251
11/24 ひきがねをひけば小さな花束が飛びだすような明日をください(笹井宏之)
252
11/25 気づいたら朝が来ていて気づいたら帰ってベッドに転がっている(小畑詩穂)
253
11/26 水の無い星にうまれた生き物のように涙を流さずに泣く(山本左足)
254
11/27 夕暮に淋しがりやのぼくの手がティッシュペーパーを貰ってしまう(杉崎恒夫)
255
11/28 私生活に立ち入るつもりはないけれど銀杏落葉をきみのかばんへ(しま・しましま)
256
11/30 落ちている葉っぱをひとつまたひとつ拾うように話すひとだね(ふらみらり)
257
12/1 かつてじんるいをめつぼうのふちにおいこむげんいんとなったこたつ(竹林ミ來)
258
12/2 もうダメだおれはこれから海へ行くそしてカモメを見る人になる(瀧音幸司)
259
12/4 冬という音の響きのおだやかさつい口笛を吹きそうになる(たえなかすず)
260
12/6 マフラーがちくちくしない方法を羊に教えてもらう日曜(穂村弘)
261
12/8 柴犬の鼻はほどよく濡れていてページをめくるとき役に立つ(谷じゃこ)
262
12/9 えんぴつの先が子犬の鼻みたい まるくなったらやさしいてがみ(やすたけまり)
263
12/10 幸せの色ならむかし見たことがある気がするよ たしかきみどり(北島洋)
264
12/11 もう一度あなたが現れるようにきっちり締めておくジャムの蓋(西村湯呑)
265
12/13 息止めてせーので水に潜るのと布団から出る瞬間は似て(岡野大嗣)
266
12/14 流星をどのタイミングで流すのか朝から会議をしておりました。(牛島裕子)
267
12/15 消しゴムも筆記用具であることを希望と呼んではおかしいですか(岡野大嗣)
268
12/16 ねむたいと言ってわたしは目を閉じるわたしが泉そのものになる(坂井ユリ)
269
12/17 トマトクリームパスタにうかぶ海老たちのみているゆめもまきとってゆく(佐々木遥)
270
12/23 生まれつき耳鳴りのある犀の吐く一夜にいちどきりのため息(岡野大嗣)
271
12/24 寝た者から順に明日を配るから各自わくわくしておくように(佐伯紺)
272
12/25 華やかなツリー そのあと一年は暗い倉庫に閉じ込められて(竹林ミ來)
273
12/26 何もかもわかったような顔をしてそこに座って待っていなさい(木下龍也)
274
12/27 ふたりともすることがない一日にホットケーキを切って重ねる(土岐友浩)
275
12/28 自分にも嘘をついてるさみしいと感じる前に眠りについて(加納舞子)