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むかしむかし、ある銀行本部に課長がいました。課長は銀行内で常に上位20%に入る成績優秀者です。銀行では、若者の退職が留まることを知らず、経営課題の一つとなっていました。
課長は、退職者を減らすためのプロジェクトチームに抜擢され、リーダー役をすることになりました。
#陰湿金融文学
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むかしむかし、ある銀行がありました。そこでは、働き方改革の一つとして、女性活躍推進が掲げられました。国ごとの産業構造の違いなどを考慮しているのかもわかりませんが、ハーバード大学が提唱し、日本政府が推進する「女性管理職3割」を銀行でも目指すことになりました。
#陰湿金融文学
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むかしむかしの ある支店のおはなしです。
担当者Aが新規先を開拓しました。最初は小さな取引先でしたが
「大きくなあれ、大きくなあれ」
担当者Aはこまめに相談に乗り、提案をしました。「大きくなあれ、大きくなあれ」担当者Aの尽力のおかげもあり、取引先はぐんぐん育ち、
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すぐに忘れてしまいました。そして、そのやりとりを聞いていた新しく着任した若手は(よし、ムリ!)と退職の意志を固めるのでした。
おしまい🌸
#陰湿金融文学
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To:五反田支店/全員
From:佐藤貴之
Time:2022年12月14日 17:09
subject:退職の挨拶
お疲れ様です。法人営業課の佐藤です。
夕方のお忙しい中、申し訳ありません。一身上の都合により退職することになり、有給休暇取得の関係で本日が最終出社となりました。
#陰湿金融文学
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誰も何の効果も実感していませんが、何せハーバード大学が提唱しているのです。きっと何かいいことがあるに違いありません。
今日も新卒採用に向けた会社説明会で男性行員も羨むキラキラキャリアの女性管理職(独身)が、女性活躍を謳っています。
おしまい🌸
#陰湿金融文学
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本部は、研修を増やしました(おかげで、支店の取引先訪問時間がさらに減りました)。
支店長は今年度の目標を達成することでいつも頭がいっぱいでした。
そして、これからの業績表彰パーティーでも、取引先のことも案件も知らない担当者が表彰され続けるのでした。
おしまい🌸
#陰湿金融文学
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吾輩は目標未達銀行員である。人権はまだ無い。どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でフィーフィー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで初めて支店長というものを見た。しかもあとで聞くとそれは役員候補という支店長中で一番獰悪な種族であったそうだ。
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拝啓 タワマンを購入する前の私へ
30歳のとき、損保総合職の同い年の彼女と結婚し、どこに住もうか考えている頃だと思います。これから綴る私のストーリーは決して不幸なものではありませんでしたが、タワマンを買わないアナザーストーリーを思い浮かべて、今、筆を執っています。
#タワマン文学大賞
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るなりすればいいのに。病気移ったらどうすんの。課長も課長だよ、体調悪い人が休みにくくなるじゃん)と退職の意志を固くします。
課長にとってもメンバーにとっても不幸なことに、課長は所謂「悪意ある悪い」人間ではなく、かなり昭和的ではありますが親分気質で気に入った子分への
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ただ、少し自意識過剰のきらいがあり、自分と異なる意見は自分への批判・挑戦と受け取りがちで、ついつい自分と異なる意見を批判したり、なぜなぜ5回で厳しく追求したりしてしまいます。加えて、お酒に酔うと、過去に意見の激突で辞めてしまった上司・同僚が○名いる、と自慢し、お前も議論するか?
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課長は張り切って、メンバーに「よしっ!まずはチームメンバーで勉強会だっ!始業1時間前に集合!」と声を掛けます。「あの、子どもの保育園の送りがあるので…」一人の男性行員が気まずそうに答えます。「なに?男なのに保育園送り?お前だって結構給料貰ってるだろ?奥さん
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何やってんの?まぁいいや。資料は共有するから自習しとけよ」と課長は言わなくていいことまで言ってしまいます。(よし、やっぱりこの会社ムリ)それを聞いていた若手複数名が思いました。
プロジェクトが始まって1ヶ月、今日は進捗会議です。課長は今日の会議進行役の女性が昨日体調が悪そうだった
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ことを思い出し、女性に「今日、大丈夫?」と声を掛けます。女性は「体調悪いけど、進行役なので頑張って来ました。」と青白い顔で答えます。課長は「かっこいいね!よろしくね!」と満足気です。そのやり取りを聞いていた若手は(よし、ムリ。体調悪いなら日程ずらすなり代役立てるなりリモートにす
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むかしむかし、ある信用金庫に新人職員が配属されました。
1年間窓口で預金・為替業務を担当した後に、2年目で営業担当になりました。就職説明会や新人研修では丁寧なOJT(On the Job Training)で徐々にお客さまの顔と仕事を覚えればいいと説明を受けていましたが、実際には引継ぎと
#陰湿金融文学
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もう少しで、目標の女性管理職3割が達成されようとしています。経営陣も人事部も鼻高々です。でも、一体、何が変わったのでしょうか。男性行員は疲弊して離職者が増えています。女性行員にも不満が溜まってますし、適応障害での休職者も底溜まっています。ただ実力に疑問符のある管理職が増えました。
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と吹っかけるという茶目っ気もありました。結果、課長と異なる意見を持つ人は課長に近付かなくなりました。課長はそんなことには一切気付かず、イエスマンに囲まれて毎日ご満悦です。
プロジェクト発足から1年後、チームが考えた対応策が各支店に展開されました。
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課長は考えます。そういえばメンバー達が辞める時も碌に退職理由を聞かなかったことを思い出しました。
少し後悔の念が湧こうとした時、会社に着きました。すると、かわいいイエスマンから、「体調悪い中来るなんて、かっこいいですね」と言われて、満更でもなくなり、辞めてしまった人のことなんて
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面倒見は良いため、周りには子分(イエスマン)が集まるのです。
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課長は展開を祝して慰労会を開きますが、もう子どもの迎えがあるから、なんて口にするような軟弱なメンバーは残っていません。メンバーの4割はなぜか辞めてしまいましたが、今いるメンバーは課長の自慢の精鋭達です。
そんなある日、課長は体調を崩してしまいました。それでも出勤しようとすると、
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自分(課長)の子どもに「ねぇパパ、何で無理して出勤するの?休むなり、リモートにするなり、出来ないの?」と聞かれました。課長は、一瞬ドキッとしましたが、聞かなかったことにして出勤しました。もしかしたら、辞めてしまったヤツもそう思っていたのかも知れないな、ボンヤリする頭で
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誰かが負担する必要がありますし
、それはいつも男性なのです。そして、業務負担が増しても、お賃金は増えないのです。制度としては、男性にも育休制度はあります。が、活用実績があるのは人事部や企画部などのキラキラ本部だけ。支店で働く脳筋ソルジャーは活用できないのです。
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3割になったらどうなるのか銀行の経営陣は誰一人理解していませんが、何せハーバード大学が提唱しているのですから、きっといいことがあるに違いありません。とりあえず、3割を目指すのです。
とは言っても、これまでの銀行は男性社会。総合職の男女比は9:1です。でも3割を目指さなければいけません。