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BENの興味関心の広さと探究心はお母様譲りじゃないかという気がしてきました。
そうでなければ普通見学先の町工場のTwitterの中の人の完全プライベートバンド(権太坂かるちゅあ倶楽部@gontazaka_c_c)のアカウントを見つけ出し、あまつさえそのLIVE動画を家で流して子供に聴かせるわけがありません。
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さすがに恥ずかしくて震えますが、唯一の救いは彼が「『野球へ行こう』けっこーいい曲だねえ、これ好きだわあ」と言ってくれていたらしいということ。
BEN、やっぱり君は優しいね。
そんなこんなで安久工機の見学はもう少し先になります。
※ちなみに彼はTwitterでの反響のことを知りません。
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先日北陸にて行われた前哨戦ではこちらの刺客(工学博士)も舌を巻いたようです。
「初めて聞く最新の人工弁のこと聞かれてググりながら話した」と嬉しそうでした。
BENの年齢でこの分野にこれだけの興味関心があることも珍しいですが、驚くことに彼は既に"自分なりのアイデア"を持っているようです。
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さて、最近BENの噂を聞いた様々な人が「何か協力したい」と言ってくれてます。
例えば、今回BENとお母様が当社を知る最初のきっかけになった起業家のL君(元医学生)は「これBENにあげてください」と言ってゴリゴリの医学解剖図書「人体の正常構造と機能」(通称:黒本)を置いて行ってくれました。
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その"アイデア"が正しいかどうかはわかりません。
ただ自ら仮説を立てられるということが興味関心の一段上のステップであることに間違いはありません。
あとBENによると当社HPの人工心臓はサック型ではなく「ダイヤフラム型」らしいです。
なるほどわからん。何も知らない中の人でごめんよ、BEN。
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その他多くの方から「BENいつ来るの?」と聞かれます。
「天才なんでしょ?」みたいな見せ物的な感覚でなく、微笑ましく見てくれているというか楽しみにしてくれているというか。
純粋に好きなことに夢中になる姿って魅力的だし、なんとなく愛おしい気持ちになるのはみんな一緒なんだなと思います。
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彼は「BENならもう持ってるかも知れないけど、その時は捨ててください」と言って笑っていました。
またある横浜の切削加工屋さんは「20年前に安久の仕事で作ったあの埋め込み型人工心臓の試作、俺が加工したんだから写真見せてやってよ!あれ大変だったんだよ!」とたくさん画像を送ってくれました。
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ということで、大田区におけるBEN包囲網も着実に広がっています。
既に水面下では日本の人工心臓開発の礎を築いたある研究者の方が応援に来てくださるとのことで、迎撃体制は申し分ないといったところでしょうか。
これについては長くなりそうですのでまた後日にします。
フフフ…待ってろよ、BEN!
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最後に、最近BENが気になって仕方ないのは
「 3 音 ギ ャ ロ ッ プ 」
だそうです。なんのこっちゃ!
つづく
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BENの工場見学ですが、早稲田大学で長年人工心臓開発に貢献された梅津光生先生にもご協力いただけることになりました。
またこの喜びをTwitterで共有したいとお願いしたところ、お名前の掲載を含めて快く承諾いただきました。
改めてこの場を借りて先生に御礼申し上げます。
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梅津先生は日本でも数少ない医学、工学の博士で早くから「工学による臨床現場への貢献」を目指し、まさに日本の医工連携の先駆けとなった方です。
間違いなく世界の人工心臓開発を最前線で開拓し続けたパイオニアの一人であり、先生がいなければ今の人工心臓研究は無いと言って過言ではないでしょう。
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私が梅津先生に初めて会ったのはおそらく生まれてすぐのことでよく覚えていません。
幼少期、何度か両親に連れられてご自宅にお邪魔しました。
電車好きでおしゃべり好きなたまに会う優しい人という印象で、その時はこの柔和な笑顔のおじさんがどんな方なのか想像もできませんでした。
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私の父が50を超えて早稲田の博士課程に入学したのも梅津先生のお勧めがあったからです。
よりによってその年に急逝した祖父に代わって父が社長を継ぎ、なんとか経営と研究を両立できたのも梅津先生のお力添えがあったからに他なりません。
親子どころか私を含めたら三代でお世話になっています。
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私の祖父である先代が急逝した時も駆けつけてくださいました。
当時高校生だった私は「おじいちゃんは素晴らしい人だったよ」と声をかけられ、その時初めて祖父が早稲田で研究開発を手伝う傍ら、学生たちに図面の書き方などを指導していたこと、その中に梅津先生もいたことを知りました。
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世界最先端の医療機器を開発している自負があった先生は、ある日ご自身のお父上を実験現場に招き入れ、「どうだ、これが最先端の医療だ、すごいだろう。もうすぐヒトに使えるようになるんだ。」と自慢したそうです。
多くの失敗を克服してようやく辿り着いた技術に大きな自信を持っていました。
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その時、心理学者でもあったお父上は、狭いケージに固定され、胸にぽっかり空いた穴から真っ赤な血が流れる人工心臓をぶら下げたヤギを見て、一言こう聞いたそうです。
「このヤギは幸せなのか?」
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後に先生は
「今だったら『このヤギは今、幸せではない。実臨床の現場を想定して、患者さんに少しでも負担のかからない治療環境を整えていくことを念頭に、絶えず努力しないといけない』という答えが用意できる」
と語っています。
(人工臓器47巻1号 2018年)
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考えたこともない質問で、先生は「血流量が十分に補助されているので幸せだと思う」と答えるしかできなかったと言います。
この出来事は先生に“先端技術"への執着と慢心に気づかせ、医療機器開発の本来の目的である「患者さんの幸せ」のために技術はどうあるべきかを考えさせるきっかけとなりました。
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全てのモノづくりにはドラマがあります。
そんなドラマの先にまさかBENのような小学生が突如現れる“つづき”があったなんて。しかもBENと安久工機が実は出会う前から出会っていたなんて。
私からしたらまさに奇跡です。
これがどれだけ素敵な気持ちか、少しでも伝われば幸いです。
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そして今回ダメ元でお願いしたところ、梅津先生直々に早稲田大学の研究センターをご案内いただけることになりました。
それも、先生からの「Yahooニュース見ました。面白い小学生来るみたいですね。」と頂いたご連絡に乗っかってお願いした結果です。笑
本当にお優しい…頭が上がりません。
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せっかくだし、BENも喜んでくれるといいなぁ。
いろんなものを見て、たくさん吸収して、将来のモノづくりのタネにしてくれたらいいなぁと思います。
何がきっかけになるかなんて誰にも分かりませんからね。
そんなわけでせっせと包囲網を強化しながらBENが来ることを楽しみにしている毎日です。
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先日BENが来て、そして帰って行きました。
あれだけ私たちも楽しみにしていて、そして実際に楽しかったのに、終わってしまうとなんだかこうぽっかりと穴が空いた気持ちになるのはなんなんでしょうね。
何十年ぶりか。キラキラしてあっけない束の間の夏やすみを過ごした気がしました。