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だいぶ久しぶりになってしまいました!
少しづつ更新していきたいと思います。
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BEN一家はおそらく誰のどんな予想も覆すであろう、本当に普通の、気どらない、とてもステキな一家でした。
ご両親はお医者様でも学者様でもなく、ただBENの「他人とは違う視点」と「頭の中のイメージ」の存在に気づき、それをなんとか汲み出してあげようと試行錯誤されている方々でした。
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かくいうBENは興味とこだわりと人見知りとイタズラと自立と甘えと妹思いを兼ね備えたまさにカンペキな小学生男子でした。
私は玄関先で緊張の面持ちで直立する彼を見て嬉しくて、「ようBEN!」と喉まで出かかった言葉をギリギリ飲み込みました。
「BEN」と呼んでいるのはバレてました。
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しばらくしてBENは何冊もの分厚いファイルに描きためたスケッチや図面を見せてくれました。
正直とても驚きました。
そこに描かれたモノが最先端かとか学術的かとかは置いておいて、とにかく12年そこそこしか生きていない彼の頭の中のアイデアの膨大さとその具体性に圧倒されました。
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唖然としている私の横で職人気質の社長はニコニコするでもなく、「ふ〜ん、よく描けてるね。これはこう動くの?難しそうだけど」と早速専門的な知見で詰め始めました。
「鬼かこいつは」と思いましたが、なんだかBENは理解者が見つかったような感じで、照れ臭そうにも嬉しそうにも見えました。
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驚いたのは社長の「理解力」で、なかなか普段の饒舌さを発揮できないBENにヤキモキしているご両親をよそに「こういうことでしょ?」「前にこういうの作ったよ」と次から次に昔の資料を引っ張り出してきました。
私にはさっぱりでしたが二人の頭の中には同じイメージが共有されていたんだと思います。
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昼食に鳥久弁当(美味)を食べて、早稲田大と東京女子医科大の共同研究施設、先端生命医科学研究所TWInsへ行きました。
BENはこの見学をよっぽど楽しみにしていてくれたようで、梅津先生に会った瞬間の緊張感たるや、かわいらしくて笑ってしまいそうでした。
妹ちゃんは逆に肝が据わってました。
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先生は一通り見学が終わると講義室で質問タイムを設けてくれました。
私はBENがこの時のためにたくさんの質問を考えてノートにしたためていたことを知っていたので、さぞかし盛り上がるんじゃなかろうかと勝手な期待をしていました。
しかしなぜかBENは一向に質問をしようとしません。
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むしろ恥ずかしがって頑なに拒んでいるようでした。
たぶんオトナなら誰もが「せっかくの機会なのに!」とむず痒くなる場面だと思います。「そこに書いてあることを聞けばいいんだよ!」と。
質問を急かす両親に、BENは怒りを滲ませながら「聞きたいことはもう全部わかった!」と言いました。
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なんと彼は事前に梅津先生の著書を熟読していて、聞きたいことの答えは全部そこに書いてあったし、見学で解決したと言います。
「すげぇな…」と思いましたが、そこにはなんとなく恥ずかしさやバツの悪さから逃れたい感情が垣間見えました。
「なんかめっちゃ気持ちわかる」と、私は思いました。
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私は料理がささやかな趣味でよく友人を招いては食事を振る舞ったりしています。
そこそこ褒めてもらったりデキに驚かれたりもしてありがたいのですが、
もし悪友の一人が私をLA BETTOLAに連れて行って落合務シェフに無理矢理引き合わせ、
「シェフ!こいつの作るパスタめっちゃ美味いんすよ!」
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「せっかくなんだからシェフに得意のペペロン食べてもらえよ!」「おい何黙ってんだよ!」「こんな機会なかなかないぞ!」
などと言われようものなら、
「うるせぇ!お前のだけ毎回コンソメ入れてんだよ!!頼むから黙ってろこのバカ舌!」とブチギレたくなると思います。(美味いんだけど)
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思い入れがある分、また相手をそれだけ尊敬している分、「ダサイ質問したくない」と考えてしまい何聞いたらいいかわからなくなる気持ちって、なんか分かるな〜と思いました。
梅津先生はニコニコしながら「質問なんてしたい時すればいいんだよ。また会えるんだから」とさすがのおおらかさでした。
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後で聞いたところによると、子供たちにとってTWIns見学はディズニーなんとかより楽しかったそうです。
BENの頭の中では早速新しい考えが生まれていたようで、帰りの車の中は話が止まらなかったとのこと。
改めて貴重な機会をくださった梅津先生にはこの場を借りて感謝申し上げます。
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そんなこんなで中身の濃い1日目を終えました。
安久工機に帰ってきたBENはまだまだ話し足りなかったようでしたが、さすがに社長も疲れていたのでこの日はこれでお開きとなりました。
一応次の日の予定は自由行動としていましたが、BENの強い希望により終日安久工機見学となりました。
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帰り道、私はまだ会って数時間しか経っていないBEN一家に、まるで昔から知っているような感覚を覚えました。
思い返せば安久に到着した時もかしこまった感じはお互いなく、「あーどうもー!じゃあさっそく!」みたいな友達感覚でした。
不思議な魅力あふれる一家で次の日が楽しみでした。
つづく
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【二日目】
その日は朝から突き抜けるように透明な青空が広がっていて、見上げているだけで吸い込まれそうな気がしました。
会社に到着すると、まだ7月半ばの9時過ぎだというのに事務所はすでに蒸し暑く、あわてて冷房をかけましたが前日の熱気も冷めやらぬうちにBEN一家がやってきました。
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「 こ こ で 働 か せ て く だ さ い ! ! 」
さすがに笑いました。
テンパった私は「そ、それじゃ児童労働になっちゃうよ」などというワケのわからないことを口走っていました。
「今からお前の名前はBENだ!」
と返す余裕はありませんでした。
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とかく私たちは「信頼」と「期待」を混同してしまいがちです。
子供を信じているつもりで過大な期待をかけ、彼らの一挙手一投足に一喜一憂し、まるで彼らの人生が自分の人生であるかのように境界を曖昧にしてしまいます。
彼らは言葉にできないまでもその歪みを敏感に感じ取っていると思います。
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私にとっても学びの多い二日間になりました。
もし私に子供がいたとして、彼らの興味関心を最大限に引き出すために親としてどう向き合うべきか、という問いに対するヒントのようなものが見えた気がします。
それは「信じること」と「期待しないこと」の二つじゃないかな、と思うのです。
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幼少期「あなたを信じているからね」と言われ、その度になんとも居心地の悪いモヤモヤを感じていつも目を逸らしていたことをよく覚えています。
当時はそのモヤモヤがなんなのか理解することも説明することもできませんでした。
でも今ならなんとなくわかるような気がします。