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「疲れた」は真剣に生きた証
「失敗した」は成功の前触れ
「駄目だ」は努力したら解決するだけ
「終わりだ」はこれ以上の泥沼がない証拠
「最悪だ」はこれから良いことがある前兆
「不幸だ」は幸せを掴むチャンス
「無理だ」はただ経験が足りないだけ
「限界だ」は初めからやり直せば良いだけ
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うつ病の寛解について。不安と食欲低下は早めに回復する。その次に不眠と抑うつ気分が回復する。ここまで2〜3ヶ月かかる。意欲が出ない、パッとしない感覚の回復は時間がかかる。これが難しい。回復するのに2年くらい必要な患者さんもいる。ちょっとずつ、諦めず、コツコツと治療を受ける。長い闘い。
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身体がだるい→だるいから寝てばかり→体力が落ちて益々身体がだるくなる→益々寝てばかり。体力が落ちて頭はフラフラするし、意欲は全くなくなる。何もできない自分に苛立ち、気分まで落ち込む。昼間寝ているので夜は眠れず、とうとう「うつ状態」となり、精神科を受診する。原因は「寝過ぎと悪循環」
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精神疾患には、それなりに意味がある。統合失調症の患者さんは、芸術分野で素晴らしい作品を残すことがある。うつ病の患者さんはどうなのか?几帳面で頑張り屋で徹底的に仕事をこなす。つまり、神様が「こんなに頑張ったから、ユックリ休んで下さい」と言う警鐘である。そう思う。
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脳の機能障害が精神疾患である
脳の機能が異常に低下する→うつ病
脳の機能が高まったり低下したりする→双極性障害
脳の一部が壊れている→統合失調症
脳の一部がなくなっている→認知症
脳の回路がクルクル回る→強迫性障害
脳の警報装置の誤動作→パニック障害
生来的に脳の発達が遅れる→発達障害
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精神科医が精神疾患を自ら経験したら患者さんの気持ちが分かることがある。私的なことだが、大学生の時、北海道旅行に行って、車ごと崖から転落して生死を彷徨う経験をしてPTSDになった。フラッシュバックや悪夢、車に乗れない状態が続いた。完治まで10年近くかかった。PTSDは大変な疾患だ。
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新患の診察の際には、その若い女性精神科医、「私は○○です。初めまして。宜しくお願いします」と言う。俺は、○○ですと自己紹介をすることはないが、した方が良いかもしれない。とにかく、患者さんの対応の素晴らしさに頭が下がる。若いのに、患者さんの心象をよくする技にたけている。真似しよう。
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人に敬意を払う、大切にする、優しくするなんて人間関係の基本中の基本。なんたって、お金もかからないし、時間もさほど必要ないし、心がけ次第。こうすれば、品格も運もあがるよ。人を貶したり、邪険に扱ったり、不親切に扱ったりすると、品格も運も下がるよ。神様は人の行動をちゃんと見てるからね。
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精神疾患の当事者ではよく「治る、治らない」という話題になるが、病状を持ったまま新しい自分を見つけることも大切である。病は全て「負の遺産」ではない。右肩上がりの人生でなくても良い。山登りにおいても、急傾斜の道を急いで登るよりも、回り道をした方が美しい景色を見ることができるように。
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双極性障害の患者さんに贈る言葉。
「エンジンが調子良く回転する時期にはアクセルを控え目にし、回転数が上がらない時期には積荷の量を控え目にしましょう」
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双極性障害の患者さんに贈る言葉。
「エンジンが調子良く回転する時期にはアクセルを控え目にし、回転数が上がらない時期には積荷の量を控え目にしましょう」
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ストレスに強い私の娘。悩んだ時に一番大切なことはひたすら眠ることだと言う。15時間近く眠ることがある。夢の中で悩みの答えがある。起きた時に「もう、終わった」と悟ること。睡眠不足の時に悩みの波はMaxで、良く眠るとMinimumになる。睡眠は「浄化」である。
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適応障害の患者さんと接して感じること。率直に言うと彼らはストレスに弱い。嫌なことがあると直ぐに仕事を辞める傾向が強い。既に数回転職している事例が多い。ここで一言。調子が悪い時に仕事を辞めるという重大な決断を下すべきではない。まずは仕事を休んで結論を先送りして欲しい。後悔しない為に
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精神病(特に統合失調症)を薬を使わずにカウンセリングだけで治して欲しいという家族からの希望がある。この気持ちは良く分かる。家族はストレス論を重視するから。ちなみに、私も精神科医になる前は、カウセリングで治ると思っていた。標準治療は薬物治療である。カウセリングだけでは治らない。
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精神疾患の特徴について
統合失調症→自我障害
うつ病→自責感と思考抑制
双極性障害→激しい潮の満ち引き
強迫性障害→堂々巡りで社会生活が脅かされる
パニック障害→発作であること
摂食障害→痩せ願望
発達障害→生来的な脳の発達の凸凹
認知症→理解・判断能力の著しい低下
不眠症→睡眠への拘り
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抗精神病薬を内服している統合失調症の患者さん。「ふらつく」、「身体がだるい」、「眠い」などの訴えで内科を受診。内科医から「薬のせいでしょう」と言われ、断薬して精神症状が悪化して精神科に緊急入院するケースを何回も経験した。急な断薬は危険である。必ず、精神科医と相談して欲しい。
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数時間待ちの5分間医療。当然、揶揄される。5分間診察するだけじゃない。カルテに要点を記入する、処方箋を書く、次回の予約をとる、検査オーダーをする。様々なやることがある。実は10分かかる。診察したら、次の患者を呼ぶまでに時間がかかり過ぎると言われるが、裏事情があることを理解して欲しい。
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うつ状態とうつ病の違い。
前者は恋人にふられた、残業が増えた、職場の責任者になったなど、病状はストレスの多寡により変動する。ストレスが溜まった時にはうつ状態になるが、ストレスが少ない時には安定している。
後者は、ストレスの多寡に関わらず、いつもうつ状態。うつ病は脳病なんだ。
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仕事で失敗する、荷重労働をする、愛する人が他界するなど生活上の様々なストレスがある。ストレスにさらされて「夜が眠れない。気分が落ち込んで何もやる気が起きない」というのは正常(適応障害)だ。「バカと言う人の声が聞こえる。暴力団に追いかけられる。電波で操られる」というのは精神病だ。
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最近、精神科医として思ったこと。
悩める人を見ると助言を与えたくなる。何とかその人を立ち直らせたいからだ。その人が自分に必要なものと必要でないものとを取捨選択する脳力がない時には、その助言はお節介になるだけ。そうなると、嫌がらせに近くなる。そっとしておくのが一番良いこともある。
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身体がだるい→だるいから寝てばかり→体力が落ちて益々身体がだるくなる→益々寝てばかり。体力が落ちて頭はフラフラするし、意欲は全くなくなる。何もできない自分に苛立ち、気分まで落ち込む。昼間寝ているので夜は眠れず、とうとう「うつ状態」となり、精神科を受診する。原因は「寝過ぎと悪循環」
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世の中にはやるべきこととやってはいけないことがある。前者は挨拶、礼儀と感謝で、後者は他人を無視したり邪険に扱うことだ。少なくとも、前者の範疇では「ありがとう」、「お疲れ様です」、「お世話になりました」は欠かせない。何故かって?人間として当たり前のことだからだ。くたばってもやれ。
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希望に満ち溢れ4月に就職して、この時期になり、息切れした適応障害の患者さんが続々と精神科を受診する。キャパシティが10であるのに、15くらいの周囲からの要求があるから適応できない。ある意味、キャパシティはストレス耐性であり、一番難しい精神疾患は適応障害かも?多いよ、適応障害。
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精神疾患から卒業できる時期は、その人なりの生き方を見出した時。誰しも病気に罹らなかったら良かったと思うはず。しかし、一生病気を経験しない人はいないし、人生においてストレスのない生活はあり得ない。病気やストレスがあっても、その人らしい生き方を模索することが病気に負けないことである。
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夜間せん妄を起こして施設で介護するのが困難になった認知症の患者さん。勤務先の病院に入院すると直ぐにせん妄が良くなり、施設にお返しすると悪くなる。当院の認知症病棟のデイルームは広く、昼間のレクレーション活動が功を奏しているようだ。レクレーション活動で昼間に寝ないことは大切である。