1101
これからは非暴力の道を歩もうというのが戦後日本の初心だった。その初心を一身に体現してきたのが中村哲さんの歩みであり、一貫して否定してきたのが岸信介らに代表される自民党の改憲論者たちだった。花見で公私混同した現首相は、言うまでもなく、中村さんから最も遠いところにある。
1102
今国会が終わるからといって花見の問題が終わるわけではない。次の国会で引き続き追及するだけのことだろう。首相が出席する予算委員会は今後いっさい開きません、とは、まさか自民党も公言できまい。権力の私物化という民主主義の根幹にかかわる問題だ。
1103
中曽根首相の2度目の靖国神社公式参拝を押しとどめた要因の一つは後藤田正晴官房長官の存在だった。中曽根は自分とは意見の異なる後藤田を近くにおき、多少なりと行動を抑制した。ところが安倍首相はイエスマンだけ近くにおき、トモダチ優遇を恥じない。大きなちがいだ。
1104
「在任期間の記録更新。ひけつは何ですか?」
「名簿を破棄したことにしたり、議事録はないと言ったり、明細書をくれないと言ったり、とにかく無我夢中で逃げ回ることです。記録はあとからついてきます」
1105
予算委員会を開いて野党と対決したら首相は持ちこたえられない。ウソが破綻する。だから自民党は予算委員会の開催を拒否する。
これは、首相がクロであることをほとんど自供しているようなものではないか。
1106
「バックアップデータは公文書ではない」
いくらなんでもこれは苦しい。
サンマは焼いてもサンマでしょう。
1107
「何の問題もないというなら議事録を示しなさい」
「出せない」
「明細書を示しなさい」
「出せない」
この政府は物証を示して説明したことが一度もない。政府をあげて事実を隠し不可知論の闇に逃げ込む。しかし何百人もの後援会員を税金で接待した事実は隠せない。頭隠して尻隠さず、のおそまつ。
1108
それを出せば身の潔白が証明されるなら、なんとしてもホテルから明細書を入手して公表するだろう。そしてあらぬ疑いを晴らそうとするだろう。
しかし、首相はそれを絶対にしようとしない。その理由は、ホテルの明細書を示すと潔白でないことが証明されるからだろう。
1109
見つかったら困る文書と、廃棄してしまった文書が、これほどまで一致する政府ってほかにあるのか。花見だけじゃない。森友も加計も自衛隊の日報も。
捨てろ、消せ、書き換えろ。
1110
公選法や政治資金規正法にふれるかどうかはもちろん問題だし厳しく追及されねばならないが、法にふれるかどうか以前に政治家にはより厳しい倫理が求められる。税金で開く花見の会に後援会員数百人を招いて公金を私物化したという首相にも否定できない一点で、首相は政治家を続ける資格を失った。
1111
記者「5月9日に共産党議員から資料請求があり、同じ日に紙媒体が廃棄され、その前後にデータも削除された。内閣府によると、バックアップのデータはその後最大8週間残っていた。それを使えば資料提供できたのに、なぜしなかったか」
官房長官「それは承知してません」朝デジ(要旨)
ばれるから。
1112
とりまとめをしたのは内閣府というが、内閣府は招待者を取捨選択できたのか。実体は、本来、首相の後援会なり事務所なりがやるべき仕事を内閣府に丸投げしていた、つまり国家公務員を私用に使ったということではないか。「今年はこんだけ招待状出しといて。わるいね、どんどん増えてちゃって」
1113
花見の招待基準があいまいだからわるいかのように首相は言い訳するが、「功労、功績等」の「等」の字のあいまいさにつけこんで自分の後援会員を何百人と花見に招じ入れ、公金を私物化したのは、ほかでもない首相自身でしょう。に。責任転嫁はいかがなものか。
1114
招待者名簿がどんなにあいまいでも、税金で開催する花見に自分の後援会員を何百人と大挙して呼び込むことが適切かどうかぐらい常識でわかるだろう。その常識がない以上、政治家としての適格性が問われるのは当然ではないか。
1115
もともと潔白じゃないから潔白の証明はできない。だから「記録がないからわからない」「わからないからシロクロつけられない」という不可知論の霧の中に逃げ込む。そして「私が指示したとは証明されていない」などと開き直る。この繰り返しだ。名簿の電子データを復元すればすべてがひっくり返る。
1116
森友もそうでした。これだけ続けば偶然とは言えない。破棄したからわからないのではなく、わからなくするために破棄した(ことにした)と見るべきでしょう。
1117
首相官邸への入館記録は破棄した、加計学園関係者と首相が会ったかどうかはわからない。
ーーこれと全く同じ手口だ。
花見の招待者名簿は破棄した、反社会的勢力の人物をだれが推薦したかわからない。
隠蔽につぐ隠蔽で「達成」した歴代最長の在任期間。さぞや誇らしかろう。
1118
花見の招待者名簿を廃棄しようと内閣府の担当者が4月22日、シュレッダーの使用を申し込んだ。使用したのは5月9日午後1時20分。その1時間前、共産党が資料請求したが知らずに裁断した。「2週間以上の予約を入れるのは不合理」と共産党の田村議員。朝日新聞。内閣府はもはや土俵を割った。
1119
「吾輩はシロである。名簿はまだない」
これでシロだというのはムリ。むしろマックロ。「ないからわからない」「わからないからシロクロつけられない」という不可知論に逃げこもうとしていることはミエミエ。何で(都合のいいことに)名簿も見積書もないの。ないわけないでしょ。復元できるでしょ。
1120
中曽根首相は1985年の終戦記念日に首相として初めて靖国神社を公式参拝し保守派の喝采を浴びた。ところがアジア諸国の批判を受けて翌年は中止。保守派はA級戦犯合祀のどこが悪いと反発し東京裁判否定を主張した。これが現在の歴史改ざん主義の一つの源流となった。なお拙著『諸君!正論の研究』(岩波)
1121
役所でも企業でも、毎年恒例の行事であれば、少なくとも前回の資料や記録は保管しておくのが常識。それを廃棄するのはよほどまずいことが書かれているからだ。廃棄したからわからないのでなく、わからなくするために廃棄した。それだけで政府の責任が問われる。
1122
一般大衆はどんなに「払った」と言っても、領収書なしではアウトなのに、政治家や官僚は「領収書はない」と開き直る。「名簿がない」「見積書がない」「答えられない」ですむ問題か。政治家や官僚の場合、説明拒否は即、退場というルールにしないと、ウソの蔓延は食い止められない。
1123
更迭した閣僚について「ご自身で説明責任をしっかりはたしていただきたい」とかなんとかついこの間、言ったばかりなのに、自分ではちっとも説明責任をはたさない政治家、だあれ。
1124
「紙の名簿がなくても、パソコンのデータを復元したり、政党や政治家側を調査したりと、実態に迫る手段はいくつもある。首相がそれを指示し、自ら国会で説明すればよい。会の主催者は首相だ。これだけ疑惑が深まっているのに、それでも説明責任から逃れようというのか」毎日新聞社説。
1125
公私の別をつけよ。正直であれ。こうした社会的モラルに反する人を「反社会的勢力」と呼ぶなら、税金で開く花見に自分の支持者を何百人と集めて接待したり、その問題性を指摘されるや記録の廃棄やあり得ない言い訳で事実を隠蔽したりする政治家、官僚たちこそその名にふさわしいのではないか。