「我が名は研修医アシタカ!先生今お時間よろしいでしょうか?62歳男性。高血圧、糖尿病の既往歴があります。本日20時頃、夕食後テレビを観ていた際に胸痛あり救急車で来院されました。バイタルは安定。血圧に左右差なく、X線で縦隔陰影の拡大はありません。dダイマー高値でCTを撮影したところA型解r
大動脈手術の緊張どころ循環停止。脳への血流をとめてドラマさながらの「いま何分!?」とギリギリのプレッシャーのなかで手術する。オーストラリアくらいワークライフバランスがすすむと緊急手術の循環停止中でも『13時ですね。結婚式の打ち合わせあるので』って助手がいなくなる。残った人で頑張る。
「あの…土日休んだらサボったみたいな雰囲気になるのはどうしてですか…?」
「我が名はアシタカ!苦労の末に大学病院の外科教授まで登りつめた。制度変更のためスタッフしか当直できなくなってしまい、私は月5回当直しないといけないが若手は当直なしで帰れる職場だ。どなたか次世代の教授を目指してはくれないか?」
研修医先生、先週から腰が痛いって訴えていた感染性心内膜炎の担当患者ですが先ほど緊急手術になりましたよ。『長期間の入院で寝てる時間が長いからでしょう、ハハハ』っておっしゃられたそうですが、上級医が整形外科に連絡して化膿性脊椎炎の診断だったみたいですね。無事に回復されるといいですね。
「どうして、辞めたいって騒ぐ同期は雑用が減っておいしい仕事ばかりあたるの?真面目に働いてる私達がバカみたいじゃない」
「のび太さん、外来で上行大動脈瘤の画像フォローをしてる患者に『45mmなのでまだ解離の心配はありませんね』って説明してなかった?たしかに手術適応は55mmだけど、それはあくまで破裂の予防であって大動脈解離の半数以上は55mm以下の径で起こるのよ。次の外来まで何も起こらないといいわね」
「手術台の上で亡くなるのは?」 『術中死』 「手術から30日以内に亡くなったら?」 『30日死亡率』 「退院までに亡くなったら?」 『院内死亡率』 「手術から退院まであるいは30日以内の死亡率は?」 『手術死亡率』 「よし、心臓血管外科のホームページみておいで!」 『うん!!』
「まるちゃん、A型解離の手術死亡率はいまでも10-20%もあるんだ。なんでこんな危険な手術が許されるとおもう?それはね、手術しなかったら最初の2日間で50%の人が死ぬ病気だからだよ」
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「先生、今日の術後外来で人工弁手術よりも形成術のほうが医学的にはエビデンスもあるいい方法だって説明されてましたね。でも形成術を受けた場合には障害者手帳も障害年金ももらえないのをご存知でしたか?あの患者さんお金に困っているようでしたけど、生活がうまくいくといいですね」
「しずかちゃ〜ん、紹介してもらった心不全患者だけど、血圧が高くもないのに高血圧の薬のんでたり糖尿病でもないのに血糖の薬のんでたりしたからぜんぶ中止しておいたよ。咳がでるみたいで喘息かな?吸入だしておいたからね」
お茶の間に笑いをありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。 残念ながら今の医学では一度解離した大動脈がもとに戻ることはありません。体質の要素も大きく、一度解離した血管がもう一度解離したり、別のところが解離することは十分に起こります。現場からは以上です。 twitter.com/livedoornews/s…
大動脈解離が話題です。どのような病気なのか、なぜ命にかかわるのかまとめました。
天災のようにあなたにも突然ふりかかるかもしれない大動脈解離。あなたがいざ救急搬送されるときに『病院ガチャ』は本当にあるのか?気になるポイントをまとめてみました(1/n)
「いや〜やっぱり雑誌の名医百選だな!心臓の血管をバイパスする手術をうけたら、血圧とかコレステロールの薬はもう飲まなくていいんだってよ!ついでに胃薬もなくなってお薬手帳は血液サラサラのやつだけさ!!それなのにこの2日は血圧も低いくらいだし、ホントたすかるよ〜」
「どうしてケンカが強いならリングじゃなくてストリートで腕自慢するの?運転に自信があるならサーキットじゃなくて高速道路で煽るの?手術がうまいなら学会や論文じゃなくてSNSでアピールするの?」
「どうして薬を全部とめてしまったんだい?心臓の手術をうけたら、前立腺や骨粗鬆症までよくなるのかな」
「あの…どうして外科医って若手が増えなくて困ってるのに、『最近の若手はやる気がない』とかツイートしちゃうんですか?」
「良いですか、落ち着いて聞いてください。今日で2023年は1/6が終わりました」
「我が名はアシタカ!80歳の母が誤嚥したと聞いて施設の責任を問いに馳せ参じた。認知症であれば危険性を予見できたであろう。再発予防のためみまもりの強化、スタッフ増員を希望する。私は仕事で忙しい。若者たちよ、よりよい医療を提供するため増税の犠牲になってはくれまいか?」
『毎日10時間勉強した?』 『医師免許もってる?』 『初期研修は修了した?』 『大学院で博士号とった?』 『専門医試験合格した?』 『指導医になれた?』 『海外留学した?』 『研究費は確保した?』 「うん!」 『よし、大学病院の給料だけじゃ生活くるしいからアルバイトしておいで!』
「あの…あなたは大丈夫かもしれませんがみんなが休みとりにくくなるので土日祝のサービス出勤やめてもらっていいですか…?」
「あの…『若いときにもっと苦労しないと俺みたいになれないぞ』って、冷めきった家庭に居場所がないから何時になっても帰らずにデスクでソリティアしてる人に言われて若い人が頑張るとおもいますか…?」
「お兄ちゃん、なんで『患者ファースト!』って周囲に怒鳴り散らす人ほど、どう考えても自分ファーストやって気づいてないん?」