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世界最高峰の歴史学論集のひとつといえば、『The Cambridge History of ~』ですが、このたび私、外国人かつ、たぶん最年少?で、中国古代経済史部門執筆者に選ばれました。夢が叶い、行きつくとこまで行きました。 『The Cambridge Economic History of China』は、来年いよいよ世界同時刊行です‼️
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趣味の歴史評論ならともかく、研究教育としての歴史学にとっては、これは譲れぬ一線です。このあたりはレヴィナスやデリダが参考になります。現代日本の閉塞状況を打開すべく改革を叫ぶ方は尊敬に値しますが、一方で改革賛同者はどこまで改革の犠牲者に目を向けているか。私はここに注意したいのです。
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だから政治家に対する過度な美化は、そのぶん実態からの乖離につながりかねません。過去の政治家をいまさらディスってもしょうがない?なら逆に、無条件に英雄を褒めるのも意味がないでしょう。なにより犠牲者がいたことを忘れることは、他者理解の第一歩を否定することです。(続く)
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漢室復興をかかげて北伐するのも、漢を倒して魏を建国するのも、商人を味方に孫氏が台頭するのも、それぞれに賛同者がいる一方で、実際にそれを「はっきりいってマジ迷惑」と考える人も当時からいました。一人息子が徴兵されてすぐ殺された母親、農繁期に戦争に動員された若者などがそれです。(続く)
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それは「政治家が理想をぶち上げる裏で、何が犠牲になっているかをつねに考えてみませんか?それはあなたかも知れない」です。結局万能な政治家なんていないわけで、名君とされる者の政治も、必ずどこかを切り捨てており、その犠牲者に焦点をあてる歴史学があってもよいと私は考えているのです(続く)
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私は以前『劉備と諸葛亮』(文春)を書きました。編集部が帯に「全員悪人!?」と銘打ち、一部に誤解を招きました。歴史人物を善悪で判断することが困難なことくらい私にもわかりますし、それを読者に考えてもらうことが主張のひとつでした。でも私がホントに言いたかったのは別にありました。(続く)
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本を書くと一部が批判がされ、やがて本全体の価値も忘れられる。で、忘れられた部分がのちにwebサイトに転載され、web管理人の儲けになる。あげく大学レポート採点時に学生が当該webを典拠として挙げ、もとの執筆者は自説の劣化版を読まされる。対面する現実です。学問の裾野を広げてる?まさか。
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漢代では、役人も民もみんな爵位をもってます。奴隷もマイナス爵位とみるべきだなんて説もあります。で、国家からプレゼントがあるときや、罪を犯したときの量刑、飲み会の席次まで爵位で決まります。がんばると誰でも途中までのぼります。途中からは役人でないとダメ。(続く)
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こうした問題にとりくんだのが工藤元男先生たちです。現在はさらに出土が続き、むしろ「まずは細かく読んでいこーぜ」という流れになりつつあります。こうした細分化を批判する方もいますが、問題関心を細分化できるだけの史料が出土してきた結果でもあり、私はシンプルにワクワクがとまりません。
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秦は圧政を布いたから短命でおわり、漢は善政を行なったから400年続いたとよくいわれます。しかし戦国時代、統一秦、前漢時代の法律の簡牘が別々にみつかり、ほぼ似たような内容であったため、上記の見方には現在再考が迫られています。秦が短命、漢が長命な理由も新たに探さねばなりません(続く)
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あ、編集長とはなんどもお会いし、じきじきに担当してくれてます。光栄です。校閲者の方にもおあいしたい。校閲は本当に重要です、私みたいなずぼらな人間にとっては。16万字とか書いていると、必ずどこかにミスがあるものです。執筆者なら誰でもわかると思いますが笑 今回は能力者に出会いました。
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いま新書の校正をしていますが、中公新書の編集長と校閲者はマジで凄い。今回じつはすべての漢文史料を添付して段ボールで渡したのですが(暴挙)、全部ファクトチェックして返してくれました。何とかお会いして御礼を言いたいレベルです。むろん誤りがあれば私の責任ですが。#古代中国の24時間
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皆さん諸葛亮の給料に興味津々ですね。では漢代の農民は毎月いくらかせいでたのでしょう?キングダムの英雄たちは?漫画では兵士がバシバシ死んでいきますが、あれどれぐらいの給料もらってやってると思います?柿沼陽平『中国古代の貨幣 お金をめぐる人びとと暮らし』(吉川弘文館)ご覧いただければ
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来月刊行予定の柿沼陽平『古代中国の24時間』(中公新書)もまさにこんな感じの、みんなにとっても身近に感じてもらえるような、中国古代の問題を論じます。もうamazonとかで予約できるのでぜひ。#古代中国の24時間
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経済史の研究って驚くほど少ないのです。こんなのが調べられたことないくらいに。むろん以前はマルクス経済史研究がありましたが、みんな土地制度と税制の研究にいきました。私なんかは実家が客商売ですから、給料に話が行くのです。かなしいかな、お里が知れます。
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宇都宮清吉以降の研究によって、漢代の給与体系は判明しています。晋代のも中村圭爾先生の研究で判明済。あとは両者を見据えて三国志関連史料を読むと、孔明の給料がわかります。やはり結構もらってますね。資産もすごい。ただそれでも清廉潔白なほうですが。うらやま。
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「諸葛亮孔明の月俸と財産」(『ユリイカ2019年6月号 特集=「三国志」の世界』青土社,2019年5月)
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柿沼陽平『古代中国の24時間ーー秦漢時代の衣食住から性愛まで ーー』(中央公論新社、2021年)が刊行されます‼️ 新著です。朝から晩まで、秦漢時代を中心に、戦国時代や三国志の時代もふくむある1日24時間の歴史です。プロモ動画もご覧いただければ。 #古代中国の24時間 youtube.com/watch?v=2kPkFs…
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三国志の動乱のきっかけは、宦官でも黄巾でもなく、寒冷化現象とそれによる羌族の南下だと考えます。これは拙著『劉備と諸葛亮』でのべたとおり。寒冷化は竺可禎氏以来の説で、一部異論もありますが、羌族問題はたしかにありました。