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むかしむかし、あるところに情報商材売りの男性がいました。「副業で月収100万円を稼ぐ有料noteはいりませんか?あなたもFIREしたくないですか?」男性はTwitterで声を枯らし、インスタで拾ったホテルや高級腕時計の写真を貼り付けた投稿を繰り返します。でも、4950円の有料noteはちっとも売れません。
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「アメリカのディープステートがウクライナで生物兵器を作ってたんだぞ」70歳とは思えぬハキハキした口調で、父がまくし立てる。白髪が増えた母は何も言わずに俯いている。かつて背比べをした柱の傷、煤けた壁紙、気の抜けた音を鳴らす柱時計。25年前と変わらぬ実家には、澱んだ空気が漂っていた。
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「タワマンなんかに本物の富裕層は住まない」。Twitterの投稿が目に留まる。一流大学を卒業して弁護士資格を取得、パートナーまで上り詰めた。タワマン高層階からの夜景も、高級ウィスキーも、勝ち取ってきたすべてを否定された気分だ。全身の血が沸騰する。タワマン高層階は気圧の関係で沸点も低い。
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安倍政権の迷走ぶりを擁護するつもりは更々ないが、帰省するかしないかを国が決めてくれないと怒ってる人たち、普段どうやって生きてるんだろう。国が死ねと言ったら死ぬのかな。個別に事情は違うんだから、リスクとリターンを天秤にかけて自分の頭で考えろって話で、騒ぐ話でもないだろう。
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「からあげクン?1500円ね」レジ打ちのお爺ちゃんがプルプルした手でお札を受け取る。年率30%のインフレが定着して何年経っただろうか。為替は1ドル300円台で安定し始めたが、円安に愛想を尽かしグエン君も王さんも祖国に帰ってしまい、コンビニ店員はキャッシュレスに対応できない高齢者だらけだ。
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「出社してハードワークしろ!」というイーロンマスク、経営者としては正しいのだが会社の成長と報酬額がリンクする世界だから許される話であり、限界社会主義国ジャパンにアニマルスピリッツみたいな野蛮なものは持ち込まないでくれ。僕たちはフルリモートでお布団にくるまりながら滅びを待つんだ。
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みずほのシステムを立て直すべく、みずほ銀行に乗り込んだ金融庁職員。席に座るやいなや、怒号が飛ぶ!「まずは支店で宝くじ売ってこいや!」何故かハッピを来て年末ジャンボを売り捌くことに!「12月30日に仕事納めで忘年会やるから予定開けとけよ」。そう、ここは限界メガバンク。金融界最果ての地。
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「AIに仕事を奪われるぅ!」
「碁と将棋で人間超えたで」
「文字情報から絵を描けるようになったで」
「遊んでないで仕事しろよ」
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「公平を期すため、大学名は言わずに学部名だけ答えてください」
「貴重なお時間を頂きありがとうございます、慶應義塾大学経済学部の佐藤と申します。あ、失礼しました、ただの経済学部です。私がアピールしたいのは三田祭実行委員として、あ、三田祭っていうのは私の大学の学園祭なんですけれども」
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キッザニアの本質は情報戦で、親が事前に準備をしなければハイチュウ工場とか人気コーナーは体験できない仕組み。幼稚園に通ってる間にSAPIXの入室競争が始まってるのと一緒で、ボヤボヤしてたら大和証券で「寄り付きィィィ!」と絶叫したり、SMBCで高齢者相手に投資信託売らされる羽目になる。
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子育ては何者にもなれなかった僕たちに残された最後の手段だからね。子供が産まれてから、若い頃にあった焦燥感みたいなものが憑き物のように落ちて「健康に育ってくれれば他は良いや」というパラダイムシフトが起こったので、生物的にそういう風にできているんだろうなと思ってる。子育ては良いぞ。
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「駄目だ、新卒を地方に配属したら第二新卒枠ですぐ転職してしまう…」
「せや!最初の数年は希望地域への配属ということで甘やかしといて、大企業の給料水準に慣れさせて転職市場での価値を落として身動きできなくしてから地方に飛ばしたろ!」
nordot.app/85149460045542…
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マクドナルド、若い世代がモバイルオーダーで注文してテーブルに座りながらサクッと受け取る一方、爺さん婆さんがイライラしながら長い行列を作ってて、DXいいね!と思った。まずはデジタル化に適応した人間が得をする仕組みを作るのが先だよな。できない人間に合わせてたら社会が一歩も前に進まん。
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橋本環奈が昔いた地方アイドルグループの「じゃない人たち」が日常生活を送る中、コンビニに平積みされた雑誌の表紙で微笑む、国民的アイドルとなった現在の橋本環奈を見た時に生じる感情について思いを馳せてたら日曜の午前が終わろうとしている。
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日本は銃の流通量が少ないのでローンウルフ型の大規模なテロを未然に防いでいるという認識があったが、京アニの事件によって、そこらで手軽に入手できるガソリンで銃を上回る規模のテロを起こせるということに社会が気づいてしまった感がある。巻き込まれたら防ぎようがないので、非常にまずい。
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東京の子育て環境、この10年で本当に変わったよね。保育園は入れるし、商業施設は男子トイレでもオムツ台あるし、育休は取りやすくなったし、残業も減ったし。公園に行ったら子連れの若い父親が沢山いて、数キロ離れた保育園までチャリで通ってた我々の苦労も無駄ではなかったんだ…と少しグッときた。
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電通の名刺を自分の実力と勘違いして外に飛び出したもののパッとしない限界中年男性が地方で愚痴を垂れ流している様子を見て、特に何の能力もなく会社にしがみついている僕たちが「ざまあwww」と溜飲を下げる構図、インターネットポルノ最前線2022って感じがしてとても良い。
oceans.tokyo.jp/article/detail…
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SAPIXに300万円払ってわざわざ私立中学に通うような家庭に10万円配るより、公立中学に通う子供や家庭の支援に回したほうが良いのでは…。行政が率先して格差を広げてどうするんだ。
fnn.jp/articles/-/473…
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「ごめんね、こんな遠い所まで」。改札の前でマミが手を振る。2人で会うのは何年ぶりだろう。仕事終わりに六本木駅で待ち合わせた20代の金曜を思い出す。あの頃は麻布の会員制のバーや六本木のクラブで朝まで遊び回った。しかし、ここは流山おおたかの森駅。港区はおろか、東京ですらない。千葉県だ。
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「てつや、もう明日からSAPIX通わなくていいぞ。パパ、役員コースに乗れなかったから、45歳で定年になったんだ。再雇用もなくてローンも払えないから、婆ちゃん家に引っ越そうか。勉強して良い大学入っても無駄!お前も好きに生きろ!」という導入部分から始まる連続Twitter小説(めんどいから書かない