事務所に電話をかけてみたが、昨晩は仕事が終わってすぐに帰ったそうだ。 慌てていた様子だったので、そのままシオカラ地方に向かうものだと思っていた、とマネージャーは答えた。 部屋にも電話をかけてみたが、応答がない。 ホタルは胸騒ぎを覚えた。↙
【第六話】 次の日、ホタルは駅でアオリの到着を待っていた。 しかし、予定の列車にアオリは乗っていなかった。 また寝坊したのかな、そう思って、次の列車を待った。 だが、次の列車にもアオリの姿はなかった。 その次も、またその次も。 ついに夜になっても、アオリは姿を見せなかった。↙
ふたりとも自分のことで精一杯だ。 胸を張って答えられるほど、相手に目を向けることができていないと気づかされる。 でも、明日になればアオリもやってくる。 アオリの顔を見れば、こんな小さな罪悪感は消し飛んでしまうだろう。 そう思いながら、ホタルは床に就き、翌朝を待った。(つづく)
久々に顔を見せた娘を、両親は暖かく迎えてくれた。 ここは何もない土地だが、穏やかな時間の流れが心地よい。 縁側で陽に当たりながら、日がな一日、都会での暮らしについて話して聞かせる。 両親は、アオリのことも気にかけていた。 もちろん元気、と答えようとして、少し言い淀んでしまう。
アオリも一緒にと考えたが、初日だけ仕事があるらしい。 短い休みを無駄にしないよう、一足先に帰省することにした。 あとから追いかけるから、アオリはそう言ってホタルを見送った。 シオカラ地方までは列車で三時間半。 そう遠くはないが、いつも隣にいたアオリがいないのは心細かった。↙
【第五話】 その日、ホタルは旅行カバンに荷物を詰め込んでいた。 シオカラ地方に里帰りするためだ。 急ではあったが、三日間の休みをもらった。 この休みが明けたら、舞台の稽古が始まって、休む暇もなくなる。 その前に骨休めをして来いという、事務所の心遣いだろう。↙
日本からは第2回スプラトゥーン甲子園 優勝チームの「ダイナめう」が招待されることが決まった! 日本代表として、世界の舞台でもぜひ頑張ってほしい。 大会の詳細については判明次第お伝えするので、続報をお待ちいただきたい。
6月にアメリカで開催される世界最大のビデオゲーム発表展示会「E3 2017」にて、「スプラトゥーン2」の世界大会が実施されることが決まった! 米国、日本、欧州、豪州から事前に選ばれた4チームによるトーナメントになるそうだ。 e3.nintendo.com
ハイセンスでちょっと大人なイカ達に人気のブランド「ジモン」。 カジュアルでありながら高級感のある洗練されたデザイン、肌触りにこだわったマテリアルと丁寧な縫製は、目の肥えたイカたちにも定評がある。 トップスだけでなく、アイウェアやシューズなど幅広くアイテムを展開している。
これは「タタキケンサキ」のコマーシャル映像だ。 ハイカラスクエアのデジタルサイネージでヘビーローテーションされており、街を行く若者の注目を集めている。
「タタキケンサキ」はデザイナーが自らの名を冠したブランド。 モノトーンを中心にした、シンプルながら構築的なデザインが、都会の若者に受け入れられ、数多くのセレクトショップで取り扱われている。 他のブランドとのコラボレーションで別注ギアを発売するなど、話題性も人気の秘密だ。
ずいぶん話し込んでしまった。 もう陽が傾き始めている。 そろそろ帰ろっか、そう言い合って帰路についた。 やっぱり、ふたりで一緒にいるのは楽しい。 いや、楽しいという言葉では表せない、特別な感情で心が満たされる。 最近たまっていた心のモヤも、すっかり晴れた気がした。(つづく)
そういえば、ここしばらく、アタリメ司令にも会っていない。 忙しくて、こちらからも会いに行けないが、マンホールから顔を覗かせる姿も見かけていない。 タコもおとなしくなったし、おじいちゃんのことだから心配はいらないけどね、と、ふたりは顔を見合わせて笑った。↙
もしかしてアネモがブキチと……!? と色めき立つアオリだが、それはナイっしょ、とホタルは全否定。 ちなみにブキチは、カンブリアームズ二号店の出店を計画中だそうだ。 最近、新たなナワバリバトルの中心地として、若者が集まる街が生まれているらしい。 商売上手は相変わらずなようだ。↙
ロブからの伝聞によると、アネモも新しい仕事を探しているらしい。 もともと接客が苦手なので、客と顔を合わさずに済む仕事を考えているそうだ。 最近はカンブリア―ムズでのブキのデコレーションの手伝いが忙しくなってきたので、それを続けつつ、片手間でできる仕事が理想らしい。↙
ロブは最近、エビスシューズを辞めたらしい。 ずっと雇われ店長だったが、いつか独立して、自分の店を持つのが夢だったそうだ。 友人の紹介で、次の仕事の目処はついているらしい。 ロブくん大丈夫かな、けっこう軽いとこあるから、と、ホタルは、ちょっと心配そうにしていた。↙
こんな時は、自然と互いの仕事の話になる。 ロケ先での出来事、共演者の噂話。 話題はとめどなく、いくら話しても話し足りない。 アオリは、朝のカフェでのことを切り出してみた。 見てたんだ、と、ホタルは意外そうな顔をしたが、ためらう様子もなく、ロブとの会話について話し始めた。↙
【第四話】 プライベートでアロワナモールへ来るのは、いつ以来だろう。 以前通った店や、新しく入った店を巡って、ウィンドウショッピングを楽しんだ。 ひとしきり目当ての店を回ったところで、カフェで休憩することにした。 アオリはアイスレモンティーを、ホタルはミルクティーを注文した。↙
これはアロメの新作シューズ、「ウミウシタウンHi グレー」。 定番モデルのウミウシシリーズに、待望のハイカットモデルが登場した。 シンボルマークを大きくあしらった大胆なデザインながら、落ち着いたカラーリングで、スポーツはもちろん、タウンユースにも活躍しそうだ。
ハイテクスニーカーで一世を風靡したスポーツブランド「アロメ」。 ファッション性と、最新のテクノロジーを取り入れた機能性を両立し、洗練されたブランドに成長した。 多くの一流アスリートにギアを提供しており、着用モデルは軒並み完売するほどの人気ぶりだ。
朝食の支度をしていると、ホタルが戻ってきた。 アオリが起きていることに驚いていたが、おはよう、と声をかけると、おはよう、と気の抜けた調子で返ってきた。 いつものホタルだ。 ふたりで朝食をとりながら、ホタルをショッピングに誘った。 ホタルは、ふたつ返事で誘いに乗った。(つづく)
ホタルはカフェにいた。 ロブと一緒だった。 テーブル席に向かい合わせに座り、談笑している。 ロブとふたりは、出身地が近いせいか話が合う。 深く帽子をかぶっていて表情は見えないが、楽し気なホタルを見るのは久しぶりな気がした。 水を差すのはよそう。 アオリはそのまま部屋に戻った。↙
そういえば、近頃のホタルは元気がない。 疲れているのだろうか? 嫌なことでもあったのだろうか? でも、ホタルの心配ばかりしてもいられない。 ここのところ、アオリも仕事で息をつく間がなく、ちょっと気が滅入っている。 今日は気晴らしに、ホタルを誘って出掛けよう。↙
部屋を見渡すと、ホタルの姿がなかった。 確か、今日はホタルもオフのはずだ。 時計を見ると、朝の8時過ぎ。 買い物に出掛けるには、まだ早い。 身支度をして、ホタルを探しに街へ出てみることにした。↙
【第三話】 その日、アオリは携帯電話のコールで目が覚めた。 マネージャーからだ。 予定していた収録が、他の出演者の都合で延期になったらしい。 今日は一日オフだそうだ。 ちょっと拍子抜けしたが、ひさしぶりに休みをもらったのだ。 ラッキーだと思えばいい。↙