さて、前述したように問題の記事が出たのは大統領選直前の時期でした。 そこで Twitterと Facebookは「ハッキングされた資料や個人情報の共有の制限」のポリシーを理由に、プラットフォーム上でのポスト紙の記事の拡散を制限しました。
このイーロン・マスクが紹介する連続ツイートTwitter File 1回目の最も大きな論点は「New York Postの怪しいバイデン誹謗記事の拡散をTwitterが止めた」ことです。 でも、これって普通の措置なんじゃないの? Facebookもやってるよ? という素直な疑問が出てくる訳です。
トランプ側に有利な材料だとしても、「大統領選直前の時期のロシア発の偽情報の疑いが強いバイデン誹謗記事の拡散を止めること」は、そんなにおかしな措置でしょうか。 記事の怪しさに触れていない点で、この「Twitter File」は公平とは言えない。お里が知れるというものです。
連続ツイートTwitter Fileの終わりの方では、民主党議員が「節度」を求め、「アメリカ合衆国憲法修正第一条は絶対ではない」と述べたことを、鬼の首でも取ったように報告します。 ここも、公平な態度とはいえないと思います。なぜなら……
大統領選に干渉するための偽情報の拡散が「言論の自由」の一部であると考えることには無理があるといえるからです。 言論の自由(国際人権では「表現の自由」)は重要な原則ですが、偽情報に基づく名誉毀損により民主主義を歪めることを許容するものではありません。
連続ツイートの頭の方にこんな一節が。 "Twitter Fileは世界最大かつ最も影響力のあるソーシャルメディアプラットフォームの内部から驚くべき物語を語りかける。これはフランケンシュタインのように、人間が作った機構が設計者の制御を外れて成長していく物語である。" ……自己陶酔が過ぎるのでは。
感想: イーロン・マスク氏が、Twitterの腐敗を暴くと称して公開したTwitter Fileの第1回は、公平でも妥当でもないと考えます。 皆さんがご自分の意見を形成するさい、以上で指摘した話も頭の片隅にいれていただければ幸いです。
追記: 米国の情報機関を統轄する国家情報長官室は「2020年の米国連邦選挙に対する外国の脅威」に関する評価を公表しています。 報告では2020年の大統領選挙にロシアが偽情報などで干渉しようとしたと明記しています。 ODNI報告書原文 s3.documentcloud.org/documents/2051… CNNの記事 edition.cnn.com/2021/03/16/pol…
報告書より。 「ロシアのプーチン大統領は、バイデン大統領の立候補と民主党を誹謗中傷し、トランプ前大統領を支持し、選挙プロセスに対する国民の信頼を損ない、米国内の社会政治的分裂を悪化させることを目的とした影響活動を許可し、様々なロシア政府組織がそれを実施したと評価する」
感想: 米国の情報機関トップが、オフィシャルに「ロシアがトランプを応援し、バイデンを誹謗する情報を流した」と評価し公表している訳です。 TwitterとFacebookは誹謗の片棒を担ぐことを拒否しただけです。そのことを「言論の自由の否定」と煽るイーロン・マスクは大丈夫か? と思う訳です。
イーロン・マスク氏は「Twitter上のヘイトスピーチのインプレッション数は減っている」とグラフを示し主張。 だがNew York Times記事が伝えた調査によれば、イーロン・マスク買収後のTwitterのヘイトスピーチは急増していた。 nytimes.com/2022/12/02/tec…
英語のヘイトスピーチを調査したところ、以下の変化が見られた。 黒人に対する中傷 1日平均1,282から3,876回へ ゲイ男性に対する中傷 1日平均2,506回から3,964回 反ユダヤ主義的な投稿 買収後2週間で61%以上急増 またISIS(イスラム国)のアカウント復活が観察された。
本を購入しましたが、訳者解説は深刻なトランスジェンダー差別言説を無批判に再拡散する内容でした。 トランスは脆弱な人々であり、差別言説の垂れ流しは、文字通り命に直結します。 「やはりキャンセルカルチャーはヤバい!」といった表層的な捉え方は、大間違いです。 twitter.com/shotichin/stat…
法務省の人権啓発パンフレットやYouTube動画は真面目な作りだ。ただし内容は「個人対個人」の人権侵害が中心。 最も深刻な人権問題は「個人対権力」の分野で起きている。例えば同じ法務省の管轄である入管だ。 権力に異議申し立てをするときの正当性の根拠が人権。その原則はちゃんと伝えて欲しい。
SDGs啓発のコンテンツの多くがそうなのだが、日本でよく見る作りは「1人1人が」工夫したり、気を付けたり、思いやったりしましょう、的な内容だ。 人権もSDGsも「国は / 企業は、ちゃんとやっているか(やったフリじゃないか)みんなで監視、注意しましょう」という側面が大事だが、そこはスルーだ。
人権に関して、皆さんの誤解が多い件。 人権は「思いやり」ではない。権力に対抗しうる正当性の根拠。 人権は抽象的・哲学的な理念であり、文化や歴史や宗教から切り離された普遍的なもの。 人権は世界のどこでも誰でも同じ基準が適用される(理念としては)。ウィーン宣言及び行動計画を参照。
人権の普遍性は、日本の多くの人が認知していない。 人権は誰かが有利で誰かが不利になるものではない。 現実の国際政治や経済では個別のパワーゲームはあるが、人権そのものは、偏らない普遍的なもの。 つまり西欧に文句を言う正当性の根拠になるもの。
私は何回も「世界人権宣言」を読めと言ってます。これが現代の人権の基本だからです。この上にすべてが載っています。 アメリカ独立宣言もフランス人権宣言も歴史的に重要な文書ですが、現代の人権を理解するならまず「世界人権宣言」から。しつこいようですが大事なことなので。
人権でよくある誤解を正すなら、 「西洋はキリスト教だけど我々はどうのこうの」とか、「あれはヨーロッパの基準で、アジアはどうの、日本ではこうの」みたいな話は、ぜんぶゴミ箱に捨ててください。 原則としては日本人が西欧の人に物申すツールとしても使えるものです。
これは、自民党がベストプラクティスを構築済みの「ネトウヨによる世論工作」を、もう公認しちゃって予算を付ける話のようにも聞こえますね。 twitter.com/ono_matope/sta…
"インターネットで影響力がある「インフルエンサー」が、無意識のうちに同省に有利な情報を発信するように仕向け、防衛政策への支持を広げたり、有事で特定国への敵対心を醸成、国民の反戦・厭戦の機運を払拭したりするネット空間でのトレンドづくり" それ、本当に日本の安全保障にプラスなのですか?
"防衛省が人工知能(AI)技術を使い、交流サイト(SNS)で国内世論を誘導する工作の研究に着手" 平たくいうと、AIを使って国民の皆さんを「洗脳」する話です。 どうよ、これ???
平たくいうと、 「戦争できる国にするため、国民をネット工作で洗脳していきます」 細かくいうと、 - AIとSNSで国内世論を誘導 - インフルエンサーの情報入手ルートを工作 - 「防衛政策への支持拡大、有事で特定国への敵対心を醸成、国民の反戦・厭戦の機運を払拭」 皆さんいかがお考えでしょうか? twitter.com/kyodo_official…
日本がいう「防衛費、自衛官、護衛艦」は、世界では「軍事費、軍人、軍艦」と見られる。 今の日本の軍事力は世界5位(Military Strength Ranking 2022) 軍事費は世界9位(世界銀行 2020) 十分に強力な「軍隊」だ。 これが防衛費倍増により軍事力4位、軍事費3位に跳ね上がる。
防衛省の国民洗脳計画や自民党のネット工作を考える上で、思い出したいのは「B層」。 『マスコミ報道に流されやすい、比較的IQが低い人たち』『具体的なことはわからないが小泉純一郎を支持する層』 この層を支持基盤と想定、メディアで簡単な言葉を広めて「ラーニング」した。