牧村しのぶ(@yatomibuncho)さんの人気ツイート(古い順)

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少女漫画はHなの描かせてもらえないから男同士のBLが生まれたというのはデマですよ。メジャーで支持された吉田まゆみ先生や津雲むつみ先生をご存じないんでしょうか。それ以前から大人な恋愛をお描きになる先生はいらっしゃいましたよ。古くはベルばらだってベッドシーンを描いていましたよ。
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私の新人時代の80年代末でも、編集者に「今時の読者は手をつないでドキドキだけでは満足しない、共感してもらえない、その先の現実感を出さないと・・・」とむしろリアルな、性を含む恋愛を描ける力を求められました。読者の恋愛体験手記を募集して、繰り返し漫画化していました。H禁止なんて嘘です。
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コミックスではおなじみの簡単な絵のおまけ漫画をネットで発表すると丁寧に描けと批判されて騒ぎになってしまうのは気の毒です。あれはあれで本編と違う裏話の楽しみがあるのです。表と落差があるから箸休めになるのです。三頭身でも山岸先生の実体験「恐怖の甘い物一家」はおまけではなく傑作です。
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三頭身、ギャグ、ヒョウタンツギ、他人のキャラのパロディ・・・が出ていいんですよ、漫画は。そうやって茶化す、軽みを出して読み手が深刻に悩まないようにする、それも含めて漫画の伝統芸です。道化にシリアスな芝居を要求するのは野暮です。
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別の作家さんが簡単な漫画をネットで公開していたら、丁寧に描けと批判する人がいました。おまけ漫画、作者の体験漫画は、コミックスを買った読者へのサービスでした。それをネットで誰でも見られるようにすると、読者でない人が有料並みの絵でないと許さないと批判するのですね。有料版を買いなさい。
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ずっと私の絵にいいねを押して下さっていた方が、バレンタインのイラストだけいいねを押さず拒絶の意思表示をしたことがあります。その方のログを読むと理由がわかります。人気の猫も、貧しくて飼えないから見たくないという方がいて、難しいと思います。個人の意思表示は自由です。禁止は無しです。
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長年雑誌でアンケートに脅えながら仕事をしてきました。誰が何を出しても嫌だという人がほぼ2割から8割の間でいます。嫌と好きが凹凸状に共存しています。そして嫌も好きも10割になることはありません。ほぼ2割の少数派が反対に回るのがデフォ。なくすことはできません。誰もその中のどこかにいます。
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編集部一同傑作だ、と思って出してもアンケート100%は絶対取れない、8割が限度と聞いています。つまり、漫画を使って人の意識を変えるのも無理があるということ、なぜなら2割は必ず嫌うからです。臍曲がりがいるおかげで守られています。全員が動員されるようでは脅威として排斥されかねず。喧嘩上等。
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これもイラク戦争の時に得た教訓ですが、ブログや掲示板に英語の情報を貼り付けても反応は乏しく嫌がらせもされません。しかしその邦訳を貼り付けたとたん、内容が気に入らない人が絡んできて、情報を紹介するだけでも嫌な目にあうことを知ると同時に、絡む人は英語ができないということを知りました。
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高校大学在学中にアシスタントをやり、デビューした同級生から少女漫画の原稿料を聞き出して、5000円を切る会社には投稿しませんでした。32ページ描いて当時の大卒初任給より安く連載しても食えないと計算して(何て奴)いました。原稿料で選んだ結果後悔したこともありますが、私はお金が好きです。
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お前なんかが金の要求をするなと言われても、お金がなければ生存権を削られます。どんな手を使っても食えるように立ち回って当然。図々しいもへったくれもありません。どうせいつまでも覚えちゃいないんですから何言われようが漫画以外でもガッツリ稼いでヨシ。3000円なんて人間の原稿料じゃないから。
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80年代に少女漫画でデビューの原稿料が5000円でした。年度替わりに上がって6000円になりますので、実質2年目には7000円、3年続ければ8000円までは誰でも上がりました。今より物価の安い30年以上前にそうです。それと比べてどうなのか考えてみて、何かが崩れ落ちる音がしたらそこは危ないと思います。
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私がアシスタントをしたことのある先生は、自宅に風呂のない家庭に育ち高校在学中にデビューし稼いだお金をためて受験して大学生漫画家となり、大学をネタに漫画を描いて売れた、苦労人と言えば苦労人でしたが全くそう見えない美しい漫画をお描きになり、奨学金も借りないガッツに打ちのめされました。
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見た目は華やかでも行動は戦士、という女性が大勢いました。本当に着飾って遊んでいるだけの人に仕事などできませんから、当然と言えば当然ですが。昔は進学も就職もままならない時代だったので年輩の方ほど苦労が多かったと思います。人は見かけによらないということを身をもって学びました。
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男女雇用機会均等法は最初は努力義務でしたが、それでも影響はあったと思います。原稿料が同じ雑誌なら平等になりました。均等法後に生まれ育った世代は以前よりずっと機会が多く生きる場の制約された世代の選択の重みがわからないかもしれません。人の生業を軽く見る、バカにするのは心得違いです。
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表現の自由という言葉がコンテンツ産業だけの問題のように取り扱われる傾向が強く、オタクが嫌いだから潰していい、という空気が膨らむのは危険だと思います。自分が漫画家になる前、表現の自由はジャーナリズムや創作活動全般に関わる問題で、漫画もその一部、という認識でした。今も本当はそうです。
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24歳の漫画家が描いた漫画を中高年が読んで「子供っぽい」という感想が出るのは仕方ないかもしれませんが、本当はもう自分がその漫画の対象年齢ではないことを思い出して、若い才能をバカにしないで、その勇気と才能と努力を認めて応援してあげてほしいと思います。中高年向けのエンタメもあります。
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昨今とみに文系の教養は必要ないと言われます。古典不要論もそれです。しかし教養がないと、これが日本の伝統だ、日本独自の文化だ、という嘘に騙されてしまいます。それでも騙す方が事実を知っていて意図的に嘘をついているうちはまだマシで、本当に知識のない人ばかりになるのが恐ろしいと思います。