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がん抑制遺伝子(p53やpRB)を抑制することができ、細胞の分化を抑制し増殖を促進、テロメア酵素を誘導し細胞の寿命も延ばす、ヒト遺伝子の変異を促進・許容を促し、染色体の構造も不安定化させ、免疫反応の回避もおこなう。どの性質を取っても、ヒトの正常細胞が癌細胞に変化するのに必要な要素だ。→
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これらのことがわかるのに20年以上の歳月と無数の分子生物学者の存在がある。で、これが、ウイルスが感染するとなぜ癌になりやすくなるかのメカニズムの説明になる。
(E)次は病理学者の出番。④に戻る。ウイルスに感染が原因の軽度異形成と関係のない高度異形成がありそうだったのだが→
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『パピローマウイルスが子宮頸がんの原因なんじゃないの』という仮説を学会と論文で発表(1977年の話)。ちょうどその学会では、『子宮頸がん組織でヘルペスウイルスが検出されたよ』と言うセンセーショナルな発表もなされていたために、HPV子宮頸がん原因説は見向きもされず、彼は相当凹んだそうな→
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⑦でも、結局その『子宮頸がんでヘルペスウイルスが検出されたこと』は多くの科学者が追試を試みるが、再現がされない。ツール・ハウゼンも再現できず『ヘルペスじゃなさそう』・『やっぱりパピローマウイルスなんじゃないの』と研究を続ける。
⑧問題は、子宮頸がん組織からはパピローマウイルスも
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証明されたってことになる。非常に大きなエビデンス。
(11)2019年以降、ワクチンを接種した集団で特定の型のHPV感染がなくなった結果、子宮頸がんの減少として観察されるようになった。(F)として疫学的に観察・予想されていたことが確かに正しかったと、ワクチンの効果と証明されたことになる→
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見つからないこと。既知のHPVであれば検出できるはずなので『未知の』HPVが原因なんじゃないの?と考えるが、ウイルス粒子として存在しない、未知のHPVをどのようにして検出したらいいのか。技術的革新が必要であった。ここで、ピーターハウリーの登場。彼は、今まで発見されていたHPVを使って→
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⑥で、子宮頸がん組織からのヘルペスウイルスの検出に科学者は奔走。でも、見つからないこと・見つからないこと。1970年代の話。で、(勝手に我が祖父)ツール・ハウゼン博士が、巨大コンジローマ(いやって言うほどパピローマウイルスが見つかり・精製する事もできる)が癌化する例があるのをみて→
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(B)残りの3割からもその他のHPVが検出される。のちに高リスクHPVとされるものたちだ。最終的には子宮頸がん組織のほとんど(99.7%以上から)HPVが検出されると評価されている。
(C)遺伝子配列を比較してみるとがんから発見されるHPVとがん以外のイボから発見されるHPVは→
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異なるグループであることがわかった。ハイリスクHPVとして分類が確立。
(D)ここからは、分子生物学者たちの仕事で、ハイリスクHPVとローリスクHPVで何が違うのかを調べていくと。ハイリスクHPVのウイルスタンパク質は実に発癌するのに有利な性質を持つことがわかった。ハイリスクHPVは→
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ワクチン開発・特に標的とする型の選定に大きく貢献した。
まだまだ続く
⑩ワクチンの開発成功から臨床試験、集団接種後の調査によって、ワクチン接種で特定の型のHPV感染を予防すると、高度異形成の数が減ることがわかった。(F)として疫学的に観察されていたことが、ワクチンの効果として→
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改めて調べてみると、どちらもウイルス感染が原因であった。ただウイルス感染病変としての性質が違ったわけだ。前者がウイルス産生の活発な正常な生活環を有しているのに比較して、後者はウイルス癌遺伝子が過剰に発現している。ウリス癌遺伝子が過剰に発現すると、ウイルス粒子は作られない。→
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特定のHPVが検出されるヒトは子宮頸がんになるリスクが高いと言うことが、子宮頸がん検診・検査へのHPV検査の応用という形で身をむすび(ろ)特定のHPVに感染しないと子宮頸がんにならないと言うことは、ワクチンによって一部のHPVの感染を予防すると子宮頸がんにならないと言うことで→
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2種類あると思っていた異形成は実はどちらもHPV感染が関与していたと言うわけ。
(F)次は疫学者の出番。HPV感染が異形成の原因になるのか。感染すると高度異形成になるのか。大規模な調査が行われ、HPV感染が軽度異形成の原因になること。特にハイリスクHPVの感染が高度異形成の原因に→
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なることが示された。高度異形成が子宮頸がんの原因になることは『ウイルスとは関係なく』示されていたので、ハイリスクHPV感染から子宮頸がん発症までがこれでつながったわけだ。この過程で重要なことが二つわかって(我々に直接影響している)(い)HPV検査が子宮頸がん検診・検査に使えること→
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これでこの子はHPV関連がんに罹患する可能性はほとんどなくなった。コンジローマも同様。
単純な話です。 twitter.com/syutoken_sanka…
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世界的には、欲しいのに手に入れられていない国がたくさんあって、日本が破棄する分を喉から手が出るほど欲しい人たちがいる。ポーランドなんて、学校集団接種の分足りなくて困っているのに。ワクチンの生産・分配計画なんて数年単位。今、決めないと、20年代後半までは日本の分はないと思っていい。→ twitter.com/mph_for_doctor…
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次の5年間接種率が上がらないのあれば、今のままでいいでしょう。20年後、35歳未満の子宮頸がんを発症するのは日本人だけという状況が、冗談抜きできます。
HPVワクチンを全ての子供に(ただし日本人を除く)
本当に要らんの??
unicef.org/press-releases…
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ワクチン接種後に有害事象が起こったとして、それがワクチンが原因であるか・いわゆる因果関係があるかを判断するにはどうしたらいいのか。
行ってみよー🐰
(A)まず、目の前に症状を訴えている人だけをみてもわからない、ということを理解しておくことが大事になります。
→
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”もしこれが男性が20,30代で陰茎を失う病気を予防するワクチンだったら、恐らく8年間も放っておかれなかったんじゃないかと思います”(稲葉医師)
どれくらいの女性が高度異形成で円錐切除うけていると思います?驚くと思うのだけど→
wezz-y.com/archives/93120
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『子宮頸がんから高リスク型HPVの検出・発見に関して、どうやってやったの? PCRって言わないよね』
PCRが使えたのなら声を大にして言ってもいいのですが、子宮頸がんから初めてHPVが発見されたのが1983年。PCR法が初めて発表されたのも1983年と、発見時にはPCRは存在しませんでしたので無理🐰→ twitter.com/mkmogura/statu…
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『女にうつす側の男がまずHPVウィルスを予防すればより子宮頚がんを防げるってこと』
この誤解をまず解かないといけないわけで、男性にワクチンを接種する第一の目的は男性自身のHPV関連癌を予防するためだ。
男性は自分達のためにもっと声をあげていい。
『男性にもHPVワクチン無料で』 twitter.com/kgogw/status/1…
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米国から最新のがん統計がでましたよ。
2006年に開始されたHPVワクチン接種者によって人口が入れ替わりつつ20〜24歳で、2012年以降子宮頸がんが65%減少した。トレンドが明らかに変わった。ワクチンの効果が半端ないことを示す。
→
acsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.3322/ca…
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せっかくだから解説しよう。
粉瘤とは皮下組織に重層扁平上皮用の組織ができる疾患。球状の皮膚組織(外側が基底層で中に向かって角層へと分化してる。いわゆる垢の行き場ないため粉瘤となる)。原因としては外傷などを原因として、上皮組織の真皮組織への迷入などがあるとされてきた。→ twitter.com/thesaurus_chan…
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HPV💉接種したのに、子宮頚がん検査に引っかかって異形成って診断された。感染防げてないし、意味あんの?
これはしっかり説明しとかないと多くの人が同様の経験をすることになりますし、ワクチンに効果がないと言うことにはなりません。
→ twitter.com/7star_Kazuya__…
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HPVワクチンの効果に関しては、臨床試験で評価できることはすでに決着がついていて、予想どおり効果があり持続期間に関しても期間中、減弱が見られなかったが答えです。
ここから先は実際の接種集団を観察していくことで、リアルワールドでの効果を評価していくことになります。
→ twitter.com/torutoridamari…