1
同位体の集まり(主自慢大会)に行って、皆「うちの主は優しい」「ネイル塗ってくれる」と自慢する中で、超無愛想で口数少ない主を持つ、ある加州がそれをちょっと羨ましい気持ちでいつも黙って聞いていたけど→
2
とうらぶホラー
これは俺が幼い頃の記憶の話だ。
ある日、晴れた本丸の庭でサッカーボールを蹴って遊んでいたらいつの間にか敷地の端まで来てしまった。
ボールが転がっていく先に、戦装束を着た三日月の後ろ姿があったから「みかづき!ボール取って!」と叫んだのだ。
3
「叩かれた事のある刀剣は、主が片手を上げると身を竦ませる」と聞いて、数年前にブラック本丸を引き継いだ審神者が(うちの子達も今も苦しんでるのかな…)と不安になり、恐る恐る刀剣の前で片手を上げてみると、誰も彼も「イェーイ!」「わーい!」ってハイタッチしてくれたのでボロボロ泣いてしまう話
4
とうらぶホラー
ねぇ、ちょっと、あなた。
この老人の話を聞いてちょうだいな。
私は、審神者の適正があると診断を受けて、強制的に本丸に押し込められ、審神者になったのよ。
時の政府が審神者たちを集めだした頃の、昔の話だけれどね。
5
刀剣たちを毎日「かわいいね」「かわいい子だね」と言って育てあげた審神者が、ある日本丸で野良猫を見つけ「あ、かわいい!!」と叫んだら、自分が呼ばれたと思って「呼びましたか?」「呼んだ?」とあちこちから集まってくる自己肯定感がやたらと高い刀剣たちの話。
6
とうらぶホラー
定例会の後、同じ山城国の同期たちと飲み会をした時の事だ。
酔っ払いながら「資源が足りない」「小判が足りない」とブツクサ文句を言っていた同期の男が、こんな事を呟いたのだ。
「あーあ、俺も親父みたいに『福の神』が来ればなぁ」
「福の神?何だそれ?」
7
とうらぶホラー
金縛り、というものを初めて経験したのは私が本丸に配属されて三年も経たない頃だ。
深夜に突如目が覚め、身体がピクリとも動かせない事に気がついた。
金縛りが起こるのはレム睡眠がどうのこうのと言う原理があるとテレビで見た事があったので、あまり怖くは無かった。
8
大般若さんが「燭台切に習ったからパンケーキを作ってあげるよ」と言ってくれたので作り方を見てたらフライパンから鮮やかな火柱が上がり、「すごーい!フランベだ!これも習ったの?」と歓声をあげると大般若さんが妖艶な笑みを浮かべて「これかい?これは事故」って言う話。
9
刀剣が「俺は人の死に慣れすぎているし、人間が死ぬのは世の常なのだから主が死んでも泣くことは無いだろう」と思っていたのに、主が亡くなって、葬儀屋が運んで来た棺を見た瞬間、その棺の無機質さにボロボロ涙が溢れてしまって「いやだ、俺の主をこんな箱に入れないでくれ」って縋り付いて叫ぶ話。
10
私は無機物寄りな刀剣男士たちが日々を重ねるごとに人間らしくなるのが大好きなので、鶴丸が顕現当初微動だにせず遺体のように眠っていたのがいつのまにかぐーぐーと寝息をたてて布団をはね除け、同室の光忠を蹴って「これだから鶴さんは!」って怒られているのを見たら尊くて泣いてしまうと思います。
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とうらぶホラー
俺の父は審神者だった。
というか、うちは先祖代々審神者をやっていた。
お祖父ちゃんも、そのまたお祖父ちゃんもだ。
俺は生まれた時から本丸で暮らしている。
父は俺が子供の頃にこう言った。
「うちの本丸には神様が全て揃っているけれど、決して全ては揃わない」
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とうらぶホラー
私がにっかり青江と一緒に、万屋街に行った時の事だ。
どうしても食べたかった限定エクレアを手に入れた帰り道。
路地を歩いていると、十歳ぐらいの女の子が駆け寄ってきた。
陶磁器のような肌に、夜のように美しい黒髪。
丸い、パッチリお目々。
お人形のようにとてもかわいらしい。
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連れていかれる、と嫌がる人もいらっしゃるので、そういった方の写真は無理には入れないでください!
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葬儀の仕事をしてた時、家族の写真を入れたいけれど生きている人の写真を入れては駄目なんじゃないかと悩む遺族様に「大丈夫です!氷川きよしの写真なんか毎日棺に入ってますよ!」って言うと皆安心して写真を入れられた。
ありがとう氷川きよし。
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とうらぶホラー
私には審神者の母と、一般人の父がいる。
母は本丸で暮らして、私と父は現世で暮らしていたが、母も父は仕事で忙しい事が多く私は幼い頃から寂しい思いをしていた。
一番嫌だったのは運動会だ。
私は勉強嫌いな子どもだったが、運動は得意中の得意。
かけっこは学年で一番だ。
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誉を取った鶴丸が「ドーナツの穴の部分が食べたい」と言う鶴さにが書きたい。
とんちか?と思いながらちっちゃいサーターアンダギー山ほど揚げて「はい、穴の部分」って出したら目をキラキラさせて宝物を貰ったみたいにはしゃいで「これがドーナツの穴か!」って食べる。
18
とうらぶホラー
私の本丸は中古の本丸だ。
中古だが、リフォーム済みなので内装はとても綺麗である。
この本丸は刀剣たちの住まいとして、六畳一間の部屋が幾つも連なった長屋のような建物が建っていた。
プライバシーを守ることが出来る造りなので、刀剣たちはこの本丸を大層気に入っている。
19
とうらぶホラー
主がその油絵を怪しげな骨董市で買ってきたのは、五月も終わりの事だった。
「綺麗な絵だろ?一目で気に入ったんだよ」
それは、木々も草も真っ白な林の中を亜麻色の髪を揺らした女神たちが飛んでいる絵であった。
「天国があったらきっとこんな風景なんだろうなぁ」と主は言う。
20
とうらぶホラー
私の本丸にも福島さんがやって来た。
と言っても、この福島さんは引き継がれた福島さんだ。
福島さんが元居た本丸の主が亡くなってしまい、縁あってうちの本丸に来た。
私の本丸の庭は自慢の庭だ。
ガーデニングが趣味の私が丹精込めて育てた色とりどりの花が見事に咲き誇っている。
21
子供の頃…
まだ俺が高校生になったばかりの頃だよ。
審神者もやりつつ、俺は社会経験のつもりでコンビニでバイトもしてた。
いや、ちょっと見栄はったな…
社会経験というか、これぐらい俺でも余裕でできるだろうっていう甘い考えだった。
22
とうらぶホラー
治金丸は鼻が悪い。
万屋街を歩いていると、金物屋の前で立ち止まり「パンの香りがする」とうっとりした顔をするので、どんな嗅覚してるんだよと呆れた事もある。
ヨボヨボのお爺さんの近くを通った時なんか「いい香りがした…!フローラル!」とか言う。
湿布の匂いしかしないよ!
23
とうらぶホラー
私の本丸にはかつて、全ての刀剣が揃っていた。
しかし、小竜景光は数年前のある日、戦場に出てそのまま二度と帰ってくる事はなかった。
私の采配ミスが原因だ。
一ヶ月後、悲しみにくれる私の元に、一通の手紙が届く。
『俺の主へ』
内容はなんてことの無い旅行記のような文章だ。
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とうらぶホラー
「大将、何か昨日から様子が変だよ。何かあったの?」
信濃がそう声をかけてきて、俺は遂に観念した。
「……聞いても笑わないでくれよ?」
「笑わないよ」
「実は昨日怖い目に遭ったんだ」
「怖い目?」
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怪異に巻き込まれて、異界の物を食べたり覗いちゃいけない鏡を覗いたりと、全てのタブーを元気いっぱいに破っていく霊感0な五月雨と、お腹を痛めつつ五月雨の後始末をして怪異を倒していく霊感MAXな村雲のとうらぶホラーがここにあるって聞いたんですけど…
ここにあるんだろ?知ってんだぞ!出せ!