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コインランドリーでよく会う、でも話したことはないおばちゃんとたまたま目が合ったので「こんにちは」と挨拶してみたら「うっせー黙れ」と言われてしまい、やっぱりこの世界は危ない
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編集者が作家に対してSNSのフォロワー数を増やすことを条件に書籍化を持ちかける。そんな話を立て続けに聞いて驚いている。宣伝効果を考えたら理に適っているのかもしれないが、連載の執筆や本の出版により作家の知名度を上げ読者を増やすのは僕ら版元側の仕事だと思う。作家に強いることではない
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いま職質を受けて「ここで何してるんですか」との問いに「公園が好きで」と答えたら鼻で笑われポケットの中身全部出した
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いつもの1000円カットで美容師に「前回どこで切りました? なんかガタガタになってますね」と言われたけれど、「おまえだよ」とは突っ込まずに聞こえないふりをする。店内ではオアシスの「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」が流れていた。過ぎたことで怒らない
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古着屋でマフラーによさそうな大きな布を見つけ、念のためその用途を店主に尋ねたところ「マダガスカルで死体を巻くときに使うやつ」と予想外の答えが返ってきた。いま死体を巻く布を首に巻いている
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サウナ施設が女性従業員で客寄せすること、女性従業員を男性客の「いけるかも」という視線にさらすこと、それを施設のオーナーが促していることを僕はとても残念に思います。冗談だとしても笑えません
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喫茶店で水を運んできたおばさん店員に「違う。俺は水をくれと言ったんだ」とキレるじじい客がいて、何が違うのか聞き耳を立てていたら正解は水ではなく蜜だった。「珈琲が苦いから蜜をくれ」。おばさんは水を下げシロップを三個「三蜜です」と出すとじじいは「つまらん」と笑っていた。いい勝負だった
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銭湯で清掃のアルバイトをする。久しぶりに履歴書を書いて出した。面接で言われたのが「きれいにするというのは窓をピカピカに磨くだけではなく排水口など人の目に触れない場所を磨くこと。人と同じ」。これを肝に銘じて汚れと向き合うつもりでいる。編集者であることはまだやめない。編集も清掃もやる
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4月刊行の本の部数がしぼられている。発売が延期になった本もある。休業する書店が多いのだから仕方ない。でも著者や編集、版元も「こんなときに宣伝なんて」と思わず新刊の告知をしてほしい。こんなときだから本を読もうという人だってたくさんいる。少なくとも僕は積極的に買っていきたい。
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スーパー銭湯で清掃バイトを始めて間もない還暦すぎのおっちゃんが仕事を覚えられず「オレ頭わりいからさ」と開き直っていた。ベテランのおばちゃんが「あんたは頭わるくないよ」と声をかけたので、励ますのか、やさしいところあるなと思ったら次の瞬間「たぶんもうボケてんだよ」と止めを刺していた
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喫茶店でおばあちゃんに「あらオシャレね」と話しかけられたので、「百年前の服なんです」と答えたら、彼女は驚きながらも胸を張り「私もあとちょっとで百年前に生まれた人間よ」と誇らしげだった。僕はとっさに「すごい、生きるアンティークですね」と返したけれど、もっといい褒め方があった気がする
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編集部では40歳として「もう若くない」という意識で働いているけれど、浴場の清掃バイトでは40歳でも「まだ若いんだから」と言われる。この年でも若手の新人として扱われる環境はなかなか新鮮だ。毎回何かしらのお菓子が配給される。だいたいブルボンなのがまたいい
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「注意の仕方がきつくて新人さんが辞めちゃうくらい怖いおばさんがいるらしいですね」と言ったら「それ私のことだよ」と予想外の返事が返ってきたので「それにしても暑い日の水は美味しいですね」と話を変えた
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このホテル、何かいる、と怖くなりフロントに行き「おばけ的なもの見たとかそういう情報ありますか」と聞いてみた。すると「特にそういった話は聞いておりません」に続けて「見かけたらフロントまでご連絡ください。私が退治します」と回答してくれて心強かった。おばけじゃなくてバスターがいた
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編集者をしながらスーパー銭湯で清掃バイトをしている。その日々を『清潔な人々』と題して書いている。今回は働けば働くほどお金が減っていく中で気づいたことを書いた。よかったら読んでみてください。自信がなくて告知できずにいた。でもそういうのはもうやめようと思う
d-sauna.com/news_articles/…
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編集者をしながらスーパー銭湯の清掃をしている。その日々を『清潔な人々』と題して書いている。49で逝った母は鼻歌まじりで掃除する笑顔の人だった。僕ら家族は確かに清潔さを分かち合った。人は意図せず受け継ぎ送り伝えている。生きるってそういうことだと思う。最終回です
d-sauna.com/news_articles/…
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ドラマ『夫のちんぽが入らない』が1月より地上波で放送される。原作を気にせずタイトルは変えていいと伝えてあったが、プロデューサーから「変更せず放送」と連絡があり驚いた。みんなちんぽを大事にしてくれている。すでに批判は多いが、それでも沢山の人に届いたらうれしい
fujitv.co.jp/fujitv/news/20…
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編集者をしながらスーパー銭湯で清掃員をしている。その日々を『清潔な人々』と題して書いている。編集として新人だった頃、ある女性に対して「負けたくない」と勝手に敵対していた。振り返ると勝ち負けなんてなかった。誰かが魅力的でも僕は何も損なわれない。読んでください
d-sauna.com/news_articles/…
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銭湯に行ったら膝のお皿のところに目玉焼きの刺青をした人がいて目が離せなかった
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本の価格は現状「本体価格+税」で表示されているが「税込表示」が義務化されるとカバーを刷り直すかシール貼りで対応することになると思う。問題は、そこにお金をかけられない本があるということ。まだ書店にいていい本が、やむなしと退場させられないために僕は #出版物の総額表示義務化に反対します
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担当した本が発売したというのに何もしない、つまり売ろうとしない編集者がいまだに多い。「本の完成」を目標にして「その先」を考えていない。編集者は作家、装丁家、校正者らさまざまな才能をお借りしてようやく成り立つ職業だが、それらの才能を本に閉じ込めるのではなく広く届けませんか。