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ソフィとノレアに、どこかで立ち止まったりやり直したりするタイミングがあったか?というのが争点だなあこの話は……で、そうなると一番悪いやつは誰かって、あの難民キャンプで父親代わりみたいな顔しながら畑耕してたあのテロリストのおっさんですよ。
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暴力革命を否定した鉄血と水星に対し、自分がなんでそれぞれ反発と受容という真逆の感情を抱くようになったか考え直してみたけれど「世界と大人のまともさ」がぜんぜん違うのが原因かもしれない。
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説教くせえーーー!!!!!!!!!!という感情を想起するのはわかる。わかるけど!!まじで世界がそうなってんだからしょうがないじゃん!!!
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少年少女が夢見る革命なんてその程度の結末にしか到達できない
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水星の魔女の提示した「若い子は革命なんか目指さしてないで、ちゃんと親と話をして、周りの友人達を大切にして、よく勉強して、世界に希望を持とう」という終わり方は批判も多いけれど、今まさにパリ暴動の逮捕者3000人の大部分が10代という現実へのカウンターになってるよね
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「世界を革命しろだなんて簡単に言わないでくれ」という、立ち止まって噛みしめるような感情の中で生きてるんだよな今の僕らは……
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荒唐無稽な夢(人類改造による外宇宙進出)も、無責任な理想(地球と宇宙の冷戦構造)も、圧倒的な奇跡(クワイエットゼロによる戦争の根絶)も、作中に散りばめておきながらひとつひとつ「地道にやるしか無いんだよ」と丁寧に潰すの、あまりにも誠実。
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でも水星の魔女は地球の治安がすごく良いよね!!武力衝突の犠牲者遺族にミオリネ代表が直接会って話をするなんて……コズミック・イラだったらあそこで自爆テロが発生して1000人くらい死んでアーシアンとスペーシアンの絶滅戦争の引き金になってるよ
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水星の魔女は鉄血が果たしてくれなかった「えっここから間に合う全員生存ハッピーエンドがあるんですか!?」を力技で達成してくれた
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フランス革命以来の庶民の古い幻想である「貴族の世襲なんて無能のボンボンばっかりだよ」という望まれやすいフィクションをリアリティで塗りつぶしている。
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グエルとラウダ、世襲の貴族の子なのに普通に芯から優秀なのすごい構成してる。そこは実力主義で孤児から這い上がったシャディク陣営と対比して無能になるはずでは……って考え方がもう古いフィクションのそれで、今はもうリアリティ無いんだろうな。優秀な親の子は優秀。
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サビーナがグエルに感じていた「望んでいないのに何もかも与えられているボンボン」というコンプレックスが、実際にアーシアンに色々与えてみたら全く使いこなせなかったという現実によって破壊されるのちょっと面白い。与えられても優秀じゃなきゃ使いこなせないんだよ……
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シャディク陣営、なまじ全員がめちゃくちゃに優秀だから「力さえあれば何でもできる」って素朴に信じてるんだけれど、ぜんぜん教育投資されてこなかったアーシアンにいきなり会社やら資本やら技術やらを与えても1世代じゃ全く使いこなせないってことを実際に見るまで知らなかった
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家父長制(イエ制度?)を打倒して個人主義を志す時代はもう終わった。おそらく今後、このテーマの作品は出たとしても売れない。もうまともな人達は個人主義の夢から覚めてしまったんだよ。
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眠剤飲み忘れた妻が「眠れない…イッたら眠れるかな……」とか言っていたので挿入無し性感マッサージで6回ほど連続イきさせたら寝落ちました。技術の勝利。
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水星の魔女という作品を「毒親の呪縛から逃れようとする子どもたち」という視座で見た場合、「殺してしまえ(ヴィム)」「裏切ってしまえ(サリウス)」「全肯定する必要はない(エルノラ)」「もうちょっと素直に対話しようね(デリング)」といい感じに取り揃えてあるんだけれど
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男女平等がかなりあけすけに進んでいる今の時代、男尊女卑だと思われてるものは実際には強尊弱卑だし、家父長制だと思われているものは男女関係ない家長制として変化しながら社会に溶け込んでる。
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な、なるほど…?ちなみに水星の魔女という作品自体は「自分を自由にしてくれない親への対処」として『ぶち殺す(ヴィム)』『最悪な形で裏切る(サリウス)』『部分的にしか肯定しない(プロスペラ)』など多様に取り揃えております……デリングは対話不足なだけ!!
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「強者を打倒して弱者の互助で生きていこう」という理想が色褪せ続けた40年間だった。現実的に可能じゃなかった……個人主義の時代ももうすぐ終わる。父でも母でもそれ以外の誰でもいいけれど、「家長」は必要なんだと実感できる世の中が来るよ。
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革命に対する懐疑、という部分が悪い形で出たのが鉄血だったけれど……あれは「シャディクが主人公でガールズが全滅した水星の魔女」だと思えば自分のような延々恨み節マンが発生するのも理解されやすいと思う。理解ってくれ。
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「革命に対する懐疑」を貫き続けてる富野由悠季が原作たるガンダムだぞ。なんで革命を描いてくれると思った??という煽りもできるけどしません。
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全部全部ぶっ壊して社会をガラガラポンしてゼロから立ち上がろう……という物語にリアリティを感じることが出来ない今の世代の人々の腑抜けを肯定する作品……だなんて、80年代に腰を据えて露悪的に評価するならなんとでも言えるけれど、自分は80年代に骨を埋めるつもりがないから水星の魔女が好き。
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今の時代、大人皆殺しにして社会全部ぶっ壊して大混乱になってさあこれからは子どもたちの希望しか無い!……なんて作劇のほうがよっぽど嘘っぽくて無責任で希望がない。変革を志しつつも思慮深く、敬意とともに生きていかなきゃいけないことを若い子たちは肌感覚で知っている。
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少女革命ウテナという作品だって、最終的には「革命ってそういうものじゃないよね」という足元を見直す作品として終わったし、80年代の作品のような革命を描いた物語じゃない。
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70年代から80年代は革命の狂乱と熱と、その後の死と混乱が色濃い時代だった。あの頃の熱は、もうどんなに息を吹きかけても戻ってこないよ……あの熱が好きだと感じている人が2020年代に再び現れるのは不思議な感じがするけれど、熱いからねあれ。熱さは魅力。