要最低限の要素を詰め込んだお話で、矛盾のないロジックと、最小限のドラマ、という感じのお話になっていました。ただ、最小限すぎたかな、とも思っていて……。神谷さんから「もっと人間ドラマが欲しい」というご意見を頂きました。
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リーライ振り返り話、その2です。
さて、前回まではお仕事を受けた経緯と、脚本ができるまでをざっくりとお話させてもらいました。シナリオ担当なので、シナリオが完成するまでが自分のお仕事なわけです。僕の役目はもうここで終わったも同然でした。そう。さこもこは、そう思っていた……。
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ありがとうございます。こちら、とてもたくさんご要望を頂いております。ノベライズ、時間かかると思いますが、いずれ講談社さんで出せたらいいな、と思っております。
#マシュマロを投げ合おう
marshmallow-qa.com/messages/57452…
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それはもうKiramune Projectさんに突撃してください。複製台本とか嬉しいですよね。僕にお金も入ると更に更にうれし(ry
#マシュマロを投げ合おう
marshmallow-qa.com/messages/05893…
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新刊『medium 霊媒探偵城塚翡翠』も、よろしくお願いしますね。リーライ観てくれた人が読んでくれたら嬉しいな、と思って、ちょっとした小ネタを挟んでいます。事前に読んでくれた人たちがいたのは嬉しい誤算でしたが(笑)
honto.jp/netstore/pd-bo…
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そんなこんなで脚本が出来上がったわけです。そう。脚本が出来上がった。そのときのさこもこは、そう思っていた。僕の仕事はもうこれで終わりだと……。
あ、時間も遅くなっちゃいましたので、また次回に続くということで、今日はこのあたりで……。
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興奮してハイテンションになりながら、「頭の中を密室に喩えるんですよ! 帰ってタイトル回収できるように原稿を直しますんで〜〜!」と説明するさこもこは、閃いた探偵みたいに挙動不審だったかもしれない……。
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ダブルミーニング大好きマン&タイトル回収大好きマンとしては電気が走りましたね。神谷さんを助手役に喩えてしまうのは大変申し訳ないですが、正に助手の言葉で閃く探偵役の気分でした。こういうことがあるから、創作ってやめられない。
「それですよ。密室の中の亡霊、です!」
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タイトルを決めるのは得意と自覚していたので、アイデアがすぐに出てこないことに焦りました。そこで、一緒に考えてくださっていた神谷さんが、ぽつりと一言を漏らす。
「この幻視の登場人物は、彼の頭の中にしかいないわけですよね……」
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「二人の関係性とか、過去の事件とかが想起できるタイトルにできれば……」と、神谷さんの望まれる方向性をお聞きして、うーんと首を捻る。ところが、僕もすぐには思い付かず、ちょっと困った。これは持ち帰る必要があるかもなぁ、と思いました。ただ、スケジュール的にはこの場で決めるのが望ましい。
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ただそのままではひねりがないし、「もう少しドラマに絡んだタイトルにしたいですね」と神谷さんが仰ったので、その場にいた皆さんでタイトルを考えることになりました。とはいえ、なかなか妙案が思い付かず、長いことううーん、とみんなで首を捻る打ち合わせだったと思います。
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ちなみに、タイトルが決まったのは、この打ち合わせのときでした。それまでは仮タイトルのツモリで「幻視探偵」とだけ付けていました。特に誰からも突っ込まれなかったので、「幻視探偵 黒書館殺人事件」とかにするのもいいかなーと考えていました。
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そんなこんなで脚本を書き上げて、この企画に入ってからの初めての神谷さんとの打ち合わせ。
「これ……。探偵役の、台詞が……、大変……、ですよね……」
なにかを察したかのような神谷さんの呆然とした表情を観ながら、「神谷さんなら大丈夫と聞きました」と答えたさこもこであった。
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なのでこのシーンを生で観たときには、もう感情が、感情が……。う、目から汗が……。