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憎い相手よりも必ず幸せになれる魔法をかけてもらった。ここまで辿り着くのには苦労したが、効果は地味だ。「幸せになりなさい」魔法使いは僕の目を見て言った。僕は「優しいですね」とだけ答えた。その後の人生はまさに堕落の極みだった。幸福に繋がりそうな道は自ら閉ざした。それほどの恨みだった。
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先輩はすごい人だ。どんな相手に対しても態度を変えない。社内でも、社外でも。自分も努力しているが、上手くいかない。気に入った相手には甘くなるし、苦手な相手とはぎこちなくなる。「先輩は人によって態度を変えたりしないですね。尊敬します」先輩はニコニコして答えた。「まあ全員嫌いだからね」