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岩波新書『異文化コミュニケーション学』の見本が到着。海外のドラマや映画を事例に使って異文化コミュニケーションを説明するという私にとって初めての試み。苦労したけど企画が実現して本当に嬉しい。7月20日に書店に並んでどう受け止められるかドキドキしてます。
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ノーベル物理学賞受賞の益川敏英・京大名誉教授が7月23日逝去。戦争を体験した世代として反戦と護憲を貫き、権力に屈しない科学者。英語嫌いで「読む」の1技能しかできないと公言。『科学者は戦争で何をしたか』を刊行、防衛省助成による大学での軍事研究を危惧していた。
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授業を全て英語でするか、日本語を入れるかは、指導の目的と
対象とする学習者により柔軟であって良いと思います。最近の学習指導要領は英語で授業すること自体に固執し過ぎているので、かつて英語での授業をしていた私ですが、今はあえて母語の重要性を指摘しています。
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都立高校入試で民間試験業者によるスピーキングテスト導入。中学生の「話す力」の何を誰がどう判定するの? 英会話の定型表現を暗記しただけではコミュニケーションにならないことを『異文化コミュニケーション学』(岩波新書)で説明してます。読んで再考して下さい。
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東京五輪とコロナ禍の報道でかすんでしまったけれど、8月6日広島、9日長崎への原爆投下から76年。海外では(日本でも?)被害の実態が余りにも知られていない。唯一の被爆国として、核兵器の恐ろしさを世界に語り継ぐのは日本の使命。Never Again.
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注目度の高い科学論文の数で、中国が米国を抜いて世界一。日本は10位。これは日本の研究環境の悪化が影響している。専任教員は学内行政に追われ、多くの若い研究者は任期付きの不安定なポストしかなく、研究に専念できない。これを改善しない限り日本の科学研究の未来は暗い。
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文科省の研究所によれば全論文数では昨年に続き中国が世界一位。中国は学術研究に力を入れているようで、研究に専念できる環境が整い大学院も多いと聞く。日本では博士号を取得しても研究職ポストが得られないので大学院進学を諦め企業に就職してしまう。この現状は残念。
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外国語が難しいのは、単語や語句を覚えないと使えないけれど、やみくもに暗記しても使えるようにならないこと。回り道のようでも、内容と結びつけて読むことで、こういう場面でこう使うと知り、実際に試すことで定着する。時間はかかるけれど確実に力がつく。
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悲しいニュースについてはツイートしないことにしているけど、コロナに感染した妊婦が9ヶ所の病院から断られ入院できず、自宅出産を余儀なくされて赤ちゃんは死亡、という報道には黙っていられない。医療崩壊の懸念は当初から専門家が訴えていたのに、対策は未整備という現実。
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#選択的夫婦別姓制度 には岸田政権も逃げ腰。当事者にどれだけ不都合や不便があるか、私自身も多く経験している。同姓か別姓か夫婦が選択できるようにするのは、個人の尊厳と多様な社会の前提。別姓にしたら家族が壊れるわけではない。
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新学習指導要領での国語教育が、論理的文章と実用的文章をごっちゃにして重視し、文学を脇に追いやっているのに違和感がある。「論理国語」って、何? 文学作品を読むことは、人間について学ぶこと。思考と感性を培い、言語力とコミュニケーション力を支える。
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入試に英語民間試験を利用するのは問題が多々あるので大学共通テスト導入が中止になったのに、東京都は何も分かっていないのが分かった。スピーキングテストの評価基準もお粗末過ぎる。こんな試験の対策をしても英語を話せるようにはならない。都立高校、大丈夫? twitter.com/jumping5555/st…
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2022年度用に新設の「現代国語」は実用的な評論や企画書などを扱い小説は入れないはず。しかし「現場のニーズが高く不合格を覚悟」で小説5作品を載せた教科書が検定を合格し大手を抑えて最多の採用。学習指導要領に従った他の教科書会社は憮然。
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国語入試での漢字の判定基準。国語学者の大野晋先生と某大学での採点でご一緒した際、判断が難しい手書きの漢字解答を相談されると「はねてるかどうかや、点の位置を減点の対象にしてはいけない。その漢字として読めればよろしい」と答えておられたのが忘れられない。
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大学入試が理由の事件が続いた。受験生は追い詰められた気持ちになったのだろう。目的を持つのは大事だけれど、志望校に入れないことは人生の終わりではない。後から振り返ると失敗や挫折が却って良かったということもある。人生は長い。やり直しは可能。自分を大切に。
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東京都教育委員会の発表。都立高入試でスピーキングテストを受けられなかった受験生は、英語筆記試験で同点の受験生のスピーキングテスト平均点から得点を算出する。筆記試験で同点を参考にするならスピーキングを別にテストする意味ある??ますます分からない都立高英語入試。
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文科省のアクションプラン。入試で民間業者スピーキングテストを使う大学はインセンティブが与えられるらしい。共通テストでの民間導入に失敗したので今度は各大学に補助金というエサをばら撒く? mext.go.jp/content/202208…
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政府は1980年代の臨教審以来「グローバル化なのに日本人の英語は民間試験で世界最下位」と言い続け、英語教育改革を断行して30年以上。未だに成果が上がっていないとしたら、改革の方向や内容が間違っていないか見直したら?
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「話す」という言語行為は複雑なので点数化が難しい。それを厳密であるべき入試に使おうとするのが問題。CEFRは入試に使われるとは想定されていないのに基準が曖昧なままA2レベルを求めるなど、受験生にとって迷惑。テストをすれば英語が話せるようになるわけではない。
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英語教育が読む力育成を排し英会話重視になって30年。英語力のある日本人が増えたかといえば残念ながら英語力は変わらないか劣化している印象。英語を読めなければ内容のある話は出来ないのだから当然の帰結かも。
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外国語の技能は全て連動していますが、読むことは出発点。読めなければ書けないし聞いても分からない。会話の定型表現を覚えることも大事だけど、それだけでは応用がきかない。自分の考えを述べるには、単語をどうつなげて文にするかを学ぶ文法が必要だし語彙も要る。
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アジアで英語を使う人が多いのは、かつて植民地だったので未だに旧宗主国(例えば英国)の言語を公用語や共通語として使用しているから。植民地にならず独立国家として近代化した日本とは歴史が異なるのですよね。
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都立高校入試に導入予定の英語スピーキングテストのプレテストでのスコアレポートを見ると評価基準に疑問がある。中学3年生に対し「よどみなく話す」ことを要求していると受け取れるが、言葉につまったり言い直したり繰り返したりは話し言葉の特徴で、母語であっても起こる。
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英語ネイティブスピーカーだって立板に水ばかりでなく、考えながらとつとつと話す人もいる。日本で「まとまりのある内容をよどみなく話すことができる」大人が何人いる? それを中学3年生に求め入試で測る?
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都立高入試はCEFR(言語共通参照枠)を真似ているが、CEFRではA2レベルでさえ「短い会話ならできる」で「聞き手が助けてくれる」という条件も付いている。聞き手が「それ、こういうこと?」と助けたり確認するのは対話では日常的に起こる。それがコミュニケーションの現実。