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BEN一家はおそらく誰のどんな予想も覆すであろう、本当に普通の、気どらない、とてもステキな一家でした。
ご両親はお医者様でも学者様でもなく、ただBENの「他人とは違う視点」と「頭の中のイメージ」の存在に気づき、それをなんとか汲み出してあげようと試行錯誤されている方々でした。
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その他多くの方から「BENいつ来るの?」と聞かれます。
「天才なんでしょ?」みたいな見せ物的な感覚でなく、微笑ましく見てくれているというか楽しみにしてくれているというか。
純粋に好きなことに夢中になる姿って魅力的だし、なんとなく愛おしい気持ちになるのはみんな一緒なんだなと思います。
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その"アイデア"が正しいかどうかはわかりません。
ただ自ら仮説を立てられるということが興味関心の一段上のステップであることに間違いはありません。
あとBENによると当社HPの人工心臓はサック型ではなく「ダイヤフラム型」らしいです。
なるほどわからん。何も知らない中の人でごめんよ、BEN。
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思い入れがある分、また相手をそれだけ尊敬している分、「ダサイ質問したくない」と考えてしまい何聞いたらいいかわからなくなる気持ちって、なんか分かるな〜と思いました。
梅津先生はニコニコしながら「質問なんてしたい時すればいいんだよ。また会えるんだから」とさすがのおおらかさでした。
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ということで、大田区におけるBEN包囲網も着実に広がっています。
既に水面下では日本の人工心臓開発の礎を築いたある研究者の方が応援に来てくださるとのことで、迎撃体制は申し分ないといったところでしょうか。
これについては長くなりそうですのでまた後日にします。
フフフ…待ってろよ、BEN!
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BENの興味関心の広さと探究心はお母様譲りじゃないかという気がしてきました。
そうでなければ普通見学先の町工場のTwitterの中の人の完全プライベートバンド(権太坂かるちゅあ倶楽部@gontazaka_c_c)のアカウントを見つけ出し、あまつさえそのLIVE動画を家で流して子供に聴かせるわけがありません。
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かくいうBENは興味とこだわりと人見知りとイタズラと自立と甘えと妹思いを兼ね備えたまさにカンペキな小学生男子でした。
私は玄関先で緊張の面持ちで直立する彼を見て嬉しくて、「ようBEN!」と喉まで出かかった言葉をギリギリ飲み込みました。
「BEN」と呼んでいるのはバレてました。
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BENの工場見学ですが、早稲田大学で長年人工心臓開発に貢献された梅津光生先生にもご協力いただけることになりました。
またこの喜びをTwitterで共有したいとお願いしたところ、お名前の掲載を含めて快く承諾いただきました。
改めてこの場を借りて先生に御礼申し上げます。
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唖然としている私の横で職人気質の社長はニコニコするでもなく、「ふ〜ん、よく描けてるね。これはこう動くの?難しそうだけど」と早速専門的な知見で詰め始めました。
「鬼かこいつは」と思いましたが、なんだかBENは理解者が見つかったような感じで、照れ臭そうにも嬉しそうにも見えました。
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彼は「BENならもう持ってるかも知れないけど、その時は捨ててください」と言って笑っていました。
またある横浜の切削加工屋さんは「20年前に安久の仕事で作ったあの埋め込み型人工心臓の試作、俺が加工したんだから写真見せてやってよ!あれ大変だったんだよ!」とたくさん画像を送ってくれました。
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さて、最近BENの噂を聞いた様々な人が「何か協力したい」と言ってくれてます。
例えば、今回BENとお母様が当社を知る最初のきっかけになった起業家のL君(元医学生)は「これBENにあげてください」と言ってゴリゴリの医学解剖図書「人体の正常構造と機能」(通称:黒本)を置いて行ってくれました。
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さて、どう考えたっていい加減長すぎるし、ここで「BEN、また会おう!-完-」が一番スッキリすることはさすがに分かっているのですが上手いこといかないのが現実です。
数日後、余韻冷めやらぬうちにBENからSOSが飛んできました。
そして我々は公式にBENのスポンサーとなることを決めました。
つづく
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驚いたのは社長の「理解力」で、なかなか普段の饒舌さを発揮できないBENにヤキモキしているご両親をよそに「こういうことでしょ?」「前にこういうの作ったよ」と次から次に昔の資料を引っ張り出してきました。
私にはさっぱりでしたが二人の頭の中には同じイメージが共有されていたんだと思います。
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しばらくしてBENは何冊もの分厚いファイルに描きためたスケッチや図面を見せてくれました。
正直とても驚きました。
そこに描かれたモノが最先端かとか学術的かとかは置いておいて、とにかく12年そこそこしか生きていない彼の頭の中のアイデアの膨大さとその具体性に圧倒されました。
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最後に、最近BENが気になって仕方ないのは
「 3 音 ギ ャ ロ ッ プ 」
だそうです。なんのこっちゃ!
つづく
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さすがに恥ずかしくて震えますが、唯一の救いは彼が「『野球へ行こう』けっこーいい曲だねえ、これ好きだわあ」と言ってくれていたらしいということ。
BEN、やっぱり君は優しいね。
そんなこんなで安久工機の見学はもう少し先になります。
※ちなみに彼はTwitterでの反響のことを知りません。
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なんと彼は事前に梅津先生の著書を熟読していて、聞きたいことの答えは全部そこに書いてあったし、見学で解決したと言います。
「すげぇな…」と思いましたが、そこにはなんとなく恥ずかしさやバツの悪さから逃れたい感情が垣間見えました。
「なんかめっちゃ気持ちわかる」と、私は思いました。
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昼食に鳥久弁当(美味)を食べて、早稲田大と東京女子医科大の共同研究施設、先端生命医科学研究所TWInsへ行きました。
BENはこの見学をよっぽど楽しみにしていてくれたようで、梅津先生に会った瞬間の緊張感たるや、かわいらしくて笑ってしまいそうでした。
妹ちゃんは逆に肝が据わってました。
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梅津先生は日本でも数少ない医学、工学の博士で早くから「工学による臨床現場への貢献」を目指し、まさに日本の医工連携の先駆けとなった方です。
間違いなく世界の人工心臓開発を最前線で開拓し続けたパイオニアの一人であり、先生がいなければ今の人工心臓研究は無いと言って過言ではないでしょう。
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全てのモノづくりにはドラマがあります。
そんなドラマの先にまさかBENのような小学生が突如現れる“つづき”があったなんて。しかもBENと安久工機が実は出会う前から出会っていたなんて。
私からしたらまさに奇跡です。
これがどれだけ素敵な気持ちか、少しでも伝われば幸いです。
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考えたこともない質問で、先生は「血流量が十分に補助されているので幸せだと思う」と答えるしかできなかったと言います。
この出来事は先生に“先端技術"への執着と慢心に気づかせ、医療機器開発の本来の目的である「患者さんの幸せ」のために技術はどうあるべきかを考えさせるきっかけとなりました。