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先日お店に、ある金融機関の人(若い男性)が新たにこの地域の担当になったというので挨拶に来た。その人はカウンターの前にいた妻、店の奥側にいた僕と挨拶を交わし、その後は僕と話したそうに目線を僕の方に移動させた。つまり「自分が話があるのは奥にいるあなたです」という雰囲気を出していた。→
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今の僕からしたらとても恥ずかしいけど、当時はそう思っていた。
結婚して妻と暮らし、女性からの視点も見えるようになると世界が変わった。
「なぜ結婚して姓を変えるのは”普通は”女性なのか?」「女性の日常生活に影響を与える生理が社会(特に企業)でなぜほとんど考慮されていないのか?」
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3
僕は男3人兄弟で、中学高校は男子校、大学も院も理工系で8割以上が男性、就職先も明らかに男性優位だった。
その環境が偏っていることに気づいてはいたけれど、「そんなものだ」「それが普通だ」と思っていた。大学や企業に関しては「入りたい女性が少ないんだからしょうがない」との認識だった。→
4
「男女ふたりでお店をしている場合、責任者は男性の方である」との偏見(ジェンダーステレオタイプ)に基づいたものだろう。
これは男女でお店をしている人なら誰しも経験のあることではないか。
なお、うちでは二人の立場は対等で、HPでも名刺でもどちらか一方が責任者に見える表記はしていない。→
5
お客さんや取材時にも最初から僕を代表者だと決めつける人は多い。
例えば、
・妻が電話に出ると「代表者に替わってください」と言われる(僕が出ると言われない)
・お店はふたりで考えて始めたが、「夫が言い出して、妻がそれを許した」という勝手なストーリーが作られる
などなど。
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それまで僕は考えたことがなかったけれど(ごめんなさい!)、社会はおかしなことだらけだった。
男女ふたりでお店をするようになると、一層社会の偏見が見えてきた。
男性である僕を責任者だと思うのは、冒頭の金融機関の人だけじゃない。→
7
僕にできることはとても小さいけれど、一緒に声をあげるとか、できることを考えるとか、やれることはやっていきたい。
その宣言のための連続投稿でした。→
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冒頭の金融機関の男性に対し、僕は挨拶のあと話を聞きに近づくことはせず、妻が最後まで対応した。
それで社会が変わるわけじゃないけど、できる抵抗はしていきたい。
きっと個人店の世界でも、声をあげられない店主・店員はジェンダーを問わず多いと思う。→
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「実際に男が代表者であるケースが(統計的に)多いんだからそう思うのは仕方ないじゃないか」との意見もあるが、これは言い訳だ。
自分の意識を変え、
「なぜいま代表者に男性が多いのか?」
「そうなっている背景に社会の構造的差別はないか?」
これらこそ問われなければいけない。→
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先日の僕のバズったフェミニズムTweetへのご意見や批判について、僕の考えや反論をまとめました。
たくさんの人に届けーーーー!!!!
/男性の僕がフェミニズムTweetをしたらバズったので反応をまとめて分析し反論もします|中村 佳太 @keitanakamu #note note.com/keitanakamura/…
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優生思想は「優れたもの→残した方が良い」という人間が容易に陥りやすい思考だから広がったのだろうし、だからこそ注意深くその芽を摘んでいかないといけない。
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「○○さんは優秀だから子どもを作ってそのDNAを残した方が良いよ」
と平気で口にする人が度々いて恐ろしく感じてる。
褒めてるつもりかもしれないけど、これは優生思想であって、これまで人類がこの考え方でどれだけの悲劇と犠牲者を生んできたかを忘れてはいけない。歴史から学ぶ必要性を感じる。
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色んなテーマで建設的に議論していた相手(男性)が、ジェンダーギャップの話題になった途端に会話が噛み合わなくなるケースが続いている。悲しい。
女性差別に関する前提があまりにも違っていて、「考えたことがないんだな」というのがその言葉から伝わってくる。
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「考えなくて済んでいること自体が男性の特権である」というところから話をする必要があるんだろうけど、そこまで踏み込んだ話はできない場面が多いから、すごくもどかしい。
でも、もどかしくても話続けていかないといけないんだよな。
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「男性がまずできることは、いま自分が座っている席をどくことです」と話しても、冷笑されて終わる。
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本当にそう。
ミュージシャンやスポーツ選手に限らず「他のことは考えず目の前のことに打ち込むことが尊い」という価値観はいつ刷り込まれるのだろう。
思い出したんだけど、3.11の直後、「(被災していない)私たちはいつも通りに仕事をして、いつも通りに暮らすしかない」という言説が多くあって→ twitter.com/daniel_takedaa…
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僕はこれに強烈に違和感を持った。「いやいや、この非常時にいつも通りにしてる場合じゃないでしょ!」って。
「地震や原発の状況を追いかけ、政府や専門家の発信に注意を払い、これから社会がどうなるのか、これから自分はどうするのか、自分の頭で考えなきゃダメでしょ!」と思ったのを覚えてる。→
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「自分は自分の仕事をするしかない」という物言いは、一見、プロっぽいカッコいいセリフの様でいて、実際にはより広く社会について考えることを放棄している。
音楽もスポーツもその他のどんな活動も、社会の中で営まれてる。自分の仕事に囚われるのではなく、もっと広く考えることが大切だと思う。
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「人生は自分次第」だなんて言えるのは、特権側にいるからだよ。
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大切な調査。
消費者としてもこういった企業を頭に留めておかなきゃ。
“時価総額ランキング上位300社中、2021年7月6日調査時点で女性取締役が1人もいない企業は43社”
ファストリ、キヤノン… 女性取締役が1人もいない上場企業はどこ? business.nikkei.com/atcl/gen/19/00…
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悔しいので吐き出す。
何度でも言いますが、うちの店では僕とパートナー(女性)の立場は対等です。
今日、二人ともが話したことがある営業さんから電話が掛かってきて、パートナーが出たら「旦那さんに変わってください」と言われ、僕が話を聞いてみると、どちらが話を聞いても問題ない内容だった。
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何て言えば良かったのか。
「なんで僕に変わってくれと言ったのですか?」と尋ねれば良かったのかな。
今後のために、どう対応するかをシチュエーション別に考えておかないと。
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「男女でやってる店では男性の方が責任者」というステレオタイプに基づく対応だとしか思えない。
腹立たしくて何か言ってやりたかったけど、何も言えなかった自分に一番腹が立つ。