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昨日の武道館の様子は少しみた。立派だとは露とも思わない、醜悪な式典だった。献花台の設えも悪趣味なものだったが、なによりも違和感を覚えたのは、ずらり並んだ特別儀仗隊と音楽隊である。あれだけの「隊」を動員し、周囲を睥睨し、威厳を誇示するのに何の意味があるだろう。ただただ不気味だった。
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一般的な葬儀におけるお坊さんの読経や神父さんの説教は、ある意味では安全弁だったのだな。それ抜きで「隊」を代入したのが、今回の国葬である。しかも弔砲までぶっ放して。あれが故人の標榜した「美しい国」なるものの具現化なんだろうか。あれを立派だと思う感性が私には理解できない。怖ろしいよ。
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国葬で岸田政権が表現したかったもの。それは国家意識の発揚だった。それゆえ儀式はかくも仰々しく、しかも凶々しかった。しかし滑稽だった。誰かが体育館で行う式典みたいだと評していた。同感だ。入学式や卒業式の拡大版のような稚拙さがあった。こんにち世界に日本国が示しうる、あれが限界なんだ。
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<反知性主義の要因の一つに(中略)教科学習への反発という側面があることは否めないだろう>
思えば、安倍晋三は反知性主義の象徴だった。勉強のできない劣等生が政治家になって、官吏を牛耳り、鼻持ちならない野党議員を詰る。その逆転の構図が、教科学習に反発する者たちの心を掴んだのだと思う。
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もしも大勢の人たちが放送受信料を解約するためにテレビを手放しはじめたら、NHKはもとより民放各局も成り立たなくなる。それゆえマスメディアに属する人は受信料制度に異議を唱えられない。だが、“テレビの支配”はまもなく終焉を迎える。NHKが公共放送としての役目を放棄し、政府広報に傾いたからだ。 twitter.com/nasukoB/status…
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「みっともない憲法ですよ、はっきりいって」と安倍が語ったときに快哉をさけんだ者たちは多かっただろう。彼らは日本国憲法が自分たちを拘束している元凶のように感じていたのだと思う。権力者を縛るために憲法があるという観点は微塵もなかったに違いない。権力者安倍と自己とを同一化していたから。
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安倍を典型とする反知性主義の波に、自分が呑まれないことだ。ただし、抗う言説までが陳腐になってはこまる。思考を柔軟にめぐらし、誠実に語りかけることだ。教条主義に陥ってはならない。迷ったら原点まで戻ってみればいい。何も知らなかったころまで。
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電気代高騰を抑える手段として原発再稼働やむなしの方向へ世論を誘導するつもりだろう。やりかたが見え見えなんだよ。
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礫のような因縁。まるで終わらない悪夢のようだ。
抗議行動の在りかたに忠告する体裁で、「座り込みの定義」から「共感を得られない」まで、延々と続いている。
先月来の、『蟹工船』を曲解し学生運動(世代)を侮辱する動きとも共通するが、抵抗する者への冷笑と憎悪は、さらにエスカレートしている。
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冷笑と憎悪の扇動には「国家権力に跪け」というメッセージが常に含まれている。彼らは一様に、国の決定に逆らう連中が疎ましいという感情に支配されている。奇妙な情熱。おかしいとは思わないか? 抗いの声を嘲笑う言説に従うことは、公権力による不正の横行を、結果的に見過ごす手助けとなるだけだ。
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悔しい。そして歯がゆい。
自分を安全地帯に置いたまま他者を愚弄する連中が多すぎて唖然とする。こうも日本人は卑劣だったか。こうも日本語は汚かったか。
厚顔無恥で、無関心と無責任が横行する日本社会。自尊心をぬくぬくと育て、他者とかかわらず、自説に凝り固まり、他罰のみに専念する。蛸壺化。
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マイナポータルにアクセスできず 支援窓口を一時閉鎖【毎日】
<河野デジタル相がマイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」について記者会見を開いた直後、アクセスが殺到してサイトが一時的にダウンした可能性>。これからもこういうことは度々起こる。 mainichi.jp/articles/20221…
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「じきに慣れるって、パソコンもインターネットも携帯電話もスマートフォンも、みんな最初は抵抗したけど、そのうち使えるようになったでしょ」という人を見かける。ねえ、それらを理由があって使えない人がどれくらいいるかを想像してみて。利便性の向上に振り落とされる人は置き去りにしてもいいの?
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断っておくと、私は「マイナンバー制度」自体にも反対だ。日本国政府は、個人の所有する財産(預貯金等の資産から借金等の負債まで)すべてを掌握しようとしている。職歴や病歴といった個人情報も国に吸いとられるだろう。この「超」管理社会に暮らしていることの窮屈さ、息苦しさに私は我慢ならない。
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隠しだてするような財産を私は持たないが、人としての自由と尊厳は奪われたくない。マイナンバーの束縛からは、できるだけ離れていたい。私がマイナカードに反対する理由は、カードを持たない自由“も” 保証されるべきだと思うからだ。
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労働者のスキルがこの二十年で落ちた理由はさまざまだが、その一つに「果たさなければならない約束事の多さ」があるだろう。職務を「ちゃんと」遂行できたかの確認ばかりが要求され、スキルを培い、磨く余裕がない。パターンを踏襲するだけのルーティンワークに、工夫や創造性の介する余地は殆どない。
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が、この二十年間で労働者のスキルは格段に向上したと思う。技術革新の波にも複雑化した社会構造にも難なく対処し、しかも感情のコントロールに長け、親切にふるまえる。私の若い時分より今の若者ははるかに優秀だ。
だから、その働きぶりに見合った報酬を払うべきだよ。
政治家よ、そうは思わないか?
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【覚書】
大石あきこ議員の発言を強引に遮った衆議院予算委員長の根本匠は第4次安倍第1次改造内閣で厚生労働大臣に就任している。根本が在任中の2019年1月に、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の不正問題が発覚したことは記憶に新しい。
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<消費税減税を言ったというのは間違いだったと、強く反省している。二度と減税は言わない>
元代表とはいえ、これが党内のホンネだろう(現時点で総意とはいわないでおく)。6月10日野党4党で提出した「時限的消費税減税法案(消費税の減税その他の税制の見直しに関する法律案)」を反故にする気だ。
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つまり枝野は、立憲民主党が合意する相手が社会民主党・日本共産党・れいわ新選組から、自由民主党・公明党・日本維新の会に移るということを「フェーズが変わった」と暗示したのか。そしてついに減税から増税への路線変更をあきらかにした。資源価格高騰や雇用保険料値上げで家計の苦しいこの時期に。
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なぜ専門職の図書館司書が非正規なのに.異動繰り返す「素人」が正規職員なのか 官製ワーキングプアの構図
<日本は「小さな政府」を標榜して正規公務員を削減する一方、複雑で困難な事例を伴う行政需要が高まったにも関わらず専門職員の非正規化を進めてきました。その結果、 bengo4.com/c_5/n_15163/
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福祉的な機能が後退して、社会的弱者に支援が届かなくなり「自己責任」を建前として切り捨てることにつなが>った。
<会計年度任用職員制度の開始以来、多くの自治体が非正規公務員の就業時間を1日15分だけ縮め、勤務実態はフルタイムと同じなのにパートとして扱うように>なった【弁護士ドットコム】
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ミクロな話だけど、二十歳から還暦まで年金を払い続けてきて(私の場合は数年ブランクあるけど)それで40年の加入期間を45年に延ばします、受給開始は70歳からで如何でしょうと制度変更の提案された日にゃ、ふざけんなっていいたくなるよね。払い続けた分きっちり返済してもらおうか。当然の権利だろ。
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「消費税減税」を野党共闘の踏み絵と捉えるとは。いや、百歩譲って北欧型の高負担・高福祉を目指しているのなら増税もやむなしと思えるだろう。が、現政権は財源不足を理由に社会保障や福祉の分野を削減しようと躍起になっている。国民に負担ばかりを要求する政府をただすのが野党のつとめではないか。
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私は郵便局員を怠慢だとは思わない。責めるべきは配達員ではなく郵便が遅延するような人員配置を決めた日本郵政株式会社の経営者たちである。