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「エースコンバット初体験の人でもVRだとうまく操作できる」という事実、これ即ち飛行機操作で1番初めにぶつかる「機体をロールさせてピッチを上げると旋回する」という概念がVRだと直感的に伝わるって事。これ全エスコン開発者が驚いたと思う。
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エスコンにおいて主人公がどんどん英雄視されていく演出は重要な要素。『7』でも勿論力を入れて台詞を書いているのだけど、一方で04以来毎作英雄英雄言われるのもなぁという私のへそ曲がりな気持ちを代弁してもらいたいのもあって、カウントには「トリガーに頼りすぎなんだよ」と言ってもらいました。
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カウントはトリガーとワイズマンという凄腕と長時間一緒に飛んでるわけだから1番成長したに違いない。トリガーと比べなければエースパイロットと呼ばれてもおかしくないんじゃないか。他のロングレンジ部隊だってそう。そう思った時ロングキャスターに「みんなエース級だ」と言わせたくなった。
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そんなヤツの方が感情移入できる自分がいる。歳とると自分がメビウス1じゃない事が分かっちゃうから、カウントみたいなのがいると「ああこいつ俺に似てるよなぁ」と思えてしまう。そんな駄目なヤツでも自分を見つめ直す事ができたなら救われて欲しい。実際カウントはそうなる。
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本当はタブロイドみたいに自分でトリガーの才能を見抜き最後までトリガーを無条件に信頼してついて来てくれるヤツの方が、エスコンの主人公の僚機にはふさわしいのかもなあと思う時もあります。実際無限に開発費があったら僚機がタブロイドになるルートがあるエスコン7を作ってみたい^^
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最近老人向けゲーム作りたいなぁって思ってる。老人ってのは今の自分や20年後の自分。40すぎると明らかに「攻略してやろう」という気力や胆力、反射神経、記憶力が衰える。敵や他のプレイヤーにやられた時のストレス抵抗力も低い。そんな人向けのストレスフリーでバリアフリーなゲームを作りたい。
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エースコンバットでは、ゲーム中の台詞(無線)の再生条件を考え実装するチームが、レベルデザインとは独立して存在する。これは04の頃に確立したパイプラインで、個人的にはやりやすい一方、「演出の実装ってフツーはレベルデザイナーがやるものでは?」と思わなくもなかった。しかし(続く)
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小島監督はかつてメタルギアの開発をオリンピックに例えていました。大型タイトルで、かつ世界と勝負できる作品となれば4年でも短いくらい。あと2015年に発表されて2019年1月に発売されたゲームもありましたね。エースコンバット7って言うんですけど。 twitter.com/no_shachiku_no…
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エースコンバットの無線では「ほめる」ことが大切ですが、「すごいぞ、お前はエースパイロットだ!」と直接的に言っても心に響かないので、手を替え品を替え間接的な言い回しで褒めます。例えばミッション7ではこんな感じ(続く)
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ミハイ「しんがりは2機だ。腕の良いほうを私がやる」→(プレイヤーの方にくる)→(腕の良い方って俺か!)
(プレイヤーがミサイルをかわす)ミハイ「(味方機に)ミサイルがはずれた。当てるつもりだったんだがな」→(一発必中のミハイのミサイルをかわす俺スゲー!)
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(ミハイ(敵エース)が出てきて逃げ出す懲罰部隊)ワイズマン「一部444の機がアウトバウンドしてる。どういうことだ」バンドッグ 「損傷した機体を離脱させただけだ。使えるやつだけ残す」→(使えるヤツって俺のことね)
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フーシェン「こいつとやり合うのはまずい!こいつはあたしじゃ太刀打ちできない」→(戦えちゃってる俺は彼女より上ってことね)
フーシェン「あのオレンジ色に対してたった2機か」イェーガー「いや戦っているのは1機だ」フーシェン「無理だ。少なくともあたしじゃ1分ももたねえ」→(同上)
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ヴィト「ソル1、状況を伝えてください」ミハイ「そうだな、少し心が躍るよ」→(これは悟空の「おらワクワクしてきたぞ!」と同じか…!)
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(ミハイを撃退して)ワイズマン「番犬殿、しんがりを務め抜いたパイロット、どういうやつなんだ」バンドッグ 「うちで1番の大馬鹿野郎だ」→(バンドッグめツンデレだな)
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ワイズマンの部隊の護衛に成功した時にワイズマンが「彼は誰なんだ…彼に感謝を伝えてくれ」とべた褒め気味に言いますが、これはプレイヤーが聞いていると分かっていないワイズマンがバンドッグ に言ってるので成立してる感じです。
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他のミッションでも間接的にほめる事を基本としてます。現実世界でも、面と向かって褒められるのも嬉しいですが、「あの人お前のこと褒めてたよ」と聞くともっと嬉しいものですからね^^
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ゲームとストーリーが融合して最高の感動が味わえるゲームを作りたい。そう思った原体験の1つが『ゼルダの伝説 風のタクト』です。ゲーム冒頭、リンクが盾を手に入れるにはおばあちゃんから受け取らないといけない。でもおばあちゃんは、リンクが盾を手に入れれば旅立ってしまう事を知っている。
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小説や映画だったらここまで心動かされなかっただろう。そう思ったのも印象深かった。それはゲームだからできるんだなあと。盾を受け取って「チャラララ〜」というSEとともに盾を掲げるリンクが、眉をしかめているのもよかった。きっと今、自分もこんな顔をしてるんだろう。
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それでもおばあちゃんは持っていきなさいと言う。コントローラーのボタンを押して台詞を送りさえすれば盾が手に入るのに、それをしたくないという気持ちになる。何の障害もないのに。ゲーム的には盾をもらうのは嬉しい事なのに。何だろうこの自分の指にかかる抵抗感は。これがゲームにおける物語の力。
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自分が作るゲームでも、プレイヤーにこんな体験をさせたい。この『風のタクト』での原体験は、今でもゲーム制作のモチベーションになっています。
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DLCは #エースコンバット7 劇場版だというのは言い得て妙で、3ミッションの中に本編の魅力を凝縮しつつ、語りきれなかった部分を語り、新キャラも出して(出しすぎ)、一方アニメで例えるなら「あの作画はないよな」というシーンは描き直して、もう1度ファンに楽しんでもらいたいという作品でした。
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しかし対潜水艦戦って制約多くてお話作るのは大変でした。
A「どうしたら戦闘機対潜水艦の話を面白くできますか?」
B「通常、戦闘機は潜水艦と戦いません」
終
制作・著作
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バンナム
……とならないのがエースコンバットでして(笑)。
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長くなったのでnoteに書きました。まだ途中…というか序盤ですが→ストーリー的な演出がゲームの自由度を制約するとき【1】|Kito Masahide @kito_mas #note note.com/kitomasahide/n…