1
「ぷっw」
二人でリモート会議中、新人が突然噴き出した。
「どした?」
「い、いえ何も!」
気になったが、俺はそのまま話を続けた。
「あの時なんで笑った?」
次の日、会社で聞くと新人は言った。
「奥様?がカメラに映らないよう、後ろで四つん這いで歩く姿が見えてw」
背筋が凍った。俺は独身だ。
3
「ナイフは縦じゃなく横にして、刃を水平にして持つんだよ!リアリティなさすぎ」
TVの殺人シーンを見た友人は苛立ってる。
「なんで?」
「縦だと途中でナイフが肋骨に引っかかる。水平だと肋骨の間を通って内臓まで刺せるだろ?」
「そんな上手いこといくか?」
「このやり方で失敗したことねーよ」
4
「帝王切開は楽で甘えでしょ」
次男を産んだばかりの私に義母は言う。私は長男も次男も帝王切開で産んだのだ。
「下から産む陣痛を経験してこそ、女性は強い母親になれるのよ」
ショックで言葉が詰まり、何も言い返せない。その時、6歳の長男は言った。
「お婆ちゃんは誰かのためにお腹を切れるの?」
5
「痛いっ!」
また殴られた。同棲してから恋人がDVをする人だと知った。
「本当にごめん。愛してるからね」
殴った後のお決まりの言葉。このことを相談しても誰も信じてくれない。世間ではこの状況はありえないと思われているから。この文章の読者も、殴ってるのは男の僕だと決めつけて読んでただろ?
6
「何が親ガチャだ!親も子供を選べないわw」
TVを見ながら悪態をつく父。いつもは黙ってる私も、その日は何故か言葉が出た。
「親にはガチャを回すか回さないか選択肢がある」
「は?」
「子供にはその選択肢はない。自分でガチャ回しといて後から何を文句言ってるの?」
その瞬間、私はまた殴られた。
7
「唐揚げにはレモン、マヨネーズとなんでもかける!」
と言う友人に
「唐揚げには何もかけないのが常識!」
と反論する俺。
「なら年内にお前が唐揚げに何かかけたら1万円の罰金な?」
「良いよ。かけなかったらお前が1万」
すると友人は不敵な笑みを浮かべ言った。
「今お前は唐揚げに1万円を賭けた」
8
彼女と家でTVを見ていた時に事件は起きた。
「嘘だろ…」
生中継の街頭インタビューで俺の妹が映り、なんと見知らぬジジイと腕を組んでいたんだ。
「お父さんと買い物です」
と言っているが違う…どう見てもパパ活だ…すると、妹とも仲良しだからか驚いた様子の彼女は言った。
「父さん何してるの…」
9
「1年は外食禁止だ。自炊しろ」
医者の俺はラーメン好きの友人に言った。高血圧で動脈硬化も進み、いつ死んでもおかしくなかったからだ。
「良かった…」
その後、友人は外食を一切やめて毎日自炊していると言っていた。
「え…」
連絡が途絶えたため家に行くと、友人は寸胴と製麺機の隣で倒れていた。
10
「ママとパパの馴れ初めは?」
「私が外で突然ナンパされて」
「そのナンパ男がパ…」
「しつこくて困ってたら別の男性が助けてくれて」
「その男がパ…」
「すると2人が殴り合い始めて警官が来て」
「その警官がパ…」
「その間に逃げたって話を一番笑ってくれた女性がパパ」
「前振りなが…は?…」
11
部長は超優しい。コンビニ弁当の俺を心配して
「昼飯行くか!」
と良く外で奢ってくれる。でも、部長はいつも一番安い定食。無理をしているのでは?と申し訳なくなり
「今日は俺の奢りです!高い定食にしましょ!」
と言うと部長はいつもの定食を頼んで言った。
「これは亡き妻との思い出の味なんだ」
12
『この中に1人殺人鬼がいます。殺人鬼だと思う人を決めて殺せば出られる脱出ゲームです』
窓のない部屋で目覚めた僕含め4人。この中に殺人鬼が…1人の男は言った。
「あの音声の言い方的に殺した人物が殺人鬼じゃなくても良いはず…とにかく誰か一人を殺せば…」
その瞬間、全員が年寄りの老婆を見た↓
13
14
「#死と打って文章が終わるまでやってください で何になる?」
友人に言われ試す俺。
「昨日検索した小説『死の秘宝』。お前は?」
すると友人は虚ろな目で、
「い、行かなきゃ…」
と言って立ち去った。数日後、未踏の谷で『死の谷の方』という文字を表示したスマホを握る、大量の自殺体が発見された。
15
中学生の私はフリマアプリで使用済みマスクを売っている。パパとママには内緒だ。
『唾液つけてね♪』
購入者にDMで頼まれる私。気持ち悪いけどネット上だし大丈夫!
「匿名配送できた!」
アプリの機能でお互いの住所も非公開で送れて安心!
「これ何!?」
パパを怒るママ。私のマスクが家に届いた…
16
「何があっても死ぬのはダメ!」
「自殺はないわ」
先生、家族、SNS。その言葉を聞く度、見る度に僕は追い詰められた。まるで自殺願望がある自分を全否定されている気がした。
「死んでも良いけど1戦だけしよ?」
唯一ゲームの趣味が合った友人の言葉。今日で聞くのは365回目。いつもありがとう。
17
20XY年。○▽国の王の俺は国民の個人情報が入ったUSBメモリを紛失した。
「パスワードは簡単ですか!?」
記者会見でリポーターに聞かれる。
「英数字13桁だから大丈夫だ」
俺の発言にネット騒然したが問題ない。本当は15桁。13桁を打てば警報とGPS機能が作動する。
ビー!
突然リポーターのPCが鳴った。
18
「YouTube倍速で見るなんて常識でしょ」
スマホで動画を見ながら言う友人。
「普段から倍速視聴なの?」
「もちろん!普通のスピードじゃ物足りない」
「物足りない?何見てるの?」
友人のスマホを覗いてみるとスローモーションのイケメンがいた。
「推しは0.25倍速で毛穴までじっくり見ないとね♪」
19
「いそげ~!」
私の名前はリカ!週の始まりのげつようびから寝坊!月曜1限は遅刻確定だし、地獄の1週間になるかも!
「キャッ!」
走ってたら男性とぶつかって転んじゃった!
「大丈夫!?」
相手はまさかの超イケメン。最高!と思ったけど、電柱に貼ってある紙が目に入る。
「指名手配書と同じ顔…」
20
私の彼氏は死神から時間停止の能力を貰ったらしい。
「運命の人の前で初めて時間停止を使えるようになるらしい」
「なにそれw今使えるか試してみて?」
目を閉じて集中する彼。期待を込めたが何も起きない。
「私は運命の人じゃないんだね…」
落ち込む私の左手薬指に見覚えのない指輪がはまっていた。
21
毎晩泥酔して帰ってくる息子を叱ると
「一度も泥酔したことないクソ真面目人間に何がわかんの?」
と言われ、大学生相手を納得させるには自分も経験すべきと思った。
『父さん今どこ!?』
電話で怒る息子。それは俺が聞きたい。死ぬほど飲んだ結果、広大な海に浮かぶ船の上で1人、拳銃片手に目覚めた。
22
「早く2人目も産みなさい」
30歳超えて娘を産んでから義母は私に毎日言う。2人目は年齢的、精神的、経済的にも限界だ。
「妻の出産は義務。1人しか産んでない女は強い母親になれない」
ショックで何も言い返せない。そんな時に娘は言った。
「なんでバァバが決めるの?産むのも育てるのもママだよ?」
23
「お前らのせいでガンプラ高騰だ」
男は言う。家で寝ていたのに…ここはどこだ?
「転売の稼ぎは月10万円以上か。俺は月1億だ」
ナイフを取り出す男。
「何する気だ!?」
「人間を安く仕入れて中身を高く売る。お前らとやってることは同じだろ?」
気付けば俺の体はプラモデルの部品のようになった。
24
「嘘でしょ…」
連続殺人事件の速報を見た私の体は震える。これで被害者は8人目らしい。逃亡中の犯人は30代だと予想されていた。
「人を何だと思っているの!」
私は被害者でないし、被害者面をするつもりはないがあまりにも酷い。これで記念すべき10人目だし、私は20代よ。ナイフと共に私は家を出た。
25
「この家の地下に女がいる」
また意味不明なことを言い出した妻。認知症の人の話は否定せず受け入れるのが原則だ。
「そうなんだ。どんな人?」
過去の離婚危機に比べたら余裕と思ったら妻は真顔で言った。
「あなたの会社の後輩の前田」
30年前、不倫相手の女が突然行方不明になったのを思い出した。