shinshinohara(@ShinShinohara)さんの人気ツイート(古い順)

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何時間も飽かず星を眺めた体験は、知らず知らずのうちに体験ネットワークを形成することになる。以後、星や宇宙のことを取り上げた番組や記事にはすぐ子どもは食いつくようになるだろう。こうして体験ネットワークはさらに強化され、知識ネットワークへと延伸していく。拡大していく。
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大切なのは、知識の量ではない。興味関心の強さ。興味関心が湧けば、無意識は自然に体験ネットワークを形成してくれる。そのネットワークさえできてしまえば、「なんだ、あの体験はこんな風に呼ばれてるのか」と、名前を結節点にあてはめていくだけ。大切なのは、知識を受けとめる体験ネットワーク。
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体験ネットワークの形成を促すのが、「驚く」こと。親である大人自身が驚き、不思議がり、興味関心を持てば、子どもも、ナンダナンダ?と興味津々となる。 自然や生命の神秘さ、不思議さに目を瞠り、驚く感性。センス・オブ・ワンダーこそが大切。
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私が子どもたちの失敗に驚き、楽しむのもそのため。失敗は想定していたことと違うことが起きた現象。ということは、事前に察知できなかった何かがある。それに驚き、面白がれば、子どもも自然と不思議がり、面白がる。すると失敗からメカニズムを推定し、新たな手を考え出す。
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失敗をしゃぶり尽くすように観察することは、体験ネットワークを形成する一つの方法。危険がないなら、わざと失敗させるのは手。その周辺の知識を受けとめられる体験ネットワークを形成するのに、失敗は素晴らしい体験。
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まとめました。 「驚く」ことが体験ネットワークを構築する|shinshinohara #note note.com/shinshinohara/…
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阪神大震災のとき、現役京大生が救援物資の在庫管理を担当。すべての物資の種類、数を把握し、1500名いる被災者の消費量を計算してどの物資がどのくらい不足するかを予測し、ボランティアに的確に指示を出すので「歩くコンピューター」と呼ばれ、被災者の子どもたちに人気だった。
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しかし1500人もの人たちを支える救援物資の膨大さ、しかも全国から送られる救援物資は、ダンボール箱を開けてみないと入数と種類も分からない。種類ごとに分別もしなきゃいけない。あまりの過労でぶっ倒れてしまった。
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新しい物資担当は、左官の若者(その京大生と同じ年)。 「とてもじゃないけどあの人のマネはできません。僕のやり方でやらせてもらっていいですか?」 人がいなくて代わりはいない。みんな、彼にお任せすることにした。その「やり方」は。
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品物ごとに山を作った。服の山、毛布の山、ラーメンの山、ミネラルウォーターの山。面積が必要になるけれど、ざっくり山の大きさを見れば物資の在庫量が一目でわかる。「あの物資は3日もたないな、じゃあ今度はあの物資を確保してこよう」と、各ボランティアが自発的に動くようになった。
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来る物資は片っ端からそれぞれの商品の山に積んでおく、というルールだけ承知すれば、誰でも物資管理ができた。左官職の若者が物資管理の担当になってから、物資管理をする必要がなくなった。
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熱が下がり、京大生が現場に戻って来たときには、もう物資管理の必要はなくなっていた。彼は驚いていた。物資の種類と数は自分しか把握しておらず、どの物資がどれだけ不足しそうかということも京大生に聞かないと分からなかったのに、その必要がないシステムに変わっていたことに。
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なんでこのシステムを思いついたの?と左官職の若者に聞いたら「仕事でやってるんすよ」と。材木やクギなど、種類別に在庫管理して、誰の目にもどのくらいあるのかわかるようにしておけば、気づいた人間が補充するというやり方で在庫切れを防止してるらしい。なるほど。
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この事例から、「頭がいい」って何だろう?と思うようになった。学業に関してなら、その京大生は卓抜していて、同級生の私なんかはるかに及ばなかった。すべての物資の種類と量を把握し、消費スピードまで計算に入れるなんて芸当、私にはムリ。他方。
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左官職の若者が導入した「物資ごとの山」は、私も京大生の同級生も思いつかなかった。管理の容易さ、誰もが自発的に物資管理を行える機能性、何をとってもこちらの方が仕組みとして優れている。「頭がいい」というのは、なるべくシンプルな答えを出す力なのだな、と痛感した。
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阪神大震災では、それぞれの「個性」が大切なのだな、ということがよくわかった。左官職の若者は暴走族のボスを束ねるボスで、みんなやかましいバイクを乗り回す中、自分はチャリンコ(自転車)という実にコミカルなことをやっていた人物。コワモテおじさんが現れても圧倒可能。
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他方、シャキシャキ動かない、物静かな人なんだけど、その人がいると春風が吹いてるような、安心感がその場に広がる。みんなが青くなるような事態が起きても、その人がいると「ま、慌てても仕方ない。なんとかなるさ、なんとかしようやないか」と落ち着くことができた。
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件の京大生は、子どもたちからとても人気だった。この人は絶対裏切らない、という絶大な信頼感があったらしい。震災が起きてすぐ常駐し、ぶっ倒れるまで必死に取り組んだその姿勢が、絶対的な信頼感になったのだと思う。
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「お母さんからちゃんと料理を教えてもらっておけば良かった」と言いながら、絆創膏だらけの指で黙々と台所で食材を切り続けるボランティア。 被災者が暖をとれるよう、黙々と木材を割り、大型トラック分くらいの薪の山を築いたボランティア。実に様々な個性を発揮していた。
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阪神大震災では、「ビバ!個性!ビバ!多様性!」と、心から痛感した。みんなが全体を見渡し、不足している部分をみつけ、自分がみんなのために最も役に立ちそうな場所を見つけ、そこで自分なりのパフォーマンスを発揮した。それぞれが個性を発揮し、その個性がかみ合って全体をなんとか動かしていた。
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何人かで山に登り、キャンプ場に着くと、自然と「水汲みにいくわ」「じゃあ僕らは薪を」「窯を作るね」「テント張っておく」「料理の下拵えしておくね」と、全体を見渡し、自分の仕事を見つけ、システムとして動く。これ、案外優等生ができなかったりする。ボーッと突っ立ったままだったり。
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阪神大震災で機能したのは、この力だったように思う。全体を見渡し、弱点、あるいは欠落してる機能を自分が補う、ということを、各人が自発的に行える力。これがあれば、社会人になってからでも通用するように思う。
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戦後まもなくの企業は、焼け野原になって物資も何もない中でビジネスを始めねばならなかった。学歴も専門家でもない人が「なんとかこの製品をモノにしなければ」と、外国製品を分解して調べたり、大学の先生を訪問して聞きまくったりして、なんとか形にしていた。「欠落」は自分が埋めねば、と。
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私は、学歴(学校歴)って、どうでもいいんじゃないかな、と思っている。全体を見渡して欠落を見つけ、その欠落を自分が埋めねば、と考える人間がたくさんいるなら、必ずどうにかなる。one for all, all for oneが実践できるチームは強い。阪神大震災は、使命感がたくさんの若者を変えた。
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全体を見渡し、欠落を見つけ、それを自分なりに補う。自力で足りなければ「誰か一緒にこの欠落補って!」と声を上げるだけでも良い。そうした人材を育てられたら、日本はまだまだムチャクチャ強いと思う。そして日本はたぶん、性分としてこれが合ってるように思う。