1
「帝王切開は楽で甘えでしょ」
次男を産んだばかりの私に義母は言う。私は長男も次男も帝王切開で産んだのだ。
「下から産む痛みを経験しないと、女は強い母親にはなれない」
ショックで言葉が詰まり、何も言い返せない。そんな時に4歳の長男は言った。
「お婆ちゃんは誰かのためにお腹を切れるの?」
2
「1年は外食禁止だ。自炊しろ」
医者の俺はラーメン好きの友人に言った。高血圧で動脈硬化も進み、いつ死んでもおかしくなかったからだ。
「良かった…」
その後、友人は外食を一切やめて毎日自炊していると言っていた。
「え…」
連絡が途絶えたため家に行くと、友人は寸胴と製麺機の隣で倒れていた。
3
「帝王切開は楽で甘えでしょ」
次男を産んだばかりの私に義母は言う。私は長男も次男も帝王切開で産んだのだ。
「下から産む陣痛を経験してこそ、女性は強い母親になれるのよ」
ショックで言葉が詰まり、何も言い返せない。その時、6歳の長男は言った。
「お婆ちゃんは誰かのためにお腹を切れるの?」
4
「何があっても死ぬのはダメ!」
「自殺はないわ」
先生、家族、SNS。その言葉を聞く度、見る度に僕は追い詰められた。まるで自殺願望がある自分を全否定されている気がした。
「死んでも良いけど1戦だけしよ?」
唯一ゲームの趣味が合った友人の言葉。今日で聞くのは365回目。いつもありがとう。
5
旦那と6歳の息子とドラマを見ている時に事件は起きた。
(マズい、キスシーンだ)
6歳になる息子には早いよね?…
(今度はベッドシーン!?)
「見ちゃダメ!」
咄嗟に息子の両目を隠し、旦那にテレビを消させる。だが、息子は言った。
「なんで?ママとパパが僕に隠れてしてるのをいつも見てるよ?」
6
「この家の地下に女がいる」
また意味不明なことを言い出した妻。認知症の人の話は否定せず受け入れるのが原則だ。
「そうなんだ。どんな人?」
過去の離婚危機に比べたら余裕と思ったら妻は真顔で言った。
「あなたの会社の後輩の前田」
30年前、不倫相手の女が突然行方不明になったのを思い出した。
7
「ナイフは縦じゃなく横にして、刃を水平にして持つんだよ!リアリティなさすぎ」
TVの殺人シーンを見た友人は苛立ってる。
「なんで?」
「縦だと途中でナイフが肋骨に引っかかる。水平だと肋骨の間を通って内臓まで刺せるだろ?」
「そんな上手いこといくか?」
「このやり方で失敗したことねーよ」
8
「YouTube倍速で見るなんて常識でしょ」
スマホで動画を見ながら言う友人。
「普段から倍速視聴なの?」
「もちろん!普通のスピードじゃ物足りない」
「物足りない?何見てるの?」
友人のスマホを覗いてみるとスローモーションのイケメンがいた。
「推しは0.25倍速で毛穴までじっくり見ないとね♪」
9
部長は超優しい。コンビニ弁当の俺を心配して
「昼飯行くか!」
と良く外で奢ってくれる。でも、部長はいつも一番安い定食。無理をしているのでは?と申し訳なくなり
「今日は俺の奢りです!高い定食にしましょ!」
と言うと部長はいつもの定食を頼んで言った。
「これは亡き妻との思い出の味なんだ」
10
「唐揚げにはレモン、マヨネーズとなんでもかける!」
と言う友人に
「唐揚げには何もかけないのが常識!」
と反論する俺。
「なら年内にお前が唐揚げに何かかけたら1万円の罰金な?」
「良いよ。かけなかったらお前が1万」
すると友人は不敵な笑みを浮かべ言った。
「今お前は唐揚げに1万円を賭けた」
11
彼女と家でTVを見ていた時に事件は起きた。
「嘘だろ…」
生中継の街頭インタビューで俺の妹が映り、なんと見知らぬジジイと腕を組んでいたんだ。
「お父さんと買い物です」
と言っているが違う…どう見てもパパ活だ…すると、妹とも仲良しだからか驚いた様子の彼女は言った。
「父さん何してるの…」
12
「ママとパパの馴れ初めは?」
「私が外で突然ナンパされて」
「そのナンパ男がパ…」
「しつこくて困ってたら別の男性が助けてくれて」
「その男がパ…」
「すると2人が殴り合い始めて警官が来て」
「その警官がパ…」
「その間に逃げたって話を一番笑ってくれた女性がパパ」
「前振りなが…は?…」
13
『この中に1人殺人鬼がいます。殺人鬼だと思う人を決めて殺せば出られる脱出ゲームです』
窓のない部屋で目覚めた僕含め4人。この中に殺人鬼が…1人の男は言った。
「あの音声の言い方的に殺した人物が殺人鬼じゃなくても良いはず…とにかく誰か一人を殺せば…」
その瞬間、全員が年寄りの老婆を見た↓
14
「早く2人目も産みなさい」
30歳超えて娘を産んでから義母は私に毎日言う。2人目は年齢的、精神的、経済的にも限界だ。
「妻の出産は義務。1人しか産んでない女は強い母親になれない」
ショックで何も言い返せない。そんな時に娘は言った。
「なんでバァバが決めるの?産むのも育てるのもママだよ?」
15
「ストローは付けますか?」
「はい?…」
コンビニ店員に聞かれて困惑する私。買ったのは唐揚げ弁当と卵パックだ…
「ま、間違えました!お箸は付けますか?」
「お願いしますw」
きっと疲れているのだろう。少し可愛くて笑ってしま…
バンッ!
突然レンジから爆発音。なんで私の卵パック温めてるの…
16
「何があっても死ぬのはダメ!」
先生、家族、SNS。その言葉を聞く度、見る度に僕は追い詰められた。まるで自殺行為という選択肢が思い浮かぶ自分を全否定されている気がした。
「死んでも良いけど1戦だけしよ?」
唯一ゲームの趣味が合った友人の言葉。今日で聞くのは365回目。いつもありがとう。
18
「何が親ガチャだ!親も子供を選べないわw」
TVを見ながら悪態をつく父。いつもは黙ってる私も、その日は何故か言葉が出た。
「親にはガチャを回すか回さないか選択肢がある」
「は?」
「子供にはその選択肢はない。自分でガチャ回しといて後から何を文句言ってるの?」
その瞬間、私はまた殴られた。
19
「出席取るぞ~!鈴木光宙(ぴかちゅう)」
「ピカピ~!」
「ちゃんと『はい』と言え…」
20XY年。キラキラネームが増えた現代では、生徒たちは自分の名前に合った返事をする。
「次…山田黄熊(ぷう)」
「蜂蜜食べたいなぁ♪」
「(カオス…)お、これは普通の名前だ。小池百合子~」
「密です!」
20
「黒髪ロングの黒ギャルしか勝たん!ツインテール希望で!」
居酒屋で叫ぶ酔った友人。
「ギャルって元の顔わからなくね?」
「化粧で可愛かったら良いぜ!」
「そうだよ♪」
隣の席にまさかの黒ギャル登場。意気投合した友人は彼女とホテルへ。元の顔は大事だ。全部脱いでから男だと気付いたらしい。
21
「クソ…」
月曜1限なのに電車遅延かつ満員電車でイライラする俺。後で遅延証明書も貰わないと。
「キャッ!」
電車が揺れてJKが倒れ、俺の体が自然と彼女を支える。
「す、すみません…」
俺の手を握って謝る彼女。こんなに美人で素直な子と出会えるなら意外と悪くない日だ。
「今触りましたよね?」
22
「いそげ~!」
私の名前はリカ!週の始まりのげつようびから寝坊!月曜1限は遅刻確定だし、地獄の1週間になるかも!
「キャッ!」
走ってたら男性とぶつかって転んじゃった!
「大丈夫!?」
相手はまさかの超イケメン。最高!と思ったけど、電柱に貼ってある紙が目に入る。
「指名手配書と同じ顔…」
23
「痛いっ!」
また殴られた。同棲してから恋人がDVをする人だと知った。
「本当にごめん。愛してるからね」
殴った後のお決まりの言葉。このことを相談しても誰も信じてくれない。世間ではこの状況はありえないと思われているから。この文章の読者も、殴ってるのは男の僕だと決めつけて読んでただろ?
24
「ぷっw」
二人でリモート会議中、新人が突然噴き出した。
「どした?」
「い、いえ何も!」
気になったが、俺はそのまま話を続けた。
「あの時なんで笑った?」
次の日、会社で聞くと新人は言った。
「奥様?がカメラに映らないよう、後ろで四つん這いで歩く姿が見えてw」
背筋が凍った。俺は独身だ。
25